訪問看護ステーションから利用者宅までの移動に時間がかかる地域、加算の対象になっていませんか?
特別地域訪問看護加算は、厚生労働大臣が定める地域での訪問看護を評価する加算です。医療保険と介護保険のいずれにも設けられていますが、加算率や算定要件が異なります。
医療保険では、地域の条件に加えて、移動時間などの要件があります。介護保険(介護予防を含む)では、事業所の所在地が対象地域にあることが要件で、移動時間の要件はありません。
※この記事は算定要件・注意点を中心に扱います。対象地域は、医療保険・介護保険それぞれの告示に定められた類型を掲載します。個別の市町村が対象かどうかは、記事内の案内に沿って確認してください。

特別地域訪問看護加算とは
厚生労働大臣が定める地域での訪問看護を評価する加算です。医療保険・介護保険のいずれにも設けられていますが、次の点が異なります。
- 医療保険:地域に所在するステーションの訪問、または、地域外のステーションが地域に居住する利用者へ行う訪問が対象です。いずれも、移動時間などの要件があります
- 介護保険(介護予防を含む):地域に所在する事業所(その一部として使用される事務所を含む)が訪問した場合が対象です。届出が必要です
対象となる地域
対象地域は、医療保険と介護保険で、別の告示に定められており、内容も異なります。
医療保険の対象地域は、訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年厚生労働省告示第103号)の第三に、次の6類型が定められています。
- 離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定により離島振興対策実施地域として指定された離島の地域
- 奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年法律第189号)第1条に規定する奄美群島の地域
- 山村振興法(昭和40年法律第64号)第7条第1項の規定により振興山村として指定された山村の地域
- 小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和44年法律第79号)第4条第1項に規定する小笠原諸島の地域
- 沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)第3条第3号に規定する離島
- 過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和3年法律第19号)第2条第1項に規定する過疎地域
介護保険の対象地域は、厚生労働大臣が定める地域(平成24年厚生労働省告示第120号)に定められています。この告示は、訪問看護費の注9(特別地域訪問看護加算)と、介護予防訪問看護費の注8(特別地域介護予防訪問看護加算)の「別に厚生労働大臣が定める地域」を定めています。次の一〜六は、告示の条文から、法律の公布年・番号などを省いて要約したものです。正確な文言は、告示の本文(出典欄)で確認してください。
- 一 離島振興法第2条第1項の規定により指定された離島振興対策実施地域
- 二 奄美群島振興開発特別措置法第1条に規定する奄美群島
- 三 山村振興法第7条第1項の規定により指定された振興山村
- 四 小笠原諸島振興開発特別措置法第4条第1項に規定する小笠原諸島
- 五 沖縄振興特別措置法第3条第3号に規定する離島
- 六 豪雪地帯・特別豪雪地帯、辺地、過疎地域などのうち、人口密度が低いことや交通が不便であることなどから、指定居宅サービス・指定居宅介護支援・指定介護予防サービス(それぞれ基準該当サービスを含む)の確保が著しく困難と認められる地域であって、厚生労働大臣が別に定めるもの
介護保険の第六号は、豪雪地帯や辺地などの地域名に該当するだけで加算の対象になるわけではありません。告示の文言上は、サービスの確保が著しく困難と認められ、かつ、「厚生労働大臣が別に定めるもの」に限られます。この「別に定める」地域は、厚生労働大臣が定める地域第六号の規定に基づき厚生労働大臣が定める地域(令和3年厚生労働省告示第74号)に、都道府県・市町村ごと(市町村の区域の一部の場合は、その区域の名称)に定められています。この告示は、その後、令和3年告示第204号と令和6年告示第159号で改正されているため、法令等データベースの本文ページ(出典欄)で、最新の本文を確認してください。この記事では、地域の一覧は掲載していません。
医療保険の6類型と、介護保険の一〜六は、内容が異なります。たとえば、豪雪地帯は、医療保険の類型にありません。一方の制度の一覧を、他方にそのまま当てはめないでください。

個別の事業所・利用者の所在地が対象に当たるかどうかの確認は、次のとおりです。
- 医療保険:ステーションの所在地または利用者の家庭の所在地が特別地域に該当するかどうかは、地方厚生(支)局に確認することとされています(通知)
- 介護保険の第六号:令和3年告示第74号の表に、事業所(またはサテライト事業所)の所在する市町村、または、その区域が載っているかを確認します。市町村の一部の区域のみが対象になっている場合があります
- 介護保険の一〜五:それぞれの法律に基づく対象地域の指定状況を確認してください。判断に迷う場合は、届出先の都道府県等に確認します
医療保険における特別地域訪問看護加算
厚生労働省告示「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」の別表 区分番号01(訪問看護基本療養費)の注8に、次のように定められています(令和8年6月1日適用)。
次のいずれかに該当する指定訪問看護を行う場合、特別地域訪問看護加算として、所定額の100分の50に相当する額を加算する。
イ 訪問看護ステーションの看護師等が、最も合理的な経路及び方法による当該訪問看護ステーションの所在地から利用者の家庭までの移動にかかる時間が1時間以上である利用者に対して指定訪問看護を行い、次のいずれかに該当する場合
(1) 別に厚生労働大臣が定める地域に所在する訪問看護ステーションの看護師等が指定訪問看護を行う場合
(2) 別に厚生労働大臣が定める地域外に所在する訪問看護ステーションの看護師等が、別に厚生労働大臣が定める地域に居住する利用者に対して指定訪問看護を行う場合ロ 別に厚生労働大臣が定める地域に所在する訪問看護ステーションの看護師等が、別に厚生労働大臣が定める地域に居住する利用者に対して指定訪問看護を行う場合であって、次のいずれにも該当する場合
(1) 最も合理的な経路及び方法による当該訪問看護ステーションの所在地から利用者の家庭までの移動にかかる時間が30分以上である利用者に指定訪問看護を行う場合
(2) 最も合理的な経路及び方法による当該訪問看護ステーションの所在地から利用者の家庭までの往復にかかる時間及び指定訪問看護の実施に要した時間の合計が2時間30分以上である場合
留意事項通知(令和8年3月5日保発0305第19号 第2の6(1))には、次のように定められています。
注8に規定する特別地域訪問看護加算は、次のいずれかに該当する指定訪問看護を行った場合に所定額(注に規定する加算は含まない。)の100分の50に相当する額を加算する。
ア 特別地域訪問看護加算のイの場合とは、(中略)である。なお、交通事情等の特別の事情により訪問に要した時間が片道1時間以上となった場合は該当しない。
イ 特別地域訪問看護加算のロの場合とは、(中略)である。なお、交通事情等の特別の事情により訪問に要した時間が片道30分以上となった場合は該当しない。
※(中略)は、イ・ロの要件の記載で、上記の告示の注8と同じ内容を、通知が、片道の移動時間の表現で言い直した部分です。この記事では省略しています。

算定要件の整理
- 加算率:訪問看護基本療養費の所定額(注に規定する加算は含みません)の50%です。精神科訪問看護基本療養費(区分01―2注5)にも、同様の規定があり、「所定額」は、精神科訪問看護基本療養費の所定額です(通知 第3の8(1))
- パターンイ:片道1時間以上かかる利用者に対して、次のいずれかの場合に算定します
- 指定地域に所在するステーションの看護師等が、訪問する場合
- 指定地域外のステーションの看護師等が、指定地域に居住する利用者へ訪問する場合
- パターンロ:指定地域に所在するステーションが、指定地域に居住する利用者へ訪問し、かつ、次の両方を満たす場合に算定します
- 片道30分以上かかる
- 往復の移動時間と、訪問看護の実施時間の合計が2時間30分以上である
- 例外:交通事情等の特別の事情により、訪問に要した時間が、片道1時間以上(ロは片道30分以上)となった場合は、該当しません
- 令和8年6月1日適用の改正:イとロの構成に整理され、片道30分以上と合計2時間30分以上を組み合わせる「ロ」が新設されました。改正前は、移動にかかる時間が1時間以上の場合に限られていました
- 記録:特別地域訪問看護加算を算定する場合は、毎回の訪問時に、訪問看護記録書に、訪問に要した時間を記入します(通知 第4の6)
- 対象地域の確認:ステーションの所在地または利用者の家庭の所在地が特別地域に該当するかどうかは、地方厚生(支)局に確認します(通知 第2の6(2))
- 包括型訪問看護療養費との関係:包括型訪問看護療養費を算定する日は、特別地域訪問看護加算を別に算定できません(通知 第7の11)
介護保険における特別地域訪問看護加算
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)の別表 訪問看護費の注9には、次のように定められています(令和8年告示第87号による改正を反映)。
別に厚生労働大臣が定める地域に所在し、かつ、電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対し、老健局長が定める様式による届出を行った指定訪問看護事業所(その一部として使用される事務所が当該地域に所在しない場合は、当該事務所を除く。)又はその一部として使用される事務所の看護師等が指定訪問看護を行った場合は、特別地域訪問看護加算として、イ及びロについては1回につき所定単位数の100分の15に相当する単位数を、ハについては1月につき所定単位数の100分の15に相当する単位数を所定単位数に加算する。
※訪問看護費のイは指定訪問看護ステーション、ロは病院又は診療所、ハは指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と連携して指定訪問看護を行う場合です。
算定要件の整理
- 加算率:所定単位数の15%です(イ及びロは1回につき、ハは1月につき)
- 届出:都道府県知事への届出が必要です(注9に、届出を行った事業所であることが定められています)
- 対象:厚生労働大臣が定める地域(平成24年告示第120号、上記)に所在する指定訪問看護事業所(その一部として使用される事務所が当該地域に所在しない場合は、当該事務所を除く)の看護師等が訪問した場合です
- 移動時間:医療保険と異なり、告示の注9には、移動時間の要件は定められていません。事業所(またはサテライト事業所)の所在地で判断されます
- サテライト事業所:留意事項通知は、訪問看護費の特別地域加算の取扱いを、訪問介護と同様としています(老企第36号 第2の4(15)が、第2の2(17)を参照)。第2の2(17)では、本体の事業所が対象地域外にあり、サテライト事業所のみが対象地域にある場合は、サテライト事業所を本拠とする看護師等による訪問が加算の対象となり、本体事業所を本拠とする看護師等による訪問は、対象になりません。この場合、サテライト事業所を本拠とする看護師等を明確にして、提供したサービスの内容等の記録を別に行い、管理する必要があります
加算率を計算する際の注意点
留意事項通知(老企第36号 第2の4(15))には、次のような記載もあります。
当該加算は所定単位数の15%加算としているが、この場合の所定単位数には緊急時訪問看護加算、特別管理加算及びターミナルケア加算を含まないこと。
つまり、15%を計算する基礎となる「所定単位数」から、緊急時訪問看護加算・特別管理加算・ターミナルケア加算は除いて計算します。
この通知の記載は、令和6年度改定後の新旧対照表で確認し、令和8年6月1日適用の一部改正(介護保険最新情報Vol.1477、令和8年3月13日)でも、訪問看護費の項は、(31)の新設(介護職員等処遇改善加算)のみで、特別地域加算の項を含む(1)〜(30)は、改正の対象になっていません。
介護予防訪問看護(要支援)の場合
指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)の別表 介護予防訪問看護費の注8には、次のように定められています(令和8年告示第87号による改正を反映)。
別に厚生労働大臣が定める地域に所在し、かつ、電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対し、老健局長が定める様式による届出を行った指定介護予防訪問看護事業所(その一部として使用される事務所が当該地域に所在しない場合は、当該事務所を除く。)又はその一部として使用される事務所の看護師等が指定介護予防訪問看護を行った場合は、特別地域介護予防訪問看護加算として、1回につき所定単位数の100分の15に相当する単位数を所定単位数に加算する。
- 加算率:所定単位数の15%(1回につき)です
- 届出:都道府県知事への届出が必要です
- 対象地域:告示第120号(介護予防訪問看護費の注8)で、訪問看護費と同じ一〜六です
- 計算の基礎:留意事項通知(老計発第0317001号 第2の3(14))では、所定単位数に、緊急時介護予防訪問看護加算と特別管理加算を含まないこと、とされています(介護予防には、ターミナルケア加算がありません)。令和8年6月1日適用の一部改正(Vol.1477)では、介護予防訪問看護費の項は、(28)の新設のみで、(1)〜(27)は改正の対象になっていません
- サテライト事業所:通知は、サテライト事業所のみが対象地域に所在する場合の取扱いを、訪問看護費と同様に定めています(老計発第0317001号 第2の3(14))
医療保険と介護保険の違い(まとめ)
| 医療保険 | 介護保険(要介護) | 介護予防(要支援) | |
|---|---|---|---|
| 加算率 | 50% | 15% | 15% |
| 加算の基礎 | 訪問看護基本療養費(精神科は精神科訪問看護基本療養費)の所定額。加算を含まない | 所定単位数。緊急時訪問看護加算・特別管理加算・ターミナルケア加算を含まない | 所定単位数。緊急時介護予防訪問看護加算・特別管理加算を含まない |
| 移動時間の基準 | 片道1時間以上、または片道30分以上+往復・実施時間の合計2時間30分以上(特別の事情による場合は該当しない) | 告示に移動時間の要件はない(事業所の所在地で判断) | 告示に移動時間の要件はない(事業所の所在地で判断) |
| 届出 | 告示に届出の定めなし | 都道府県知事への届出が必要 | 都道府県知事への届出が必要 |
| 対象地域の根拠 | 基準告示(平成18年告示第103号)第三(6類型) | 厚生労働大臣が定める地域(平成24年告示第120号)の一〜六。第六号の個別の地域は、令和3年告示第74号 | 同左(告示第120号、介護予防訪問看護費の注8) |

算定するうえで注意したいポイント
- 対象地域に所在する事業所かどうか、または利用者が対象地域に居住しているかどうかを、事前に確認する。医療保険は、該当するかどうかを、地方厚生(支)局に確認する
- 医療保険と介護保険で、対象地域の定め方が異なる。介護保険の第六号(豪雪地帯・辺地・過疎地域等)は、「厚生労働大臣が別に定めるもの」に限られるため、法律上の地域名に当たるだけでは、判断できない。令和3年告示第74号の表(市町村名、一部区域の場合はその区域の名称)で確認する
- 医療保険は、移動時間の基準(30分・1時間・2時間30分)が細かく分かれているため、どのパターンに該当するかを整理する。特別地域訪問看護加算を算定する場合は、訪問に要した時間を、訪問ごとに、訪問看護記録書に記録する
- 医療保険は、交通事情等の特別の事情により、訪問に要した時間が基準を超えた場合は該当しない。包括型訪問看護療養費を算定する日には、別に算定できない
- 介護保険(介護予防を含む)は、届出を行っていないと算定できない。対象地域に所在していても、届出の有無を確認する
- 介護保険は、加算率の計算対象から、緊急時訪問看護加算・特別管理加算・ターミナルケア加算を除く(介護予防は、緊急時介護予防訪問看護加算・特別管理加算を除く)
- サテライト事業所がある場合、対象地域に所在するのが本体事業所かサテライト事業所かによって、加算の対象となる訪問看護師等が変わる。サテライト事業所のみが対象地域にある場合は、サービスの内容等の記録を別に行う
出典
厚生労働省の資料を掲載しています。
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定に関する基準(平成20年厚生労働省告示第67号):別表 区分番号01 注8、区分番号01―2 注5(令和8年告示第74号による改正後、令和8年6月1日適用)
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年厚生労働省告示第103号):第三(特別地域)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保発0305第19号):第2の6(1)(2)、第3の8(1)(2)、第4の6、第7の11
- 近畿厚生局「訪問看護療養費の算定についてのよくある質問」(令和8年6月1日適用分):No.33、No.58(通知の内容の確認)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号):別表 訪問看護費 注9(令和8年告示第87号による改正を反映した法令等データベースの本文)
- 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号):別表 介護予防訪問看護費 注8(令和8年告示第87号による改正を反映した法令等データベースの本文)
- 厚生労働大臣が定める地域(平成24年厚生労働省告示第120号):一〜六の正確な文言。訪問看護費の注9・注16、介護予防訪問看護費の注8を対象とする(最終改正は令和6年告示第86号)
- 厚生労働大臣が定める地域第六号の規定に基づき厚生労働大臣が定める地域(令和3年厚生労働省告示第74号)(法令等データベース 本文ページ):告示第120号 第六号の「別に定める」地域(都道府県・市町村別の表)。令和3年告示第204号、令和6年告示第159号による改正があるため、最新の状態かどうかは、下の改正履歴とあわせて確認してください
- 同告示の制定時の原本(令和3年4月1日適用、PDF):制定時の内容です。その後の改正は、反映されていません
- 介護保険最新情報Vol.1213(令和6年3月15日):老企第36号・老計発第0317001号の新旧対照表。老企第36号 第2の4(15)・第2の2(17)、老計発第0317001号 第2の3(14)(令和6年度改定後の記載)
- 介護保険最新情報Vol.1477(令和8年3月13日):老企第36号・老計発第0317001号の一部改正(令和8年6月1日適用)。訪問看護費は(31)、介護予防訪問看護費は(28)の新設のみ(特別地域加算の項は改正対象外)
- 社会保障審議会介護給付費分科会 資料(令和8年6月29日):特別地域訪問看護加算・特別地域介護予防訪問看護加算(+15/100)
令和3年告示第74号の改正の履歴は、国立国会図書館「日本法令索引」で確認できます。
最終確認日:2026年10月23日※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。