緊急時訪問看護加算ⅠとⅡは、何が違うのでしょうか?
どちらも、利用者や家族等から電話等で看護に関する意見を求められた場合に、常時対応できる体制を整えた事業所が算定する加算です。主な違いは、緊急時訪問における看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備が、基準に含まれるかどうかです。Ⅰは、常時対応できる体制に加えて、この体制の整備が必要です。Ⅱは、常時対応できる体制があることが基準で、Ⅰに求められる看護業務の負担の軽減に資する体制の整備は、Ⅱの基準には含まれません。
この記事では、介護保険の訪問看護における緊急時訪問看護加算Ⅰ・Ⅱの違い、単位数、算定のルール、届出の区分を、厚生労働省の告示・通知に沿って整理します。
※介護保険(訪問看護)の内容です。医療保険の「24時間対応体制加算」「緊急訪問看護加算」は、別の制度です。

Ⅰ・Ⅱの違い
緊急時訪問看護加算の基準は、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)に、次のとおり定められています。
- 加算Ⅰ:次の(1)と(2)のいずれにも適合すること
- (1)利用者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に、常時対応できる体制にあること
- (2)緊急時訪問における看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備が行われていること
- 加算Ⅱ:(1)に該当するものであること
Ⅱの基準(常時対応できる体制)を満たしたうえで、看護業務の負担の軽減に資する業務管理等の体制も整えている事業所が、Ⅰを算定できます。
早見表
| 項目 | 加算Ⅰ | 加算Ⅱ |
|---|---|---|
| 常時対応できる体制(基準の(1)) | 必要 | 必要 |
| 看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備(基準の(2)) | 必要 | 基準に含まれない |
| 単位数(指定訪問看護ステーション) | 600単位 | 574単位 |
| 単位数(病院又は診療所) | 325単位 | 315単位 |
| 算定の単位 | 1月につき | 1月につき |
※単位数は、介護給付費単位数等サービスコード表(令和8年6月・8月施行版)によります。
※「十分な業務管理等の体制の整備」の具体的な内容は、告示には書かれていません。Ⅰを届け出る前に、事業所の所在地の都道府県・市町村の案内で確認してください。
算定のルール
老企第36号(留意事項通知)に、次のルールが示されています。
- 説明と同意:指定訪問看護を受けようとする者に、常時対応できる体制にあること、計画的に訪問することとなっていない緊急時訪問を行った場合は、この加算とは別に所定単位数を算定することを説明し、同意を得たうえで、1月につき加算します。
- 加算する日:当該月の第1回目の介護保険の給付対象となる訪問看護を行った日の所定単位数に加算します。
- 計画外の緊急時訪問:当該月に、計画的に訪問することとなっていない緊急時訪問を行った場合は、その所要時間に応じた所定単位数を算定します。准看護師による緊急時訪問の場合は、所定単位数の100分の90です。この場合、居宅サービス計画の変更が必要です。
- 早朝・夜間、深夜の加算:この緊急時訪問には、早朝・夜間、深夜の訪問看護に係る加算は算定できません。ただし、特別管理加算を算定する状態の者への、1月以内の2回目以降の緊急時訪問には、これらの加算を算定します。
- 算定できる事業所:1人の利用者につき、1か所の事業所に限り算定できます。
- 算定の開始:訪問看護ステーションでは、届出を受理した日から算定します。
届出で選ぶ区分
介護給付費算定に係る体制等状況一覧表の、訪問看護の欄で届け出ます。
- 提供区分:「訪問看護ステーション」または「病院又は診療所」
- 緊急時訪問看護加算:「なし」「加算Ⅰ」「加算Ⅱ」のいずれか
ほかの加算との関係
看護体制強化加算
看護体制強化加算(Ⅰ)・(Ⅱ)の基準(指定訪問看護ステーション)に、算定日が属する月の前6月間の利用者の総数のうち、緊急時訪問看護加算を算定した利用者の割合が100分の50以上であることが含まれています(厚生労働大臣が定める基準)。
医療保険の24時間対応体制加算
要介護被保険者等が、例外として医療保険の訪問看護を受ける場合、介護保険で緊急時訪問看護加算を算定している月は、医療保険の24時間対応体制加算を算定できません(給付調整の通知)。医療保険と介護保険の使い分けは、関連記事も参照してください。
名称が似た加算
- 医療保険の訪問看護の「緊急訪問看護加算」は、別の加算です。
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の「緊急時訪問看護加算」、介護予防訪問看護の「緊急時介護予防訪問看護加算」、看護小規模多機能型居宅介護の「緊急時対応加算」は、この記事では扱いません。
実務のポイント
- Ⅰ・Ⅱの分かれ目:常時対応できる体制に加えて、看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備があるかどうかです。
- 算定のタイミング:月の第1回目の介護保険の訪問看護を行った日に、加算します。
- 緊急時訪問を行ったとき:所要時間に応じた所定単位数を、別に算定します。居宅サービス計画の変更が必要です。
- 複数の事業所を利用している場合:1人の利用者につき1か所の事業所に限られます。他のステーションから、この加算に係る指定訪問看護を受けていないかを確認します。
- 医療保険との関係:医療保険の訪問看護を受ける要介護被保険者等では、介護保険の緊急時訪問看護加算を算定している月は、医療保険の24時間対応体制加算を算定できません。
管理者が確認しておきたいこと

- 電話等で看護に関する意見を求められた場合に、常時対応できる体制があるか
- Ⅰを算定する場合、看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備が行われているか(具体的な内容は、自治体の案内で確認する)
- 体制等状況一覧表で、加算Ⅰ・Ⅱのどちらを届け出ているか
- 利用者に、体制と、計画外の緊急時訪問の算定について説明し、同意を得ているか
- 他の訪問看護ステーションから、緊急時訪問看護加算に係る指定訪問看護を受けていないか
- 緊急時訪問を行った場合に、居宅サービス計画の変更が行われているか
- 緊急時訪問の日時・内容等を、記録に残しているか
- 医療保険の訪問看護を受ける要介護被保険者等で、24時間対応体制加算との関係(同一月の算定)を確認したか
よくある質問
Q. 緊急時訪問看護加算のⅠとⅡは、何が違いますか?
A. 基準です。Ⅱは、常時対応できる体制があることが基準です。Ⅰは、それに加えて、緊急時訪問における看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備が行われていることが基準になります。
Q. 単位数はいくつですか?
A. 指定訪問看護ステーションは、Ⅰが600単位、Ⅱが574単位です。病院又は診療所は、Ⅰが325単位、Ⅱが315単位です。
Q. 緊急時訪問を行ったとき、加算とは別に算定できますか?
A. 計画的に訪問することとなっていない緊急時訪問を行った場合は、その所要時間に応じた所定単位数を算定します。この場合、居宅サービス計画の変更が必要です。
Q. 緊急時訪問に、早朝・夜間、深夜の加算は算定できますか?
A. 算定できません。ただし、特別管理加算を算定する状態の者への、1月以内の2回目以降の緊急時訪問には、これらの加算を算定します。
Q. 複数の訪問看護ステーションが、同じ利用者に算定できますか?
A. 算定できません。1人の利用者につき、1か所の事業所に限られます。
Q. 医療保険の「緊急訪問看護加算」と同じですか?
A. 別の加算です。医療保険の訪問看護には、緊急訪問看護加算があります。違いは、関連記事の「24時間対応体制加算とは」で解説しています。
まとめ
- 緊急時訪問看護加算(介護保険)は、電話等で看護に関する意見を求められた場合に、常時対応できる体制にある事業所が、1月につき算定する加算
- Ⅱは、常時対応できる体制が基準。Ⅰは、それに加えて、看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備が基準
- 単位数は、ステーションでⅠが600単位、Ⅱが574単位。病院又は診療所でⅠが325単位、Ⅱが315単位
- 計画外の緊急時訪問は、所要時間に応じた所定単位数を算定する。居宅サービス計画の変更が必要。早朝・夜間、深夜の加算は、原則として算定できない
- 1人の利用者につき1か所の事業所に限る。訪問看護ステーションは、届出を受理した日から算定する
最新の基準や算定ルールは、必ず厚生労働省の資料や通知で確認してください。
関連記事:24時間対応体制加算とは|緊急訪問看護加算との違いも解説(医療保険)/訪問看護は医療保険と介護保険どちらで?|判断基準を整理(2026年度版)/制度一覧
出典:厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)/介護給付費単位数等サービスコード表(令和8年6月・8月施行版)/留意事項通知(老企第36号)/体制等に関する届出等における留意点(老発0315第1号)/医療保険と介護保険の給付調整(老老発0327第2号・保医発0327第4号)
最終確認日:2026年10月15日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。