訪問看護は、医療保険と介護保険のどちらで算定するの?
利用者の年齢や状態によって、医療保険になるか、介護保険になるかが変わります。要介護の利用者でも、医療保険になる場合があるため、迷いやすい場面です。
この記事では、厚生労働省の資料に沿って、判断の基準を整理します。
※2026年度(令和8年度)改定の資料に基づいています。

判断の基本
利用者は、年齢や疾患、状態によって、医療保険または介護保険の適応になります。介護保険の給付は、医療保険の給付に優先することとされています(令和8年6月の厚生労働省老健局資料)。
利用者は年齢や疾患、状態によって医療保険又は介護保険の適応となるが、介護保険の給付は医療保険の給付に優先することとしており、要介護被保険者等については、末期の悪性腫瘍、難病患者、急性増悪等による主治医の指示があった場合などに限り、医療保険の給付により訪問看護が行われる。
令和8年度の算定告示にも、指定訪問看護の費用の額は、別に厚生労働大臣が定める場合を除き、介護保険法第62条に規定する要介護被保険者等については、算定しないと定められています。算定留意事項通知も、同じです。
重要な注意点
要介護被保険者等が医療保険に切り替わる根拠として、厚生労働省の資料に明記されているのは、別表第7、特別訪問看護指示書、精神科訪問看護(認知症を除く)、入院中の一時的な外泊時の訪問です。別表第8は、この「医療保険への切り替え」の根拠には含まれていません。別表第8は、すでに医療保険が適用されている利用者について、週4日以上の訪問を認める特例や、特別管理加算等の対象者要件として機能するものです。この違いは、後の章で詳しく説明します。
早見表
| 利用者 | 保険 | 訪問の目安 |
|---|---|---|
| 小児等、40歳未満の者、要介護者・要支援者以外 | 医療保険 | 原則週3日以内 |
| 要支援者・要介護者 | 介護保険 | 区分支給限度基準額の範囲内で、ケアプランに基づいて利用する |
| 別表第7に該当する利用者(要介護者を含む) | 医療保険 | 週4日以上の訪問が可能 |
| 特別訪問看護指示書の交付を受けた利用者(要介護者を含む) | 医療保険 | 週4日以上の訪問が可能(有効期間は14日間) |
| 認知症以外の精神疾患(要介護者を含む) | 医療保険 | 精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)・(Ⅲ)は、週3日(退院後3月以内は週5日)が限度。精神科特別訪問看護指示書の場合は、月1回、14日を限度 |
| 入院中の利用者が、在宅療養に備えて一時的に外泊する場合 | 医療保険 | 訪問看護基本療養費(Ⅲ)は、入院中1回(別表第7・8など、週3日を超えて訪問が必要な利用者は2回) |
※週の日数は、日曜日から土曜日までの1週間を単位として数えます。
※別表第8は、この表に単独の行として設けていません。医療保険が適用される利用者(上記のいずれかに該当する利用者)について、別表第8に該当する場合は、週4日以上の訪問が可能になります。別表第8それ自体は、要介護者を医療保険に切り替える根拠ではありません。詳しくは、「別表第8の扱い」の章をご覧ください。

医療保険になる場合
1. 小児等、40歳未満の者、要介護者・要支援者以外
医療保険の対象で、訪問は原則として週3日以内です。
2. 別表第7に該当する利用者(厚生労働大臣が定める疾病等)
要介護の利用者でも、医療保険で、週4日以上の訪問が可能です。厚生労働省の資料でも、「末期の悪性腫瘍、難病患者…」として、要介護被保険者等を医療保険に切り替える根拠の1つに挙げられています。
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病関連疾患
- 多系統萎縮症
- プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態
主たる傷病名が「視神経脊髄炎」の利用者は、「多発性硬化症」に、「多巣性運動ニューロパチー」の利用者は、「慢性炎症性脱髄性多発神経炎」に、それぞれ該当します(疑義解釈)。
3. 特別訪問看護指示書の交付を受けた利用者
患者の主治医が、診療に基づき、急性増悪等により一時的に頻回(週4日以上)の訪問看護を行う必要性を認め、訪問看護ステーションに対して交付する指示書です。要介護被保険者等であっても、この指示書の交付を受けている期間は、医療保険の訪問看護療養費を算定します。
- 有効期間は、14日間です(指示があった日から起算して14日を限度)。
- 月2回交付できる(有効期間は28日間)のは、次の状態の利用者です。
- 気管カニューレを使用している状態にある者
- 真皮を越える褥瘡の状態にある者
- 交付の日の属する週と、交付のあった日から起算して14日目の日の属する週は、指示書の期間中に算定した日を除き、週3日を限度として算定できます。
4. 認知症以外の精神疾患
精神科訪問看護基本療養費が算定される訪問(認知症でない患者に限る)は、要介護被保険者等でも、医療保険の対象です。厚生労働省の資料にも、「精神科訪問看護が必要な方(認知症は除く)」は医療保険で訪問看護が提供されると示されています。
- 精神疾患のある利用者(認知症を除く)が、精神科以外の医療機関でも診療を受けている場合は、その精神疾患の診療を行う主治医(精神科を標榜する保険医療機関において、精神科を担当する保険医に限る)が、精神科訪問看護指示書を交付すれば、精神科訪問看護として扱われます。
- 精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)・(Ⅲ)は、訪問看護基本療養費等の算定日と合わせて、利用者1人につき、週3日(退院後3月以内の期間は週5日)が限度です。
- 精神科特別訪問看護指示書の交付を受けた場合は、月1回に限り、指示があった日から起算して14日を限度として算定できます。
5. 入院中の利用者が、在宅療養に備えて一時的に外泊する場合
入院中の利用者が、退院後の在宅療養に備えて一時的に外泊する際に、訪問看護ステーションの看護師等が指定訪問看護を行った場合、要介護被保険者等であっても、医療保険の訪問看護基本療養費(Ⅲ)を算定できます(基準告示第2の2に規定する者:別表第7該当者、別表第8該当者、またはその他一時的な外泊に当たり訪問看護が必要と認められた者に限ります)。入院中1回に限り算定でき、別表第7・8に該当する利用者で外泊が必要と認められた者は、入院中2回まで算定できます。退院前の訪問であっても、外泊を伴わない場合は対象になりません。
別表第8の扱い(医療保険適用の根拠ではなく、訪問回数等の特例)
別表第8は、要介護被保険者等を医療保険に切り替える根拠には含まれていません。近畿厚生局のFAQにも、次のように示されています。
ただし、基準告示第2の1に規定する疾病等の利用者については、週4日以上算定することができます。
【基準告示第2の1に規定する疾病等の利用者】
週3日を超えて訪問看護を行う必要がある利用者であって、次のいずれかに該当するもの
(1)別表第7に掲げる疾病等の者
(2)別表第8に掲げる者
これは、訪問看護基本療養費(Ⅰ)・(Ⅱ)の算定要件(週3日の限度を超えられるかどうか)についての規定であり、すでに医療保険の訪問看護を利用している利用者を対象とした特例です。要介護者が別表第8に該当するというだけで、介護保険から医療保険に切り替わるわけではありません。
| 号 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理、在宅強心剤持続投与指導管理、在宅気管切開患者指導管理のいずれかを受けている状態にある者、または、気管カニューレ・留置カテーテルを使用している状態にある者 |
| 2 | 次のいずれかを受けている状態にある者:在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理、在宅肺高血圧症患者指導管理、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理(令和8年度に追加) |
| 3 | 人工肛門または人工膀胱を設置している状態にある者 |
| 4 | 真皮を越える褥瘡の状態にある者 |
| 5 | 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者 |
「在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている状態」は、現に、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料(医科点数表のC114)を算定している利用者です。難治性の皮膚病変があるだけの利用者は、該当しません(疑義解釈)。
別表第8は、このほか、特別管理加算の対象者要件としても使われます。この記事では、保険の適用判断(どちらの保険になるか)と、別表第8による週4日以上の訪問・特別管理加算等の算定上の特例は、別の話として扱っています。
介護保険になる場合
要支援者・要介護者は、原則として介護保険の訪問看護(訪問看護費)です。訪問は、区分支給限度基準額の範囲内で、ケアプランに基づいて利用します。
医療保険と介護保険の併算定の制限
要介護被保険者等が、上の例外で、医療保険の訪問看護を受ける場合は、次のような制限があります(給付調整の通知)。
- 介護保険で、緊急時訪問看護加算、緊急時介護予防訪問看護加算、緊急時対応加算を算定している月は、医療保険の24時間対応体制加算を算定できません。
- 介護保険の特別管理加算を算定している月は、医療保険の特別管理加算を算定できません。
- 介護保険の看護・介護職員連携強化加算を算定している月は、医療保険の看護・介護職員連携強化加算を算定できません。
- 介護保険の専門管理加算を算定している月は、医療保険の専門管理加算を算定できません。
- 介護保険のターミナルケア加算(遠隔死亡診断補助加算を含む)を算定した場合は、医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費(遠隔死亡診断補助加算を含む)を算定できません。
- 要介護被保険者等は、在宅患者連携指導加算を算定できません。
- 訪問看護情報提供療養費1は、同一月に、介護保険による訪問看護を受けていない場合に限り、算定できます。
月の途中で、要介護被保険者等になった場合:要介護被保険者等となった日から、同一の傷病等についての給付が、医療保険から介護保険へ変更されます。
2026年度改定での変更
「在宅難治性皮膚疾患処置指導管理」を受けている利用者が、別表第8に追加されました。すでに医療保険の訪問看護を利用している利用者について、訪問看護基本療養費等を週4日以上算定できる対象が広がっています。
実務のポイント
- 医療保険と介護保険の分かれ目:まず要支援・要介護の認定の有無を確認し、要介護者等であれば、別表第7、特別訪問看護指示書、精神疾患(認知症以外)、入院中の一時的な外泊時の訪問のいずれかに該当するかを確認します。別表第8は、この判断には使いません。
- 複数の傷病がある利用者:複数の保険医療機関で診療を受けている場合は、原則として、指定訪問看護が必要となる主傷病の診療を担う主治医が交付した訪問看護指示書に基づいて、訪問看護療養費を算定します。
- 高齢者向け住まい等に併設・隣接するステーション:包括型訪問看護療養費の対象は、別表第7・8、特別訪問看護指示の利用者です。これらに該当しない介護保険の利用者は、訪問看護費(介護保険)で算定し、単一建物居住利用者の数に含みません。詳しくは、包括型訪問看護療養費の記事で解説しています。
- 訪問回数:医療保険は原則週3日以内で、別表第7・特別訪問看護指示の場合は週4日以上が可能です。すでに医療保険が適用されている利用者が、あわせて別表第8にも該当する場合も、週4日以上の訪問が可能になります。介護保険は、区分支給限度基準額の範囲内で、ケアプランに基づいて利用します。
管理者が確認しておきたいこと

- 要支援・要介護の認定を、受けているか
- 要介護者等の場合、別表第7、特別訪問看護指示書、精神疾患(認知症以外)、入院中の一時的な外泊時の訪問のいずれかに該当するか(主治医の情報を確認する)
- 特別訪問看護指示書が、交付されているか。有効期間(14日間)が、切れていないか
- 医療保険が適用される場合に、あわせて別表第8にも該当するか(週4日以上の訪問・特別管理加算等に関係する)
- 訪問回数が、保険ごとの目安に合っているか
- 要介護被保険者等が、医療保険の訪問看護を受ける場合に、介護保険側の加算を算定している月がないか(24時間対応体制加算、特別管理加算など)
よくある質問
Q. 要介護の利用者は、医療保険の訪問看護を受けられますか?
A. 別表第7に該当する場合、特別訪問看護指示書の交付を受けた場合、認知症以外の精神疾患の場合(精神科訪問看護基本療養費が算定される訪問)、入院中に一時的な外泊時の訪問を行う場合に、医療保険の訪問看護療養費を算定できます。
Q. 別表第8に該当する要介護の利用者は、医療保険になりますか?
A. いいえ。別表第8は、要介護者を医療保険に切り替える根拠には含まれていません。別表第7、特別訪問看護指示書、精神疾患(認知症以外)、一時的な外泊時の訪問のいずれかによって、すでに医療保険が適用されている利用者について、別表第8に該当すると、週4日以上の訪問が可能になる、という位置づけです。
Q. 特別訪問看護指示書の有効期間は?
A. 14日間です。気管カニューレを使用している状態の人と、真皮を越える褥瘡の状態の人は、月2回交付でき、有効期間は28日間です。
Q. 介護保険の利用者は、同一建物の人数に含まれますか?
A. 包括型訪問看護療養費の資料では、介護保険の利用者は、単一建物居住者数に含まないと示されています。
Q. 介護保険の緊急時訪問看護加算を算定している月に、医療保険の24時間対応体制加算は算定できますか?
A. 要介護被保険者等が、医療保険の訪問看護を受ける場合は、算定できません。
まとめ
- 介護保険は、医療保険に優先する。要支援・要介護の利用者は、原則、介護保険
- 要介護でも、別表第7、特別訪問看護指示書、認知症以外の精神疾患(精神科訪問看護基本療養費が算定される訪問)、入院中の一時的な外泊時の訪問は、医療保険の訪問看護療養費を算定できる
- 別表第8は、要介護者を医療保険に切り替える根拠ではない。すでに医療保険が適用されている利用者について、週4日以上の訪問や、特別管理加算等の対象者要件として機能する
- 医療保険は、原則週3日以内。別表第7・特別訪問看護指示、または医療保険適用時の別表第8該当では、週4日以上が可能
- 介護保険の訪問看護は、区分支給限度基準額の範囲内で、ケアプランに基づいて利用する
- 医療保険を受ける要介護被保険者等は、介護保険の加算を算定している月に、医療保険の24時間対応体制加算などを算定できない
最新の対象疾患や算定ルールは、必ず厚生労働省の資料や通知で確認してください。
関連記事:訪問看護の診療報酬改定まとめ|2026年度の変更点を解説/包括型訪問看護療養費とは|2026年新設の対象と算定要件(医療保険)/24時間対応体制加算とは|緊急訪問看護加算との違いも解説(医療保険)/制度一覧
出典:厚生労働省老健局「訪問看護」社会保障審議会介護給付費分科会(第259回、令和8年6月29日)資料3/厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」(令和8年9月4日版)/訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(令和8年厚生労働省告示第74号)/算定留意事項通知(令和8年3月5日 保発0305第19号)/「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」(令和8年3月27日 老老発0327第2号・保医発0327第4号)/疑義解釈資料(その1)/近畿厚生局「よくある質問(訪問看護療養費の算定について)」(令和8年6月1日〜適用分)
最終確認日:2026年10月15日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。