包括型訪問看護療養費は、どんなステーションが、どの利用者に算定できるの?
2026年6月の改定で、高齢者向け住まい等に併設・隣接するステーションを対象にした、新しい療養費が加わりました。1日あたりの訪問時間と、建物に居住する利用者の人数で、金額が決まります。
この記事では、包括型訪問看護療養費の、対象、金額、算定要件、施設基準を整理します。
※この記事は医療保険の訪問看護が対象です。

包括型訪問看護療養費とは?
高齢者向け住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションが、その住まいに居住する利用者に、24時間体制で、計画的または随時の対応による頻回の訪問看護を行った場合に、1日あたりで算定する療養費です。居住者に短時間で頻回の訪問看護を効率的に行えることを踏まえて、包括で評価する体系として新設されました。
対象
建物
- 高齢者向け住まい等(サービス付き高齢者向け住宅、または、有料老人ホーム等の集合住宅等)に、ステーションが併設または隣接(同一敷地内を含む)していること
- ステーションが、包括型を算定する建物として届出を行った建物に、利用者が居住していること
利用者
- 次のいずれかに該当する利用者であること(別表第7・8は、医療保険と介護保険の判断基準の記事で解説しています)
- 別表第7に掲げる疾病等の者
- 別表第8に掲げる者
- 特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者
- 主治医の訪問看護指示書の有効期間内(6か月を限度)であること
- 包括型を算定することを、あらかじめ利用者に説明して、同意を得ていること
金額(1日につき)
| 単一建物居住利用者 | 30分以上60分未満 | 60分以上90分未満 | 90分以上 | 90分以上(別に定める場合) |
|---|---|---|---|---|
| 20人未満 | 7,010円 | 11,010円 | 14,010円 | 15,510円 |
| 20人以上50人未満 | 6,310円 | 9,910円 | 13,730円 | 15,200円 |
| 50人以上 | 5,960円 | 9,360円 | 13,450円 | 14,890円 |
- 単一建物居住利用者の人数は、その利用者が居住する建物(同一敷地内を含む)に居住する者のうち、同月に、そのステーションが、包括型または訪問看護管理療養費を算定する者の人数です。
- 訪問看護時間は、1日に行った複数回の訪問看護の時間の合計です。訪問時間が翌日にわたる場合は、原則、日付ごとに計上します(日付変更後が短時間なら、開始日に合わせても構いません)。家族が同室にいて連続して訪問した場合は、時間を重複して計上せず、看護の内容に応じて分けて計上します。
- **「別に定める場合」**は、緊急時に即時に適切な訪問看護を実施できる体制があり、算定する利用者全員の、1日あたりの平均訪問時間が120分以上のときです。この区分の緊急時の対応は、緊急訪問看護加算の規定に準じて行います。
算定要件
- 24時間の対応体制で、計画的または随時の対応により実施される、頻回の訪問看護であること
- 日中と夜間帯(午後6時から午前8時)に、少なくとも1回ずつ訪問すること
- 1日の訪問時間が60分以上なら、3回以上訪問すること
- 1日に1回以上は、看護職員(准看護師を除く)による訪問が含まれること
- 管理者等が、訪問看護計画書を1日に1回以上確認し、必要に応じて見直すこと。管理者等は、ステーションの管理者、または、包括型を算定する日の訪問看護に対する責任者(准看護師を除く看護職員)です。計画書の見直しは、管理者等以外の看護職員(准看護師を除く)でも構いません。確認や見直しを行ったときは、記録書に記録します。
- 計画書と記録書は、電子的方法で記録・保存し、実施した訪問看護の内容と時間を、記録書に記載すること
- 訪問1回あたりの時間や、1日あたりの回数に上限はありませんが、利用者の希望や心身の状況に応じて設定し、漫然かつ画一的にならないようにします(複数の利用者に、毎日同様の時間・回数を設定する、など)。
1日の訪問が、要件に合わない場合
- 届出をした建物に居住する、上の対象の利用者に、1日に2回以上訪問した場合は、包括型を算定します。計画外の緊急の訪問でも、要件を満たして、1日2回以上なら、包括型を算定します。
- 60分以上90分未満の時間でも、訪問が3回未満なら、「30分以上60分未満」の区分を算定します。
- 日中に2回訪問して、夜間帯に訪問していない場合は、包括型の要件を満たしません。基本療養費(Ⅱ)の算定要件(30分以上を標準とする、など)を満たすなら、日中の1回分の基本療養費(Ⅱ)を算定します。
包括型を算定する日の報酬
別に算定できない報酬
- 基本療養費(Ⅰ・Ⅱのハを除く)、精神科訪問看護基本療養費
- 難病等複数回訪問加算、特別地域訪問看護加算、長時間訪問看護加算
- 複数名訪問看護加算、複数名精神科訪問看護加算
- 夜間・早朝訪問看護加算、深夜訪問看護加算
- 精神科複数回訪問加算
- 訪問看護管理療養費、24時間対応体制加算
あわせて算定できる報酬
- 訪問看護情報提供療養費、訪問看護ターミナルケア療養費、訪問看護遠隔診療補助料、訪問看護ベースアップ評価料、訪問看護物価対応料(算定告示で、包括型に加えて算定する区分とされています)
- 訪問看護基本療養費(Ⅰ)・(Ⅱ)のハ、乳幼児加算(近畿厚生局のFAQ)
緊急訪問看護加算・精神科緊急訪問看護加算は、90分以上で「別に定める場合」の区分には含まれます。それ以外の区分では、算定できますが、包括型は、随時の対応による訪問看護を含む評価なので、算定できるのは、特に予見が困難で重篤な症状の出現等のため、緊急に、主治医の明示の指示で、通常とは著しく異なる対応を必要とした場合に限られます。同日に多数の利用者に算定したり、同一の利用者に連日算定したりすることは、想定されていません。
施設基準(概要)
ステーションと建物
- 高齢者向け住まい等の建物に、主たる事業所が併設・隣接していること(サテライトのみが併設・隣接している場合は、届出できません)
- 届出時に、建物を指定します。通知では、ステーションにつき1か所とされています。ただし、疑義解釈で、併設・隣接する建物が複数あり、看護職員等の体制や、事務所と居室の距離等から、一体的に訪問看護を行えるなら、複数の建物を指定して届け出ることも可能とされています。その場合、同一建物および単一建物居住利用者の数は、複数の建物を合算した人数になります。
- 届け出た建物に対して、他のステーションは、包括型の届出を行えません。届け出た建物に居住していない利用者に、包括型を算定しない訪問看護を行うことは、差し支えありません。
24時間体制での対応
- 建物を単位として、24時間体制で、計画的または随時の訪問看護を行える体制があること
- 利用者等からの、電話や情報通信機器等による連絡・相談が、24時間受けられる体制があること。ステーション以外の施設や従事者を経由する体制や、ステーション以外の者が所有する電話を連絡先とすることは、認められません。
- 連絡・相談を担当する人は、原則として、ステーションの保健師または看護師とし、勤務体制等を明確にします。
- 90分以上の区分(ハ・ニ)を算定する場合は、連絡・相談を、建物内で受けられる体制が必要です。担当者は、原則として、その建物で現に訪問看護に従事する看護職員です。准看護師が担当する場合は、緊急の訪問看護の必要性を、保健師または看護師が速やかに判断できる体制と、保健師または看護師への報告と記録が、必要です。
- 90分未満の区分(イ・ロ)は、建物内で受けられる体制は、必須ではありません。整備することが、望ましいとされています。
- 看護師等以外の職員が担当する場合は、マニュアルの整備、保健師・看護師への報告と記録、勤務体制の明確化、利用者・家族への説明と同意などの条件を満たし、別紙様式12で届け出ます。
- 建物に居住する利用者に、建物内でのステーションの看護職員への連絡方法を説明します。家族等に、ステーションの所在地、電話番号、直接連絡のとれる連絡先電話番号等を記載した文書を、必ず交付します。
- 包括型の届出を行っていれば、24時間対応体制加算として、別に届出を行う必要はありません。
24時間体制での負担軽減の取組
次のうち、(イ)または(ロ)を含む2項目以上を満たし、届出前1か月の実績があること。
- (イ)夜間帯に対応した翌日の勤務間隔の確保
- (ロ)夜間帯の対応に係る勤務の連続回数が2連続(2回)まで
- (ハ)夜間帯の対応後の暦日の休日確保
- (ニ)夜間帯の勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫
- (ホ)ICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減
看護職員の配置
- 包括型を算定する利用者と、その建物の他の利用者(基本療養費(Ⅱ)等を算定する利用者)の、それぞれの算定要件を満たす訪問看護を実施できる、十分な配置
- 90分以上の区分(ハ・ニ)を算定する利用者がいる場合、夜間帯の看護職員は、常時1名以上です。この区分を算定する利用者の合計が31〜80人なら2名以上、81人以上なら、50人またはその端数を増すごとに1名を加えます。
- 夜間帯の看護職員の数は、訪問看護計画で夜間帯の訪問が予定されている利用者を含む数で判断します。緊急で利用者が増えた場合は、例外的に、実際の人数が基準を上回ることがあります。
- 夜間帯の看護職員は、包括型を算定する利用者への訪問に影響のない範囲で、建物内の、包括型を算定しない他の利用者への訪問に従事できます。建物外の利用者への訪問との兼務は、できません。
医療安全・衛生管理
- 医療安全管理と衛生管理を行う体制が整備されていること
- 安全管理の指針が整備され、基本的な考え方、事故発生時の対応方法等が、文書化されていること
- 事故・インシデント等が報告され、その分析を通した改善策が実施される体制があること
- 安全管理の体制確保のための職員研修が、年2回程度実施されていること
- 管理者が、設備・備品等の衛生管理を行うこと。建物の居住スペースも衛生的に保たれるよう、その住まいを設置・運営する他の事業者等と、必要時に連携すること
地域の医療機関等との連携
- 地域の保険医療機関やステーションとの連携を担当する責任者を、配置すること
- 直近1年間に、地域の保険医療機関や、ステーションと合同で、研修や事例検討会等を2回以上実施し、それらに、訪問看護に関する情報提供の実績があること。これらには、当該ステーションと特別の関係にない、地域の保険医療機関または、他のステーションとの連携が、含まれている必要があります。
- 経過措置:令和8年5月31日時点で、指定を受けている事業所は、この連携の実績について、令和9年5月31日までは、基準を満たすものとみなされます。
調査への参加・記録・負担軽減の体制
- 厚生労働大臣が実施する調査(包括型を算定する利用者の状態や、訪問看護の実施状況等の毎年の調査と、中央社会保険医療協議会の要請による随時の調査)に、適切に参加すること
- 計画書と記録書を、電子的方法で記録・保存すること
- 看護職員の負担の軽減と処遇の改善に関する責任者と、多職種の連携・役割分担に関する責任者を、配置すること(兼務可)。責任者は、勤務状況を把握して、具体的な取組み内容と目標達成年次等を含む計画を作成し、職員に周知します。
新規に開設したステーションの、安全管理の職員研修:届出時に、届出後3か月以内の研修の予定等、基準を満たすことが見込まれる具体的な計画を示せば、基準を満たすものとして扱われます。ただし、届出後1か月以内に、少なくとも1回は実施する必要があります。届出後3か月の時点で、計画が遂行されていない場合は、届出を速やかに取り下げます。
届出:別紙様式12を使います。短期間での届出の取り下げや再届出は、避けることが望ましいとされています。取り下げる場合は、費用の算定方法が変わることを、利用者に説明して、同意を得ます。
記録書Ⅲ
包括型を算定する利用者は、「記録書Ⅲ」を1日ごとに作成します。合計訪問時間を記載し、訪問ごとに時系列で記録します(厚生労働省の説明資料)。
他のステーションが訪問する場合
届け出た建物の利用者への訪問は、基本的には、包括型を届け出たステーションが行い、他のステーションが訪問することは、想定されていません。次のいずれかに該当し、主治医が必要性を認めて、他のステーションに訪問看護指示書を交付した場合は、他のステーションが訪問できます。その場合、包括型以外の訪問看護療養費のうち、要件を満たすものを算定します。
- 災害等のやむを得ない事情で、包括型を届け出たステーションから、十分な訪問看護を行えなくなった場合
- 建物に居住する利用者が、他のステーションの利用を希望した場合
この場合は、やむを得ない事情や利用者の状況等(申し出があった日、把握した理由等)を、訪問看護記録書に記録します。包括型を届け出たステーションと、他のステーションが特別の関係にある場合は、同一建物および単一建物居住利用者の数は、その建物で合算した人数です。
基本療養費(Ⅱ)との使い分け
| 利用者の状況 | 訪問看護の状況 | 算定 | 単一建物居住利用者の数 |
|---|---|---|---|
| 別表第7・8、特別訪問看護指示 | 1日に2回以上(日中と夜間帯を含む) | 包括型訪問看護療養費 | 含む |
| 別表第7・8、特別訪問看護指示 | 1日1回のみ | 基本療養費(Ⅱ)、管理療養費等 | 含む |
| 上記以外(医療保険) | 1日1回のみ | 基本療養費(Ⅱ)、管理療養費等 | 含む |
| 上記以外(介護保険) | ― | 訪問看護費(介護保険) | 含まない |
届出をした建物の利用者のうち、別表第7・8、特別訪問看護指示に該当しない利用者には、包括型以外の訪問看護療養費のうち、算定要件を満たすものを算定します。この場合、24時間対応体制加算の届出を別に行っていなくても、加算は算定できます。
あわせて算定する評価
- 訪問看護物価対応料2:包括型を算定している利用者1人につき、1日につき1回(令和8年度は20円。令和9年6月以降は、所定額の2倍)
- 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ):包括型を算定している利用者1人につき、月1回に限り算定します。
詳しくは、物価対応料・ベースアップ評価料の記事で解説しています。
管理者が確認しておきたいこと

- 建物と届出:併設・隣接する高齢者向け住まい等を、指定して届け出ているか。主たる事業所の併設・隣接か
- 訪問の回数と時間:日中と夜間帯にそれぞれ1回以上訪問しているか。1日60分以上なら3回以上か
- 夜間の職員配置:90分以上の区分を算定する利用者の人数に応じて、看護職員を確保しているか
- 連絡・相談の体制:24時間の連絡・相談を、建物内で受けられる体制(90分以上の区分)があるか。担当者と、連絡先を記載した文書があるか
- 記録:計画書と記録書を電子的に管理し、管理者等による計画書の確認を記録しているか
- 体制:安全管理、地域の医療機関等との連携(特別の関係にない機関を含む)、負担軽減の取組と、責任者・計画が、整っているか
よくある質問
Q. 1日の訪問が1回だけの利用者は、どう算定しますか?
A. 包括型ではなく、基本療養費(Ⅱ)と管理療養費等を算定します。
Q. 介護保険の利用者も、包括型ですか?
A. 包括型の対象は、別表第7・8、特別訪問看護指示の利用者(医療保険)です。これらに該当しない介護保険の利用者は、介護保険の訪問看護費で算定し、単一建物居住利用者の数にも含みません。
Q. 建物は、複数、届け出られますか?
A. 通知では、ステーションにつき1か所とされています。ただし、疑義解釈で、併設・隣接する建物が複数あり、看護職員等の体制や、事務所と居室の距離等から、一体的に訪問看護を行えるなら、複数の建物を指定して届け出ることも可能とされています。
Q. 包括型を算定する日は、管理療養費も算定できますか?
A. できません。管理療養費は、包括型を算定する日には、別に算定できない報酬です。
Q. 24時間対応体制加算の届出は、別に必要ですか?
A. 包括型の届出を行っていれば、24時間対応体制加算として、別に届出を行う必要はありません。
まとめ
- 包括型訪問看護療養費は、高齢者向け住まい等に併設・隣接するステーションが、別表第7・8などの利用者に、24時間体制で頻回の訪問を行う場合の、1日あたりの包括評価
- 金額は、1日の訪問時間と、単一建物居住利用者の人数で決まり、5,960円〜15,510円
- 日中と夜間帯の訪問、60分以上なら3回以上、管理者等による計画書の確認、電子的な記録などが、算定要件
- 届出は、建物を指定して行い、夜間の看護職員の配置や、24時間体制、地域連携などの施設基準がある
最新の金額や算定ルールは、必ず厚生労働省の資料や通知で確認してください。
関連記事:訪問看護の診療報酬改定まとめ|2026年度の変更点を解説/訪問看護管理療養費の変更点|2026年改定の算定要件・区分を解説(医療保険)/訪問看護の同一建物減算とは|2026年改定の5区分を解説(医療保険)/24時間対応体制加算とは|緊急訪問看護加算との違いも解説(医療保険)/制度一覧
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」(令和8年9月4日版)/訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(令和8年厚生労働省告示第74号)/訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(令和8年厚生労働省告示第75号)/算定留意事項通知(令和8年3月5日 保発0305第19号)/届出手続きの通知(令和8年3月5日 保医発0305第9号)/疑義解釈資料(その2・3・5・7・8・10)/近畿厚生局「よくある質問(訪問看護療養費の算定について)」(令和8年6月1日〜適用分)
最終確認日:2026年10月15日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。