月の2日目以降の管理療養費、どの区分で算定するの?
同じ利用者でも、同じ建物にほかに何人いるか、その月に何日訪問したかで、単価が変わるようになりました。2026年6月施行の改定で、月の2日目以降の区分が大きく変わっています。
この記事では、訪問看護管理療養費の基本から、2026年度改定で何が変わったかまでを、金額つきで整理します。
※この記事は医療保険の訪問看護が対象です。介護保険の訪問看護には、この管理療養費はありません。

訪問看護管理療養費とは?
訪問看護管理療養費は、医療保険の訪問看護で、計画的な管理を継続して行った場合に算定する療養費です。基本療養費とは別に算定し、月の初日と2日目以降では、それぞれ定められた区分・金額が適用されます。
算定するには、次のことが必要です。
- 指定訪問看護を行うための、安全な提供体制が整備されていること
- その利用者に、訪問看護基本療養費(精神科を含む)を算定すべき指定訪問看護を行っていること
- 訪問看護計画書と訪問看護報告書(精神科の場合は、精神科訪問看護計画書と報告書)を、主治医に、書面または電子的な方法で提出していること
- 主治医との連携の確保や、訪問看護計画の見直し等を含め、その利用者に係る指定訪問看護の実施について、休日・祝日等も含めた計画的な管理を継続して行っていること
営業時間内の、利用者や家族等との電話連絡、居宅における療養に関する相談等、計画的な管理(他のステーションとの連絡調整を含む)に要する費用は、管理療養費に含まれます。
訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)そのものの算定要件は、訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の記事で詳しく扱っています。
「安全な提供体制」とは
通知では、次のすべてを満たすことが求められています。
- ア:安全管理に関する基本的な考え方、事故発生時の対応方法等が、文書化されていること
- イ:訪問先等で発生した事故、インシデント等が報告され、その分析を通した改善策が実施される体制が整備されていること
- ウ:日常生活の自立度が低い利用者につき、褥瘡に関する危険因子の評価を行うこと。危険因子のある利用者と、すでに褥瘡を有する利用者については、適切な褥瘡対策の看護計画を作成、実施、評価すること(褥瘡アセスメントの記録は、参考様式を踏まえて記録します)
- エ:災害等が発生した場合でも、訪問看護の提供を中断させない、または、中断しても可能な限り短い期間で復旧させ、継続的に提供できるよう、業務継続計画を策定し、必要な措置を講じていること
- オ:毎年8月に、褥瘡を有する利用者数等について、地方厚生(支)局長へ報告を行うこと
2026年度改定の全体像
2026年6月1日施行の改定で、管理療養費まわりは、大きく2つに分けて変わりました。
管理療養費そのものの変更
- 月の初日の評価が、引き上げられた
- 機能強化型訪問看護管理療養費4が、新設された
- 月の2日目以降の区分が、統合・細分化された(単一建物居住利用者数×訪問日数)
- 単一建物居住利用者の人数に、同一敷地内の建物に居住する利用者が含まれることが、規定された
あわせて新設された関連制度
- 包括型訪問看護療養費が新設された
- 訪問看護物価対応料が新設された
変更点①:月の初日の訪問
| 区分 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| 機能強化型1 | 13,230円 | 13,760円 |
| 機能強化型2 | 10,030円 | 10,460円 |
| 機能強化型3 | 8,700円 | 9,030円 |
| 機能強化型4(新設) | ― | 9,030円 |
| 上記以外 | 7,670円 | 7,710円 |
機能強化型4は、支援ニーズの高い精神科訪問看護の利用者を受け入れ、24時間の対応と、地域の関係機関との連携体制がある事業所を評価する区分です。主な施設基準は、次のとおりです。
- 常勤の看護職員4人以上(全員常勤のみで、非常勤の常勤換算は認められません)
- 看護職員の割合6割以上
- 24時間対応体制加算の届出
- 別表第7・8の利用者が月3人以上
- 「1年以上の入院歴等がある者」「GAF尺度40以下の者」「精神科重症患者支援管理連携加算を算定する者」のいずれかに該当する利用者が、合計で月7人以上
- 地域の連携機関が5機関以上・3種類以上、年3回以上の面会実績
要件の詳細は、機能強化型訪問看護管理療養費4の記事で解説しています。
届出が必要なのは、機能強化型(1〜4)として算定する場合です。 上記以外(7,710円)の場合は、届出は不要です。
変更点②:月の2日目以降の訪問
これまでは、「訪問看護管理療養費1」(3,000円)と「同2」(2,500円)の2区分でした。改定後は、この2つが統合され、施設基準の届出が不要になりました。そのうえで、単一建物居住利用者数と、管理療養費等を算定する日数で、区分が細分化されています(1日につき)。
単一建物居住利用者数とは
単なる建物の居住者総数ではなく、その月に、そのステーションが訪問看護管理療養費または包括型訪問看護療養費を算定する利用者数で判定します。
| 単一建物居住利用者 | 月15日目まで | 月16日目以降24日目まで | 月25日目以降 |
|---|---|---|---|
| 20人未満 | 3,010円(日数の区分なし) | ← | ← |
| 20人以上50人未満 | 2,510円 | 2,310円 | 2,210円 |
| 50人以上 | 2,410円 | 2,210円 | 2,010円 |
大規模な建物への訪問が多いほど、また、月の後半になるほど、単価が下がる仕組みです。
「月〇日目」の数え方
単一建物居住利用者が20人以上の場合の、「月15日目まで」「月16日目以降24日目まで」「月25日目以降」の区分は、訪問看護管理療養費または包括型訪問看護療養費を算定する日数に応じて、該当する区分を算定します。
退院時共同指導を行った日は、訪問看護管理療養費または包括型訪問看護療養費を算定する日数に、算入しません。
変更点③:「単一建物居住利用者」の数え方
管理療養費の「単一建物居住利用者」の人数は、その利用者が居住する建物(同一敷地内のものを含みます)に居住する者のうち、その月に、そのステーションが訪問看護管理療養費または包括型訪問看護療養費を算定する利用者の人数です。
基本療養費(Ⅱ)とは、人数・日数の数え方がまったく異なります。 同じ「人数」「日数」という言葉が出てきますが、何を指しているかが違うので、それぞれの算定要件を個別に確認してください。
| 基本療養費(Ⅱ) | 管理療養費(月の2日目以降) | |
|---|---|---|
| 人数の数え方 | 同一日に、基本療養費、精神科訪問看護基本療養費、包括型を算定する利用者数の合算 | 同月に、そのステーションが管理療養費・包括型を算定する人数 |
| 人数の区分 | 2人/3〜9人/10〜19人/20〜49人/50人以上 | 20人未満/20人以上50人未満/50人以上 |
| 日数の区分 | 10人以上は、月20日目まで/21日目以降(基本療養費(Ⅱ)、精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)、包括型を算定する日数の合計) | 20人以上は、月15日目まで/16〜24日目/25日目以降(管理療養費・包括型を算定する日数) |
同じ利用者でも、基本療養費と管理療養費で、当てはまる区分が違うことがあります。基本療養費(Ⅱ)の区分と、同一敷地内の考え方は、同一建物減算の記事で解説しています。
あわせて新設された評価
- 包括型訪問看護療養費:高齢者向け住まい等に併設・隣接するステーションが、別表第7・8や特別訪問看護指示の利用者に、24時間体制で頻回の訪問看護を行う場合の、1日あたりの包括評価です。詳しくは、包括型訪問看護療養費の記事で解説しています。
- 訪問看護物価対応料:管理療養費を算定した場合に、1日につき1回、算定します。令和8年度は、管理療養費の月の初日が60円、月の2日目以降が20円です。包括型に併せる場合は20円です。令和9年6月以降は、所定額の2倍になります。
管理者が確認しておきたいこと

- 算定体制:「安全な提供体制」のア〜オを、満たしているか。特に、安全管理の考え方と事故発生時の対応の文書化、業務継続計画の策定、毎年8月の褥瘡の報告を、確認します。指定訪問看護の運営基準にも、安全管理の体制確保が、新たに規定されました(厚生労働省の説明資料)。
- 区分の見える化:建物ごとに、算定している利用者の人数と、訪問看護管理療養費または包括型訪問看護療養費を算定する日数を把握します。同一敷地内の別棟も、合算します。
- 記録:訪問看護記録書に、実際の訪問開始時刻と終了時刻を記載します。主治医に提出した報告書は、写しを記録書に添付します(内容が同じなら、提出年月日の記録で代えられます)。
- 書類:訪問看護計画書・報告書は、書面の場合、署名・押印を求めないことになりました。様式例の押印欄は、削除されています。従来の様式も、使えます(厚生労働省の説明資料)。
- 収益の試算:大規模施設への訪問が多い場合は、新しい区分で、月の2日目以降の収益を、試算し直します。
よくある質問
Q. 機能強化型の届出をしていないステーションは、月の初日にいくら算定できますか?
A. 機能強化型1〜4以外の場合は、7,710円です。この場合、届出は不要です。
Q. 月の2日目以降の区分で、施設基準の届出は必要ですか?
A. 改定後は、月の2日目以降の管理療養費1と2が統合され、施設基準の届出は不要になりました。
Q. 同じ敷地に2棟ある場合、人数は棟ごとに数えますか?
A. 同一敷地内の建物に居住する者も含めて、合算して数えます。
Q. 退院時共同指導を行った日は、訪問日数に数えますか?
A. 数えません。訪問看護管理療養費または包括型訪問看護療養費を算定する日数には、算入されません。
Q. 褥瘡に関する報告は、いつ行いますか?
A. 「安全な提供体制」の要件として、毎年8月に、褥瘡を有する利用者数等について、地方厚生(支)局長へ報告します。
Q. 介護保険の訪問看護にも、同じ区分がありますか?
A. この記事の内容は、医療保険の話です。介護保険の訪問看護には、管理療養費はありません。
まとめ
- 月の初日は引き上げられ、機能強化型4が新設された(それ以外は7,710円で、届出は不要)
- 月の2日目以降は、2区分が統合されて届出が不要になり、単一建物居住利用者数×訪問日数で細分化された
- 管理療養費の人数は「同月の算定者数」で、基本療養費(Ⅱ)の「同一日の訪問人数」とは、数え方が違う。「月〇日目」は、算定する日数で数える
- 同一敷地内の建物に居住する者も、単一建物居住利用者に含まれる
- 算定には、安全な提供体制(文書化、事故の分析、褥瘡対策、業務継続計画、毎年8月の報告)が必要
最新の金額や算定ルールは、必ず厚生労働省の資料や通知で確認してください。
関連記事:訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)とは/訪問看護の診療報酬改定まとめ|2026年度の変更点を解説/訪問看護の同一建物減算とは|2026年改定の5区分を解説(医療保険)/機能強化型訪問看護管理療養費4とは|2026年新設の要件と届出(医療保険)/制度一覧
出典:令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省)/訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(令和8年厚生労働省告示第74号)/算定留意事項通知(令和8年3月5日 保発0305第19号)/訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第9号)/令和8年度診療報酬改定に係る訪問看護療養費マスターの変更点等について(令和8年3月6日、厚生労働省保険局医療課)
最終確認日:2026年10月14日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。