訪問看護基本療養費Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違い|金額・算定要件を比較

訪問看護基本療養費のⅠ・Ⅱ・Ⅲは、それぞれ何が違うのでしょうか?
主な違いは、訪問看護の対象となる場面です。Ⅰは同一建物居住者以外への訪問、Ⅱは同一建物居住者への訪問、Ⅲは入院中の利用者が在宅療養に備えて一時的に外泊している際の訪問を対象とします。
この記事では、医療保険の訪問看護基本療養費Ⅰ・Ⅱ・Ⅲについて、金額や算定要件の違いを整理します。
※この記事は医療保険の訪問看護基本療養費を対象としています。介護保険の訪問看護は対象外です。

訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は、そもそも場面が違う

  • (Ⅰ):同一建物居住者以外の利用者に対する、通常の訪問看護
  • (Ⅱ):同一建物居住者(同じ建物や敷地内の他の利用者にも同日に訪問する場合の、その利用者)に対する訪問看護
  • (Ⅲ):入院中の患者が、在宅療養に備えて一時的に外泊するときの訪問看護

まずこの前提を押さえると、金額の決まり方や算定要件の違いも理解しやすくなります。

金額

訪問看護基本療養費(Ⅰ)

職種週3日目まで週4日目以降
保健師・助産師・看護師5,550円6,550円
准看護師5,050円6,050円
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士5,550円(区分なし)5,550円(区分なし)

訪問看護基本療養費(Ⅱ)(同一建物居住者向け)

保健師・助産師・看護師の場合

同一日の人数金額区分
2人(週3日目まで/週4日目以降)5,550円/6,550円
3人以上9人以下(週3日目まで/週4日目以降)2,780円/3,280円
10人以上19人以下(月20日目まで/月21日目以降)2,760円/2,660円
20人以上49人以下(月20日目まで/月21日目以降)2,710円/2,610円
50人以上(月20日目まで/月21日目以降)2,610円/2,510円

准看護師の場合

同一日の人数金額区分
2人(週3日目まで/週4日目以降)5,050円/6,050円
3人以上9人以下(週3日目まで/週4日目以降)2,530円/3,030円
10人以上19人以下(月20日目まで/月21日目以降)2,520円/2,420円
20人以上49人以下(月20日目まで/月21日目以降)2,470円/2,370円
50人以上(月20日目まで/月21日目以降)2,370円/2,270円

カウント単位の切り替えに注意
2人・3〜9人の区分は週単位(週3日目まで/週4日目以降)、10人以上の区分は月単位(月20日目まで/月21日目以降)で、カウントの考え方自体が切り替わります。さらに、この日数は、訪問看護基本療養費(Ⅱ)(ハを除く)、精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)、包括型訪問看護療養費の合計算定日数で数えます。(Ⅱ)単体の算定日数だけで数えないよう注意してください。

訪問看護基本療養費(Ⅲ)

8,500円(職種・週/月の日数による区分なし)。

専門研修看護師による場合((Ⅰ)(Ⅱ)共通の「ハ」区分)

(Ⅰ)(Ⅱ)には、通常の区分とは別に、緩和ケア・褥瘡ケア・人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師による、12,850円の区分(「ハ」)があります。ただし、対象利用者の範囲は(Ⅰ)と(Ⅱ)で異なります。

  • (Ⅰ)のハ:対象利用者は、悪性腫瘍の鎮痛療法または化学療法を行っている利用者、真皮を越える褥瘡の状態にある利用者(在宅患者訪問褥瘡管理指導料を算定する場合は真皮までの状態の利用者)、または人工肛門・人工膀胱を造設している者で管理が困難な利用者であって、いずれも同一建物居住者を除く
  • (Ⅱ)のハ:対象利用者は(Ⅰ)のハと同じ状態の利用者だが、いずれも同一建物居住者に限る

共通する要件は、次のとおりです。

  • 実施者:専門の研修を受けた看護師が所属する、別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た訪問看護ステーションであること
  • 実施方法:他の訪問看護ステーションの看護師・准看護師、または当該利用者の在宅療養を担う保険医療機関の看護師・准看護師と共同して指定訪問看護を行うこと(主治医からの指示に基づく)
  • 算定回数:月1回を限度(週3日の限度ではなく、別ルール)
  • 重要な注意点:この区分(ハ)を算定する場合、同一日に訪問看護管理療養費は算定できません

算定要件

訪問看護基本療養費(Ⅰ)

  • 同一建物居住者を除く利用者に対して
  • その主治医から交付を受けた訪問看護指示書及び訪問看護計画書に基づき
  • 訪問看護ステーションの看護師等が指定訪問看護を行った場合に
  • 利用者1人につき、訪問看護基本療養費(Ⅱ)及び精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅲ)を算定する日と合わせて、週3日を限度として算定する
  • ただし、別表第7・8に掲げる疾病等の利用者については、週4日以上算定できる

訪問看護基本療養費(Ⅱ)

  • 同一建物居住者である利用者に対して
  • その主治医から交付を受けた訪問看護指示書及び訪問看護計画書に基づき
  • 訪問看護ステーションの看護師等が指定訪問看護を行った場合に
  • 利用者1人につき、訪問看護基本療養費(Ⅰ)及び精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅲ)を算定する日と合わせて、週3日を限度として算定する
  • ただし、別表第7・8に掲げる疾病等の利用者については、週4日以上算定できる
  • 訪問看護療養費を算定するに適切な時間の指定訪問看護を実施した上で、それを訪問看護記録書に記載して算定する。この場合の「適切な時間」とは、30分以上を標準とし、20分を下回らないものであること
  • 前回提供した指定訪問看護の終了から2時間未満の間隔で、提供時間が20分以上30分未満の指定訪問看護を実施する場合(緊急に行う場合を除く)は、それぞれの時間を合算して1回の指定訪問看護として取り扱う
  • 1人の看護師等が訪問した後、続けて別の看護師等が訪問する場合も、提供時間を合算する。合算した時間に准看護師の訪問が含まれる場合は(Ⅱ)のロ、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の訪問が含まれる場合は(Ⅱ)のニを算定する

訪問看護基本療養費(Ⅲ)

  • 入院中の者であって、在宅療養に備えて一時的に外泊をしている者(別に厚生労働大臣が定める者に限る)であること
  • その主治医から交付を受けた訪問看護指示書及び訪問看護計画書に基づき、訪問看護ステーションの看護師等が指定訪問看護を行った場合に
  • 入院中1回(別に厚生労働大臣が定める疾病等の利用者にあっては入院中2回)に限り算定できる
  • 同一日に訪問看護管理療養費は算定できない

(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の違い(まとめ)

(Ⅰ)通常の区分(Ⅱ)通常の区分(Ⅰ)(Ⅱ)専門研修看護師の区分(ハ)(Ⅲ)
場面通常の訪問看護同一建物居住者への訪問看護緩和ケア・褥瘡ケア・人工肛門ケア等の専門研修看護師による訪問(ハの対象者は同一建物居住者か否かで(Ⅰ)(Ⅱ)に分かれる)入院中の一時外泊時
金額職種・週の日数により5,050円〜6,550円職種・同一日人数・週/月の日数により変動12,850円一律8,500円
算定回数の考え方週3日が限度(別表第7・8の利用者は週4日以上可)週3日が限度(別表第7・8の利用者は週4日以上可)月1回を限度入院中1回(疾病等の利用者は2回)限り
時間の要件特になし30分以上を標準、20分を下回らないこと。2時間未満の間隔での20〜30分訪問は合算特になし特になし
訪問看護管理療養費同日に算定可能同日に算定可能同日に算定不可同日に算定不可

現場でやりがちなミス

  • (Ⅲ)を通常の訪問看護で算定してしまう:(Ⅲ)はあくまで入院中の外泊時に限られます。在宅療養中の通常の訪問には使えません
  • (Ⅲ)を算定した日に、訪問看護管理療養費もあわせて算定してしまう:(Ⅲ)を算定する場合、同一日の管理療養費は算定できません
  • 専門研修看護師による「ハ」区分(12,850円)を算定した日に、管理療養費もあわせて算定してしまう:この区分も、同一日の管理療養費は算定できません
  • (Ⅰ)のハと(Ⅱ)のハを、同じ対象者の基準で考えてしまう:(Ⅰ)のハは同一建物居住者を除く利用者、(Ⅱ)のハは同一建物居住者に限る利用者が対象で、正反対です
  • (Ⅱ)を、20分未満の訪問で算定してしまう:(Ⅱ)は30分以上を標準とし、20分を下回らない時間の実施が前提です
  • 2時間未満の間隔で20〜30分訪問を複数回行い、それぞれ別算定してしまう:緊急時を除き、合算して1回として扱います
  • (Ⅰ)(Ⅱ)の週3日カウントを、それぞれ別々に数えてしまう:週3日の限度は、(Ⅰ)と(Ⅱ)、精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅲ)の算定日を合算してカウントします
  • 別表第7・8の利用者なのに、週3日で打ち切ってしまう:これらの利用者は週4日以上算定できます
  • (Ⅱ)の「10人以上」の区分を、2人・3〜9人と同じ「週」単位で数えてしまう:10人以上の区分は「月20日目まで/21日目以降」という月単位のカウントです
  • (Ⅱ)の「月20日目まで/21日目以降」を、(Ⅱ)単体の日数で数えてしまう:精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)・包括型訪問看護療養費も合わせた合計算定日数で数えます
  • (Ⅲ)の算定回数(入院中1回/2回)を、外泊のたびに算定できると誤解する:入院期間を通じて1回(または2回)が上限です
  • 専門研修看護師による12,850円を、週3日の限度で考えてしまう:このケースは週3日ではなく、月1回を限度とする別ルールです
  • 「ハ」区分を、研修を受けた看護師が1人で訪問すれば算定できると誤解する:他の訪問看護ステーションや保険医療機関の看護師・准看護師との共同実施が必須です
  • 職種による金額区分や、(Ⅱ)の同一日人数区分・週/月の日数区分を取り違える

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出典

  • 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(厚生労働省告示、令和8年度改定反映版)区分01、注1・注2・注3・注5
  • よくある質問(訪問看護療養費の算定について)※令和8年6月1日〜適用分(近畿厚生局)問21・22・25

最終確認日:2026年10月14日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。

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