訪問看護ステーションの常勤換算|休暇・出張の扱いに注意

常勤換算の計算で、休暇や出張の時間を含めていませんか?
常勤換算は、単純に労働時間を合計すればよいわけではありません。
この記事では、医療保険(健康保険法)の指定訪問看護の人員基準について、常勤換算の計算方法と、実務でつまずきやすいポイントを、省令・通知で確認できた範囲で整理します。
※この記事は人員基準の中の「常勤換算」の考え方を中心に扱います。看護職員2.5人以上という基準そのものは、関連記事の「訪問看護ステーションの人員基準」をご覧ください。介護保険のQ&Aは、参考として触れる場合がありますが、医療保険に適用できる根拠は、別に確認が必要です。

常勤換算の計算式

厚生労働省令「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」第2条には、次のように定められています。

指定訪問看護ステーションの看護職員の勤務延時間数を当該指定訪問看護ステーションにおいて常勤の看護職員が勤務すべき時間数で除して得た数が二・五以上となる員数

つまり、計算式は次のとおりです。

常勤換算数 = 看護職員の勤務延時間数 ÷ 常勤の看護職員が勤務すべき時間数

「常勤の看護職員が勤務すべき時間数」の考え方

「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」(令和8年3月5日保発0305第20号)の第二の2には、「常勤」について、次のように定められています(原文の一部です)。

(略)当該指定訪問看護ステーションにおいて定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(週当たり32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。ただし、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)第23条第1項若しくは第3項又は第24条に規定する所定労働時間の短縮措置が講じられている者については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合は、例外的に常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことを可能とする。

整理すると、次のとおりです。

  • 週32時間:通知における「常勤」の定義に関する原則です。常勤の従業者が勤務すべき時間数が、週当たり32時間を下回る場合は、32時間を基本とします
  • 週30時間:所定労働時間の短縮措置(育児・介護休業法 第23条第1項・第3項、第24条)を受けている者について、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合の、例外的な特例です
  • 常勤換算の分母への具体的な反映:今回確認した通知では、分母への具体的な適用方法を明確に確認できていません。「常勤」の定義と、常勤換算の計算方法は、別の論点であり、通知の記載だけでは、32時間や30時間を分母にどう反映するかは、判断できません。根拠を確認したうえで判断する必要があります

「勤務延時間数」に含まれる時間・含まれない時間

通知の第二の1(勤務延時間数)には、次のように定められています(原文の要約です)。

  • 勤務延時間数は、勤務表上、そのステーションの指定訪問看護の提供に従事する時間、または、指定訪問看護の提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として、明確に位置づけられている時間の合計数です
  • 従業者1人について、勤務延時間数に算入できる時間数は、そのステーションにおいて常勤の従業者が勤務すべき時間数が上限です
休暇・出張の時間の扱い

医療保険の訪問看護における休暇・出張時間の取扱いについては、今回確認した通知の第二・第三では、明確な規定を確認できていません。介護保険の運営基準等に関するQ&A(平成14年3月28日事務連絡)には、非常勤の従業者の休暇等の時間を勤務延時間数に含めない、常勤の従業者の休暇等の期間が暦月で1月を超えない限り、常勤の従業者として勤務したものとして取り扱う、という趣旨の記載があるとされていますが、このQ&Aは、今回、原文を確認しておらず、医療保険の訪問看護に、そのまま適用できるかも、確認できていません。

そのため、休暇・出張の時間の取扱い(常勤の従業者の休暇等が1か月を超える場合を含む)は、所管の地方厚生(支)局への確認が必要です。

実務で見落としがちなポイント(落とし穴)

  • 勤務延時間数に、勤務表上、位置づけられていない時間を含めてしまう:通知の定義は、指定訪問看護の提供に従事する時間、または提供のための準備等を行う時間として、明確に位置づけられている時間です
  • 1人の勤務延時間数が、常勤の従業者が勤務すべき時間数を超えていないか:通知は、従業者1人について算入できる時間数の上限を、常勤の従業者が勤務すべき時間数としています
  • 休暇・出張の時間の扱い:今回確認した通知では、明確な規定を確認できていないため、所管の地方厚生(支)局に確認します
  • 常勤の所定労働時間が週32時間を下回る場合:通知は、常勤の定義で、32時間を基本としています。事業所の設定が、この取扱いに合っているか、確認してください
  • 短縮措置を受けている職員がいる場合:通知の30時間の特例(利用者の処遇に支障がない体制が整っている場合)の適用条件を確認します。計算への反映は、今回確認した通知では、明確に確認できていません(要確認)

確認しておきたいポイント

  • 勤務延時間数に、通知の定義に当たる時間(勤務表上、位置づけられている時間)が、含まれているか
  • 従業者1人の勤務延時間数が、常勤の従業者が勤務すべき時間数を超えていないか
  • 休暇・出張・研修などの時間の取扱いについて、所管の地方厚生(支)局に確認しているか(今回確認した通知では、明確な規定を確認できていないため)
  • 常勤の所定労働時間が週32時間を下回る設定になっていないか(通知の取扱いを確認)
  • 常勤換算数を、定期的に確認し、2.5人を割り込んでいないか(確認の頻度は、通知に定められたものではなく、定期的に確認することが重要です)

よくある質問

Q. 常勤の看護職員が1か月を超えて休業した場合、常勤換算数にどう影響しますか?
A. 今回確認した通知の第二・第三では、この場合の取扱いについて、明確な規定を確認できていません。判断が必要な場合は、所管の地方厚生(支)局に確認してください。なお、介護保険のQ&Aの取扱いを、そのまま医療保険の訪問看護に適用できるかは、確認できていません。

Q. 非常勤職員が研修を受けている時間は、勤務延時間数に含まれますか?
A. 今回確認した通知では、研修時間の取扱いについて、明確な規定を確認できていません。通知は、勤務延時間数を、勤務表上、指定訪問看護の提供に従事する時間、または、提供のための準備等を行う時間として、明確に位置づけられている時間の合計数としています。研修時間の取扱いは、所管の地方厚生(支)局に確認してください。

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出典

最終確認日:2026年10月28日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。

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