訪問看護ステーションの看護職員、常勤換算2.5人という基準の中身を正確にご存知ですか?
訪問看護ステーションには、開設・運営にあたって満たすべき人員基準があります。
この記事では、看護職員の員数基準と、管理者の要件を整理します。
※この記事は、医療保険(健康保険法)の指定訪問看護の人員基準を中心に扱います。介護保険の指定基準は、別に定められており、この記事では扱いません。設備基準・運営基準は関連記事で扱います。

看護師等の員数(第2条)
厚生労働省令「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」第2条には、次のように定められています。
指定訪問看護事業者が当該指定に係る訪問看護事業を行う事業所(以下「指定訪問看護ステーション」という。)ごとに置くべき看護師その他の指定訪問看護の提供に当たる従業者(以下「看護師等」という。)の員数は、次に定めるとおりとする。
一 保健師、助産師、看護師又は准看護師(以下この条において「看護職員」という。) 指定訪問看護ステーションの看護職員の勤務延時間数を当該指定訪問看護ステーションにおいて常勤の看護職員が勤務すべき時間数で除して得た数が二・五以上となる員数
二 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士 指定訪問看護ステーションの実情に応じた適当数
2 前項第一号の看護職員のうち一名は、常勤でなければならない。
整理すると、次のとおりです。
- 看護職員(保健師・助産師・看護師・准看護師):常勤換算で2.5人以上
- 常勤換算の計算式:看護職員の勤務延時間数 ÷ 常勤の看護職員が勤務すべき時間数
- このうち1名は常勤でなければならない
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士:具体的な人数(数値)は定められておらず、「事業所の実情に応じた適当数」。「看護職員」に含まれないため、常勤換算2.5人の計算には算入されません(第2条第1項第1号の定義)
常勤換算の考え方(通知)
「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」(令和8年3月5日保発0305第20号)の第二・第三には、次のように定められています(原文の要約です)。
- 勤務延時間数:勤務表上、当該事業に係る指定訪問看護の提供に従事する時間、または、提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置づけられている時間の合計数です。従業者1人について算入できる時間数は、常勤の従業者が勤務すべき時間数が上限です(第二の1)
- 常勤:そのステーションで定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(その時間数が週当たり32時間を下回る場合は、32時間を基本とする)に、勤務時間が達していることをいいます(第二の2)
- 常勤の例外(通知に定められている内容):育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)第23条第1項若しくは第3項又は第24条に規定する所定労働時間の短縮措置が講じられている者については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合は、例外的に、常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことが可能とされています(第二の2)
- 確認できていない事項(要確認):上の30時間の取扱いが、常勤換算の計算(勤務延時間数の算入など)に、どのように反映されるかは、通知に定めがありません。常勤の定義と、常勤換算の計算方法は、別の論点です。確定した取扱いとして、読み替えないでください。判断が必要な場合は、所管の地方厚生(支)局に確認してください
- 従たる事業所がある場合:看護職員の勤務延時間数には、従たる事業所における勤務延時間数も含めます(第三の2(1)③)
- 2.5人という員数:職員の支援体制等を考慮した最小限の員数として定められたものです。各地域における利用状況、利用者数、事業の業務量を考慮して、適切な員数を確保するものとされています(第三の2(1)①)
管理者の要件(第3条)
厚生労働省令第3条には、次のように定められています。
指定訪問看護事業者は、指定訪問看護ステーションごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。ただし、指定訪問看護ステーションの管理上支障がない場合は、当該指定訪問看護ステーションの他の職務に従事し、又は他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとする。
2 指定訪問看護ステーションの管理者は、保健師、助産師又は看護師でなければならない。ただし、やむを得ない理由がある場合は、この限りでない。
3 指定訪問看護ステーションの管理者は、適切な指定訪問看護を行うために必要な知識及び技能を有する者でなければならない。
整理すると、次のとおりです。
- 管理者は、専らその職務に従事する常勤の者です。ただし、管理上支障がない場合は、他の職務を兼ねることができます
- 管理者は、保健師・助産師・看護師のいずれかです(やむを得ない理由がある場合を除く)
- 適切な指定訪問看護を行うために必要な知識・技能を有する者であること
管理者の兼務と資格について(通知)
同じ通知の第三の2(2)には、次のように定められています(原文の要約です)。
- 兼務できる場合:管理上支障がない場合に限り、次の職務を兼ねることができます
- そのステーションの看護職員としての職務
- そのステーションが介護保険法の指定を受けている場合の、そのステーションの管理者または看護職員としての職務
- 同一の指定訪問看護事業者が設置した、他の事業所、施設等の管理者または従業者としての職務(他の事業所等の事業の内容は問わない。ただし、他の事業所等の職務の時間帯も、そのステーションの状況を適時かつ適切に把握でき、職員・業務に関する一元的な管理・指揮命令に支障が生じないときに限る。管理すべき事業所数が過剰な場合、併設の入所施設の看護業務(管理業務を含む)と兼務する場合(施設の勤務時間が極めて限られる場合を除く)、緊急時に管理者が速やかに駆け付けられない体制の場合などは、支障があると考えられる)
- 管理者になれない者:管理者は、管理者としてふさわしいと認められる保健師・助産師・看護師で、次のいずれにも該当しない者でなければなりません
- 保健師助産師看護師法第14条第1項の規定により、保健師、助産師又は看護師の業務の停止を命ぜられ、業務停止の期間終了後5年を経過しない者
- 健康保険法第91条又は第94条の規定により、指定訪問看護ステーションの管理者として変更の指導を受け、変更された後5年を経過しない者、または、取消処分を受けた訪問看護ステーションの当該管理者(取消処分が当該管理者の責務に関わる場合に限る。)であって、取消日後5年を経過しない者
- 保健師・助産師・看護師以外の者が管理する場合:管理者の長期間の傷病または出張等のやむを得ない理由があり、かつ、管理する者が、利用者の療養生活の質の向上に関し相当の知識、経験及び熱意を有し、管理者としてふさわしいと認められる者として、地方厚生(支)局長の承認を受けた場合に限られます。可能な限り速やかに、常勤の保健師・助産師・看護師の管理者が確保されるよう、努める必要があります
- 経験:管理者は、医療機関における看護、訪問看護、または保健指導の業務に従事した経験のある者であること。管理者としての資質を確保するための研修等の受講が望ましいとされています

確認しておきたいポイント
- 看護職員の勤務延時間数を集計し、常勤換算で2.5人以上を維持できているか
- 常勤の看護職員が最低1名含まれているか
- 管理者が常勤で、かつ保健師・助産師・看護師のいずれかに該当しているか
- 管理者が他の職務を兼ねている場合は、上の通知の条件に当たり、管理上支障がないか
- 理学療法士等を配置する場合、事業所の実情に見合った人数になっているか
よくある質問
Q. 「常勤換算2.5人」は、常に2.5人ちょうど確保していれば問題ありませんか?
A. 2.5人は、省令が定める最低の基準です。通知は、2.5人を最小限の員数とし、各地域における利用状況、利用者数、事業の業務量を考慮して、適切な員数を確保するものとしています(通知 第三の2(1)①)。運営開始後に基準を下回った場合は、地方厚生(支)局の指導等の対象となります(通知 第一の2)。また、1人の欠勤や退職で、2.5人を下回るおそれがあるため、余裕を持った配置が望ましいと考えられます(これは実務上の注意で、通知に定められた要件ではありません)。
Q. 管理者は、看護職員としてのカウント(常勤換算2.5人)にも含まれますか?
A. 管理者であることだけを理由に、自動的に看護職員の員数に算入されるわけではありません。管理者は、管理上支障がない場合に、そのステーションの看護職員としての職務を兼ねることができます(通知 第三の2(2)①)。看護職員の員数の計算に入る勤務延時間数は、勤務表上、指定訪問看護の提供に従事する時間、または、提供のための準備等を行う時間として、明確に位置づけられている時間です(通知 第二の1)。管理者としての管理業務の時間を、勤務延時間数に算入できるかどうかは、通知に明記がなく、要確認です。所管の地方厚生(支)局に確認してください。
出典
- 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年3月31日厚生省令第80号):第2条・第3条(令和8年厚生労働省令第21号による改正を反映した法令等データベースの本文。第2条・第3条は、令和8年の改正の対象ではなく、第3条の最終改正は、令和6年厚生労働省令第35号です)
- 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について(令和8年3月5日保発0305第20号)(北海道厚生局掲載のPDF):第一の2、第二の1〜3、第三の2(1)(2)(3)(令和8年6月1日適用。令和2年3月5日保発0305第4号は、令和8年5月31日限りで廃止)
最終確認日:2026年10月28日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。