精神科訪問看護の保険適用の考え方

精神科訪問看護の保険適用は、どのように判断するのでしょうか?
要介護・要支援認定を受けている利用者(要介護被保険者等)の訪問看護療養費は、原則として算定できません。ただし、告示・通知で定められた場合は、算定できます。精神科訪問看護基本療養費が算定される指定訪問看護も、その1つです。認知症に関する条件と例外については、後述します。
この記事では、告示・通知で確認できた内容を中心に、精神科訪問看護の医療保険の扱いを整理します。
※この記事は医療保険の訪問看護を対象とします。告示・通知で確認できていない事項は、記事の末尾にまとめています。

結論

  • 原則:要介護被保険者等の指定訪問看護は、算定の対象としません(算定通知 第1の2)
  • 例外:基準告示 第四の一に、算定できる場合が定められています。精神科訪問看護基本療養費が算定される指定訪問看護は、その1つです
  • 認知症:認知症に関する条件と例外については、「認知症の場合」の節をご覧ください。例外の適用関係は、個別に確認が必要です

原則と、算定できる場合

算定通知(令和8年3月5日保発0305第19号)の第1の2には、次のように定められています。

指定訪問看護の費用の額は、(略)第4の1に規定する場合を除き、介護保険法(略)第62条に規定する要介護被保険者等については、算定の対象としないこと。

「第4の1」は、基準告示(訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等、平成18年厚生労働省告示第103号)の第四の一です。次のように定められています。

一 要介護被保険者等である利用者について指定訪問看護の費用に要する額を算定できる場合

(1) 特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を行う場合

(2) 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者に対する指定訪問看護を行う場合

(3) 精神科訪問看護基本療養費が算定される指定訪問看護を行う場合

基準告示 第四の一は、この(1)〜(3)の3項目です(令和8年告示第75号による改正後の本文で確認しました)。なお、給付調整通知(令和8年3月27日老老発0327第2号・保医発0327第4号)の第4の8(1)には、このほかに、入院中(外泊日を含む。)に退院に向けた指定訪問看護を行う場合も、算定できる場合として挙げられています。この記事では、精神科訪問看護以外の場合は、扱いません。

精神科訪問看護は、(3)に当たります。一般の訪問看護の考え方は、要介護者と医療保険の訪問看護|原則使えない?例外(別表7など)を整理もご覧ください。

精神科訪問看護基本療養費の算定要件

精神科訪問看護基本療養費を算定できるかどうかは、要介護被保険者等に算定できるか(上の基準告示 第四の一)とは、別の論点です。指示書の交付だけで、算定できるわけではありません。

算定方法の別表 区分番号01-2の注1に、次のように定められています。

1については、指定訪問看護を受けようとする精神障害を有する者又はその家族等(注2に規定する同一建物居住者を除く。)に対して、その主治医(保険医療機関の保険医であって精神科を担当するものに限る。以下この区分番号において同じ。)から交付を受けた精神科訪問看護指示書及び精神科訪問看護計画書に基づき、別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た訪問看護ステーションの保健師、看護師、准看護師又は作業療法士(精神障害を有する者に対する看護について相当の経験を有するものに限る。以下この区分番号において「保健師等」という。)が指定訪問看護を行った場合に、利用者1人につき、精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)並びに区分番号01の訪問看護基本療養費(Ⅰ)(ハを除く。)及び(Ⅱ)(ハを除く。)を算定する日と合わせて週3日(当該利用者の退院後3月以内の期間において行われる場合は週5日)を限度として算定する。

次の表は、精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)の算定要件を整理したものです。要介護被保険者等に算定できるかを、単独で判断する表ではありません。

項目内容根拠
指示書・計画書主治医から交付を受けた精神科訪問看護指示書及び精神科訪問看護計画書に基づく算定方法 区分01-2 注1
主治医「保険医療機関の保険医であって精神科を担当するもの」。通知は、「精神科を標榜する保険医療機関において精神科を担当する医師」としています区分01-2 注1、算定通知 第3の2(1)
ステーションの届出基準に適合しているものとして、地方厚生局長等に届け出ている区分01-2 注1、基準告示 第一の四
指定訪問看護を行う者精神障害を有する者に対する看護について相当の経験を有する保健師、看護師、准看護師又は作業療法士(具体的な経験の要件は、通知 第3の1)区分01-2 注1、算定通知 第3の1

認知症の場合

給付調整通知(医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項、令和8年3月27日老老発0327第2号・保医発0327第4号)の第4の8(1)には、次のように定められています(関係部分のみ)。

訪問看護療養費は、要介護被保険者等である患者については、原則として算定できないが、(中略)精神科訪問看護基本療養費が算定される指定訪問看護を行う場合(認知症でない患者に指定訪問看護を行う場合に限る。)(中略)には、算定できる。

同じ通知の別紙1(精神科訪問看護基本療養費の欄)の注(※9)には、次のように定められています。

認知症患者を除く。(ただし、精神科在宅患者支援管理料を算定する患者にあってはこの限りではない。)

  • 通知の本文(第4の8(1))は、「認知症でない患者」に限定しています
  • 別紙1の注(※9)には、精神科在宅患者支援管理料を算定する患者についての例外の記載があります。本文と別紙の関係(例外がどの範囲に適用されるか)は、個別に確認が必要です
  • 保険医療機関が算定する精神科訪問看護・指導料は、第4の7に、「認知症が主傷病である患者(精神科在宅患者支援管理料を算定する者を除く。)については算定できない」とあり、訪問看護療養費(第4の8(1))とは、表現が異なります
  • 「認知症でない患者」に当たるかどうかの具体的な判断を示した資料は、確認できていません。診断の有無だけで、判断しないでください。判断に迷う場合は、地方厚生(支)局に確認してください

介護保険の加算との関係

次の表は、給付調整通知 第4の8(1)のただし書と、それに続く文に定められた、介護保険の加算等と、医療保険の加算・療養費等の算定制限を整理したものです(原文の全文引用ではありません)。要介護被保険者等に訪問看護療養費を算定できる場合であっても、介護保険の加算等を算定していると、右の列の医療保険の加算・療養費等は、算定できません。

介護保険で算定している加算等算定できない医療保険の加算・療養費等
緊急時訪問看護加算、緊急時介護予防訪問看護加算又は緊急時対応加算を算定している月24時間対応体制加算
特別管理加算を算定している月医療保険の特別管理加算
看護・介護職員連携強化加算を算定している月医療保険の看護・介護職員連携強化加算
専門管理加算を算定している月医療保険の専門管理加算
ターミナルケア加算(遠隔死亡診断補助加算を含む。)を算定した場合訪問看護ターミナルケア療養費(遠隔死亡診断補助加算を含む。)

第4の8(2)には、「要介護被保険者等については、在宅患者連携指導加算は算定できない」とあります。

確認しておきたいポイント

  • 利用者が、要介護被保険者等に当たるか。当たる場合は、基準告示 第四の一の(1)〜(3)のどれに当たるか
  • 精神科訪問看護の場合:精神科訪問看護指示書と計画書があるか、主治医が精神科を担当する保険医か、ステーションの届出が受理されているか、保健師等の経験の要件を満たすか
  • 認知症に関する給付調整通知の規定(第4の8(1)、別紙1の注(※9))に該当するか。精神科在宅患者支援管理料の算定状況など、例外に関係する条件も確認する
  • 介護保険の加算等を算定している月は、上の表に該当する医療保険の加算・療養費等がないか確認する
  • 判断が難しい場合は、地方厚生(支)局等に確認する

告示・通知で確認できていない事項

次の事項は、業界の資料などに記載がありますが、令和8年の告示・通知では確認できていないため、この記事では、結論としていません。

  • 精神科訪問看護指示書と、通常の訪問看護指示書の併用の可否
  • 「認知症でない患者」の判断の基準(認知症が主傷病かどうか)
  • 別紙1の注(※9)の例外と、第4の8(1)の本文との関係
  • 他の疾患で要介護認定を受けている場合に、医療保険の精神科訪問看護と、介護保険の他のサービスを併せて利用すること(給付調整通知 第4の8は、訪問看護療養費の算定を定めたもので、他のサービスの利用は、扱っていません)

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出典

厚生労働省の資料を掲載しています。各資料の発出日・適用日・訂正の有無を、併せて示します。

令和8年10月7日付の関連通知の一部訂正は、これらの資料を対象にしていないことを確認しています(厚生労働省の一覧ページで確認)。

最終確認日:2026年10月27日(各資料の適用日は、上記のとおり、令和8年6月1日です。最終確認日とは別です) ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。

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