要介護者と医療保険の訪問看護|原則使えない?例外(別表7など)を整理

要支援・要介護の認定を受けている利用者に、医療保険の訪問看護は使えるのでしょうか?
結論から言うと、要介護被保険者等に対しては、医療保険の訪問看護費用は原則として算定できません。
ただし、一定の例外に該当する場合は、医療保険の訪問看護を利用できます。
※この記事は医療保険の訪問看護を対象とします。

原則:要介護被保険者等には、医療保険の訪問看護費用を算定できない

厚生労働省告示「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」の通則2に、次のように定められています。

前号の規定により算定する指定訪問看護の費用の額は、別に厚生労働大臣が定める場合を除き、介護保険法第62条に規定する要介護被保険者等については、算定しないものとする。

これは、特定の加算だけが対象という話ではありません。訪問看護基本療養費・訪問看護管理療養費・各種加算を含めた医療保険の指定訪問看護の費用全体が、要介護被保険者等については原則算定できない、という土台のルールです。要介護(要支援)認定を受けている方は、基本的に介護保険の訪問看護を利用することになります。

例外:4つのいずれかに該当すれば、医療保険が使える

近畿厚生局の最新資料(令和8年6月1日時点)に、要介護者・要支援者であっても医療保険の算定対象者になる4つのケースが、次のとおり示されています。

要介護者・要支援者であっても①〜④のいずれかに該当する場合は医療保険の算定対象者になります。
① (精神科)特別訪問看護指示書の交付を受けた者
② 厚生労働大臣が定める者(別表第7)
③ 認知症以外の精神疾患の者
④ 入院中(外泊日を含む)に退院に向けた指定訪問看護を行う場合

それぞれの内容は、次のとおりです。

① (精神科)特別訪問看護指示書の交付を受けた者

主治医が診療に基づき、急性増悪等により一時的に頻回(週4日以上)の訪問看護を行う必要性を認め、訪問看護ステーションに対して交付する指示書です。有効期間は14日間ですが、気管カニューレを使用している状態の者、真皮を越える褥瘡の状態にある者については、月2回交付でき、その場合の有効期間は28日間です。

② 厚生労働大臣が定める者(別表第7)

別表第7に掲げる疾病等は、次のとおりです。

末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷又は人工呼吸器を使用している状態の者

③ 認知症以外の精神疾患の者

認知症以外の精神疾患があり、精神科訪問看護の算定要件を満たす場合は、要介護被保険者等であっても医療保険の対象となることがあります。精神疾患があるというだけで、無条件に医療保険の対象になるわけではなく、精神科訪問看護指示書の交付など、精神科訪問看護としての算定要件を満たす必要があります。①〜④は重なり合う場合があり、たとえば、認知症以外の精神疾患の者(③)に対して、精神科特別訪問看護指示書が交付される場合(①)もあります。

④ 入院中(外泊日を含む)に退院に向けた指定訪問看護を行う場合

これは、一般的な在宅での訪問看護とは異なる、限定的な場面です。入院中の患者が、退院に向けて一時的に外泊する際に行う指定訪問看護に限られます。既に要介護認定を受けている患者であっても、入院期間の外泊中に行われる、退院に向けた訪問看護については、要介護被保険者であるか否かにかかわらず、医療保険による訪問看護が提供可能とされています(平成24年3月30日付け厚生労働省保険局医療課事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その1)」別添5の問3)。単に入院中に外泊したというだけで、あらゆる訪問看護に医療保険が使えるわけではない点に注意してください。

例外に該当するか確認する手順

  1. 利用者が要支援・要介護認定を受けているかを確認する
  2. 認定を受けている場合、別表第7に掲げる疾病等に該当するかを確認する
  3. 精神疾患(認知症を除く)があり、精神科訪問看護の算定要件を満たすかを確認する
  4. 特別訪問看護指示書が交付されているか、その有効期間内かを確認する
  5. 入院中の外泊時で、退院に向けた指定訪問看護にあたるかを確認する
  6. いずれにも該当しない場合は、介護保険の訪問看護として算定する
  7. 判断に迷う場合は、告示・通知の原文、または管轄の地方厚生局に確認する

同月に介護保険と医療保険の算定対象期間がある場合の注意点

近畿厚生局の同資料には、介護保険と医療保険で、同月に重複して算定できない加算の組み合わせが示されています。

介護保険において次の加算を算定している月は、医療保険において対応する加算を算定することはできません。
介護保険の緊急時訪問看護加算、緊急時介護予防訪問看護加算又は緊急時対応加算→医療保険の24時間対応体制加算
介護保険の特別管理加算→医療保険の特別管理加算
介護保険の看護・介護職員連携強化加算→医療保険の看護・介護職員連携強化加算
介護保険の専門管理加算→医療保険の専門管理加算

また、要介護被保険者等については、医療保険の在宅患者連携指導加算は算定できません。介護保険の訪問看護等でターミナルケア加算(遠隔死亡診断補助加算を含む)を算定した場合は、医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費(遠隔死亡診断補助加算を含む)は算定できません。

ここに挙げた組み合わせは、近畿厚生局の資料に示されたものです。実際の請求にあたっては、それぞれの加算の算定要件や対象月の条件も関わるため、この一覧だけで機械的に判断せず、該当する算定告示・算定通知・基準告示の原文や、近畿厚生局のFAQ(令和8年6月1日〜適用分)もあわせてご確認ください。

管理者・スタッフが確認しておきたいこと

  • 利用者が要支援・要介護認定を受けているかどうかを、まず確認する
  • 要介護被保険者等であれば、原則は介護保険の訪問看護として算定する
  • 4つの例外(特別訪問看護指示書、別表第7、精神科訪問看護の算定要件を満たす精神疾患、退院に向けた入院中・外泊時の指定訪問看護)のいずれかに該当するかを確認する
  • 例外に該当する場合でも、同月の介護保険・医療保険で重複して算定できない加算がないかを、該当する告示・通知の原文で確認する
  • 医療保険での算定を検討する場合は、その利用者が例外に該当するかどうかを、告示・通知の原文で最終確認する(この記事だけで判断しない)

まとめ

  • 要介護被保険者等に対しては、医療保険の訪問看護費用(基本療養費・管理療養費・加算等すべて)は、原則として算定できない(告示 通則2)
  • 要介護者・要支援者であっても、次の4つのいずれかに該当すれば、例外的に医療保険が使える:①特別訪問看護指示書の交付を受けた者、②別表第7に掲げる疾病等の者、③精神科訪問看護の算定要件を満たす、認知症以外の精神疾患の者、④入院中(外泊日を含む)に退院に向けた指定訪問看護を行う場合
  • 4つの例外は重なり合う場合がある
  • 同月に介護保険と医療保険の算定対象期間がある場合、特定の加算は重複して算定できない。具体的な判断は、各加算の算定要件・対象月の条件とあわせて確認する

出典

最終確認日:2026年10月21日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。

広告

TOP