40歳未満の利用者や、要介護認定を受けていない利用者は、訪問看護でどちらの保険を使うかご存知ですか?
介護保険との給付調整で、医療保険の訪問看護の費用が算定できなくなるのは、「要介護被保険者等」に該当する場合です。40歳未満の利用者や、要介護・要支援認定を受けていない利用者は、この制限を受けません。ただし、制限を受けないことと、医療保険の訪問看護を算定できることは、別の問題で、算定には、別に要件を満たす必要があります。
この記事では、40歳未満の利用者と、40歳以上でも要介護認定を受けていない利用者の保険適用を整理します。
※この記事は医療保険の訪問看護を対象とします。要介護・要支援認定を受けている利用者の扱い(別表第7に該当する場合など)は、関連記事の「厚生労働大臣が定める疾病等(別表7・8)とは|該当する場合の保険適用」をご覧ください。

原則:「要介護被保険者等」に該当しなければ、通則2の制限を受けない
厚生労働省告示「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」通則2には、次のように定められています。
前号の規定により算定する指定訪問看護の費用の額は、別に厚生労働大臣が定める場合を除き、介護保険法(平成9年法律第123号)第62条に規定する要介護被保険者等については、算定しないものとする。
この制限を受けるのは、あくまで「要介護被保険者等」に該当する場合です。介護保険法第62条(市町村特別給付の規定)には、この語が、次のように含まれています。
市町村は、要介護被保険者又は居宅要支援被保険者(以下「要介護被保険者等」という。)に対し、前二節の保険給付のほか、条例で定めるところにより、市町村特別給付を行うことができる。
「要介護被保険者」と「居宅要支援被保険者」は、介護保険法の別の条文で、定義されています。
- 第41条第1項:「要介護認定を受けた被保険者(以下「要介護被保険者」という。)」
- 第53条第1項:「要支援認定を受けた被保険者のうち居宅において支援を受けるもの(以下「居宅要支援被保険者」という。)」
「要介護被保険者等」は、この2つを合わせた呼び方です(第62条)。要介護・要支援認定を受けていない被保険者や、被保険者でない者は、これに当たらず、通則2の制限が、かかりません。厚生労働省の近畿厚生局の資料も、医療保険の訪問看護の対象を、小児等40歳未満の者及び要介護者・要支援者以外の者、と整理しています。
通則2の制限を受けないことと、医療保険で算定できることは別
通則2の制限は、介護保険との給付調整の規定です。制限を受けないことは、医療保険の訪問看護を算定できることを、意味しません。医療保険の訪問看護を算定するには、別に、次のような要件を満たす必要があります。
- 健康保険法第88条第1項は、訪問看護療養費の対象を、疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る)としています。省令(健康保険法施行規則 第67条)は、その基準を、病状が安定し、又はこれに準ずる状態にあり、かつ、居宅において看護師等が行う療養上の世話及び必要な診療の補助を要する状態、としています
- 主治医の訪問看護指示書に基づいて、その有効期間内に行った訪問看護であることが、必要です。有効期間は、令和8年の算定通知(保発0305第19号)で確認してください
40歳未満の利用者の場合
介護保険の被保険者は、介護保険法第9条により、市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者(第1号被保険者)と、市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者(第2号被保険者)です。40歳未満の者は、どちらにも当たらず、介護保険の被保険者ではありません。
したがって、40歳未満の利用者は、「要介護被保険者等」に該当しないため、通則2の制限を受けません。医療保険の訪問看護を算定するかどうかは、上の要件(主治医の訪問看護指示書など)を満たすかで決まります。
40歳以上で、要介護認定を受けていない利用者の場合
介護保険の被保険者には、次の2種類があります(介護保険法第9条)。
- 第1号被保険者:市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者
- 第2号被保険者:市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者
要介護認定・要支援認定は、被保険者が市町村に申請して受けるものです(同法第27条、第32条)。被保険者であることと、認定を受けていることは、別の概念で、被保険者であっても、認定を受けていなければ、「要介護被保険者等」には該当しません。したがって、この場合も、通則2の制限を受けません。年齢だけで、医療保険の訪問看護の算定可否が決まるわけではなく、上の要件を満たすかどうかが、算定の条件になります。
なお、第2号被保険者(40歳以上65歳未満)が、要介護者・要支援者となるのは、その状態の原因である障害が、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病で政令で定めるもの(特定疾病)によって生じたものである場合に限られます(同法第7条第3項・第4項)。この特定疾病の一覧そのものは、今回確認した資料の範囲には含まれていません。

整理(まとめ)
| 利用者の状態 | 「要介護被保険者等」への該当 | 通則2の算定制限 |
|---|---|---|
| 40歳未満 | 該当しない(介護保険の被保険者でない) | 受けない |
| 40歳以上65歳未満、要介護・要支援認定なし | 該当しない | 受けない |
| 65歳以上、要介護・要支援認定なし | 該当しない | 受けない |
| 要介護認定を受けた被保険者、または、要支援認定を受けた被保険者のうち居宅において支援を受けるもの | 該当する | 受ける(特別訪問看護指示書、別表第7などの例外を除く) |
制限を受けない場合でも、医療保険の訪問看護を算定するには、訪問看護の対象者の要件や、主治医の訪問看護指示書などが必要です。
確認しておきたいポイント
- 利用者が要介護・要支援認定を受けているかどうかを、まず確認する(通則2の制限の有無)
- 認定を受けていない場合(40歳未満を含む)は、通則2の制限は受けない。医療保険の訪問看護を算定するための要件(主治医の訪問看護指示書など)を満たしているかを確認する
- 認定を受けている場合は、原則、介護保険が優先されるが、特別訪問看護指示書、別表第7、精神科訪問看護基本療養費などの例外がある(関連記事参照)
関連記事
出典
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成20年3月5日厚生労働省告示第67号):別表 通則2(令和8年厚生労働省告示第74号による改正後。令和8年6月1日適用)
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年3月6日厚生労働省告示第103号):第四の一(要介護被保険者等である利用者について指定訪問看護の費用の額を算定できる場合)
- 介護保険法(平成9年法律第123号):第9条(被保険者)、第41条第1項(要介護被保険者)、第53条第1項(居宅要支援被保険者)、第62条(市町村特別給付。「要介護被保険者等」の語)、第7条第3項・第4項(要介護者・要支援者)、第27条・第32条(認定の申請)。日本法令外国語訳DB、厚生労働省 法令等データベースの掲載で確認しています。現行版との差異は、確認していません
- 健康保険法第88条第1項、健康保険法施行規則第67条:近畿厚生局の資料(令和3年度「訪問看護療養費の取扱いの理解のために」)などに引用された条文で確認しています。法令データベースの原文は、確認していません
- 厚生労働省 近畿厚生局「医療保険と介護保険の訪問看護について(算定対象者のイメージ)」
最終確認日:2026年10月29日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。