退院支援指導加算と退院時共同指導加算、何が違うかご存知ですか?
どちらも退院・退所時の指導を評価する加算ですが、指導の方法、対象、算定のタイミングが異なります。特別管理指導加算は、退院時共同指導加算に上乗せする加算で、退院支援指導加算に上乗せする加算ではありません。
この記事では、退院支援指導加算の算定要件を中心に、退院時共同指導加算、特別管理指導加算との違いと、算定するタイミングを整理します。
※この記事は医療保険の訪問看護を対象とします。似た名前の「退院時共同指導加算」は、関連記事で別に扱っています。
退院時に関わる加算の全体像や連携の流れはこちら。

退院支援指導加算(区分02注7)
厚生労働省告示「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」区分02注7には、次のように定められています。
指定訪問看護を受けようとする者が、退院支援指導を要する者として別に厚生労働大臣が定める者に該当する場合に、保険医療機関から退院するに当たって、訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く。)が、退院日に当該保険医療機関以外において療養上必要な指導を行ったときには、退院支援指導加算として、退院日の翌日以降初日の指定訪問看護が行われた際に6,000円(区分番号01の注10に規定する別に厚生労働大臣が定める長時間の訪問を要する者に対し、長時間にわたる療養上必要な指導を行ったときにあっては、8,400円)を所定額に加算する。ただし、当該者が退院日の翌日以降初日の指定訪問看護が行われる前に死亡又は再入院した場合においては、死亡日又は再入院することとなったときに算定する。
整理すると、次のとおりです。
- 対象:退院日に療養上の退院支援指導が必要な利用者であって、基準告示 第二の八に定める、次のいずれかに該当するもの
- 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者
- 同 別表第八に掲げる者
- 退院日の訪問看護が必要であると認められた者
- 訪問看護指示書:退院時に訪問看護指示書の交付を受けている場合に算定します(算定通知 第5の5(3))
- 行為:退院日に、訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く)が、在宅で(告示の文言は、保険医療機関以外において)療養上必要な指導を行うこと
- 金額:6,000円(長時間の訪問を要する者への長時間の指導の場合は8,400円)
- 算定するタイミング:退院当日ではなく、退院日の翌日以降の初回の指定訪問看護が行われた際に、訪問看護管理療養費に加算します(算定通知 第5の5(1))
- 前月に指導した場合:訪問看護管理療養費を算定する月の前月に、退院支援指導を行った場合も、算定できます(同(1))
- 初回の訪問前に死亡・再入院した場合:退院日の翌日以降の初回の指定訪問看護が行われる前に死亡又は再入院した場合は、死亡日又は再入院日に算定します。通常、退院支援指導加算は、訪問看護管理療養費に加算して算定しますが、この場合は、例外として、退院支援指導加算のみを算定する特例です(算定通知 第1の1ただし書、第5の5(1))
- 算定できるステーション:1人の利用者につき、1つの訪問看護ステーションのみが算定できます。ただし、入院していた保険医療機関の看護師等が行う退院日の訪問指導とは、併算定できます(同(4))
- 記録:退院支援指導を行った場合は、その内容を訪問看護記録書に記録します(同(5))
退院当日の訪問(環境・処置の確認)については、関連記事の退院当日の訪問看護で確認したい環境・処置のポイントはこちら。
6,000円と8,400円の違い
| 区分 | 金額 | 条件 |
|---|---|---|
| 通常 | 6,000円 | 退院支援指導を要する者(基準告示 第二の八の3区分)で、退院時に訪問看護指示書の交付を受けており、退院日に、ステーションの看護師等(准看護師を除く)が、在宅での療養上必要な指導を行った場合 |
| 長時間の訪問を要する者 | 8,400円 | 上の条件に加えて、次の2つを、両方満たすこと。(1)「長時間の訪問を要する者」に該当すること。(2)1回の退院支援指導の時間が90分を超える、または、複数回の退院支援指導の合計時間が90分を超えること |

「長時間の訪問を要する者」は、基準告示 第二の三(1)に、長時間の訪問看護を要する利用者であって、次のいずれかに該当するもの、と定められています(算定通知 第5の5(2))。
- 十五歳未満の超重症児又は準超重症児
- 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者
- 特別訪問看護指示書又は精神科特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者
複数回の退院支援指導の時間は、合算できます(合計が90分を超えた場合に限り、8,400円を算定します)。
特別管理指導加算(区分02注5)
区分02注5には、次のように定められています。
注4に規定する者が注3本文に規定する別に厚生労働大臣が定める状態等にある場合には、特別管理指導加算として、更に2,000円を所定額に加算する。
これは、退院時共同指導加算(注4)を算定する者が、特別管理加算(注3)の対象となる状態等にある場合に、退院時共同指導加算に上乗せして算定できる加算です。算定通知 第5の4(2)にも、退院時共同指導加算を算定する利用者のうち、基準告示第2の6(特掲診療料の施設基準等別表第8に掲げる者)に該当する利用者について、さらに特別管理指導加算を算定できる、とあります。
- 対象:退院時共同指導加算を算定する者のうち、特別管理加算の対象となる状態等にある者
- 金額:2,000円(退院時共同指導加算に上乗せ)
- 算定するタイミング:退院時共同指導加算を算定するとき(退院・退所後の最初の指定訪問看護が行われた際)
つまり、特別管理指導加算は退院支援指導加算とは別物で、退院時共同指導加算とセットで算定する加算です。
3つの加算の関係(混同しやすいポイント)
| 加算名 | 区分 | 行為の場所・タイミング | 金額 |
|---|---|---|---|
| 退院時共同指導加算 | 注4 | 保険医療機関等の職員と共同して指導 | 8,000円(基準告示 第二の一に規定する疾病等の利用者(別表第7・第8)で、複数日に指導を実施した場合に限り、2回まで) |
| 特別管理指導加算 | 注5 | 退院時共同指導加算の対象者が特別管理加算対象状態の場合、上乗せ | +2,000円 |
| 退院支援指導加算 | 注7 | 訪問看護ステーションの看護師等が、退院日に在宅で療養上必要な指導を実施 | 6,000円(長時間8,400円) |
退院時共同指導加算の算定要件・回数・注意点は、関連記事の退院時共同指導加算の算定要件・回数・注意点はこちら。
併算定については、次の2つを区別してください。
- 退院支援指導加算と、入院していた保険医療機関の看護師等が行う退院日の訪問指導は、併算定できます(算定通知 第5の5(4))。これは、病院側の訪問指導との関係の定めです
- 退院支援指導加算と、退院時共同指導加算を、同じ退院で算定できるかどうかは、別の問題です。それぞれの算定要件を満たす必要があります。併算定の可否について、算定通知に直接の規定を確認できていないため、個別に確認が必要です
なお、介護保険の訪問看護には、「初回加算」という別の加算があります。医療保険の退院支援指導加算とは、制度も算定の根拠も異なるため、混同しないようにしてください。詳しくは、関連記事の介護保険の初回加算Ⅰ・Ⅱの違いはこちら。
タイミングの整理
退院時共同指導加算・特別管理指導加算と、退院支援指導加算は、算定するタイミングが異なります。
- 退院時共同指導加算・特別管理指導加算:退院・退所後の最初の指定訪問看護が行われた際に算定します。算定通知 第5の4(1)は、初日の指定訪問看護の実施時に1回に限り算定する、としています。基準告示 第二の一に規定する疾病等の利用者が、複数日に指導を実施した場合の2回分は、2回とも、初日の指定訪問看護の実施日に算定します
- 退院支援指導加算:退院日の翌日以降の初日の指定訪問看護が行われた際に、訪問看護管理療養費に加算して算定します(算定通知 第5の5(1))。初回の指定訪問看護が行われる前に死亡又は再入院した場合は、死亡日又は再入院日に、退院支援指導加算のみを算定します(特例)

確認しておきたいポイント
- 退院支援指導加算の対象者(基準告示 第二の八の3区分)に該当するか、退院時に訪問看護指示書の交付を受けているかを確認する
- 退院日に、ステーションの看護師等(准看護師を除く)が、在宅で療養上必要な指導を行ったか(退院支援指導加算)、それとも、保険医療機関の職員と共同して指導したか(退院時共同指導加算)を区別する
- 8,400円を算定する場合は、「長時間の訪問を要する者」に該当し、1回の指導が90分を超える(または複数回の合計が90分を超える)ことを確認する
- 特別管理指導加算は、退院時共同指導加算とセットでのみ算定できる(退院支援指導加算には上乗せできない)点に注意する
- 退院時共同指導加算・特別管理指導加算と、退院支援指導加算では、算定するタイミングが異なる点を把握しておく(「タイミングの整理」参照)。退院支援指導加算は、訪問看護管理療養費を算定する月の前月に指導した場合も、算定できる点を確認する
よくある質問
Q. 退院支援指導加算にも、特別管理指導加算のような上乗せはありますか?
A. 告示 区分02注5は、特別管理指導加算を、退院時共同指導加算(注4)に対する上乗せとして定めています。退院支援指導加算(注7)に対する上乗せの規定は、告示にはありません。
Q. 同じ退院で、退院時共同指導加算と退院支援指導加算を両方算定できますか?
A. それぞれの算定要件を満たしているかを、個別に確認する必要があります。両方を算定できるかどうか(併算定の可否)について、算定通知に直接の規定を確認できていないため、個別に確認が必要です。なお、算定通知が併算定できると定めているのは、退院支援指導加算と、入院していた保険医療機関の看護師等が行う退院日の訪問指導で、退院時共同指導加算との関係とは別の定めです。
Q. 入院していた病院の看護師が、退院日に訪問指導を行った場合、退院支援指導加算は算定できませんか?
A. 算定通知 第5の5(4)は、退院支援指導加算は、入院する保険医療機関の看護師等が行う退院日の訪問指導とは、併算定できる、としています。
退院時の訪問看護・関連する加算も確認する
- 退院時の連携をしっかり行いたい|算定できる加算と進め方:退院時の連携で関わる加算の全体像と、一般的な進め方
- 退院時共同指導加算とは|金額・算定回数と医療保険・介護保険の違い:金額、算定回数、医療保険と介護保険の違い
- 退院当日の訪問看護|初回訪問で確認したい環境・処置:退院当日の初回訪問で確認したい環境・処置
- 初回加算Ⅰ・Ⅱの違い|退院当日訪問・新規/再開時のチェックポイント:介護保険の初回加算Ⅰ・Ⅱの違いと、新規・再開の判断
関連記事
出典
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保発0305第19号)(厚生労働省):第1の1、第2の1(1)、第5の4(1)(2)、第5の5(1)〜(5)(令和8年6月1日適用)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成20年3月5日厚生労働省告示第67号):別表 区分番号02 注4・注5・注7(令和8年厚生労働省告示第74号による改正後。令和8年6月1日適用)
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年3月6日厚生労働省告示第103号):第二の一、第二の三(1)、第二の八(令和8年厚生労働省告示第75号による改正後。令和8年6月1日適用。法令等データベースの現行の本文で確認)
最終確認日:2026年11月2日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。