2026年度の訪問看護の診療報酬改定、結局何が変わったの?
改定項目が多く、どこから確認すればよいか迷う方も多いと思います。
この記事では、2026年6月1日施行の訪問看護(医療保険)の改定を、変更点ごとに整理します。詳しい内容は、それぞれの解説記事にまとめているので、必要なところから読み進めてください。
※この記事は医療保険の訪問看護が対象です。介護保険の訪問看護は、別の仕組みです。

改定のポイント一覧
| 分類 | 主な変更点 | 詳しく読む |
|---|---|---|
| 同一建物への訪問 | 基本療養費(Ⅱ)等が5区分に細分化。同一敷地内の建物も同一建物に | 同一建物減算 |
| 管理療養費 | 月の初日を引き上げ。月の2日目以降は統合され、人数×訪問日数で細分化 | 管理療養費 |
| 新設 | 機能強化型訪問看護管理療養費4 | 機能強化型4 |
| 新設 | 包括型訪問看護療養費(高齢者住まい等に併設・隣接する事業所) | 包括型 |
| 新設・見直し | 訪問看護物価対応料、ベースアップ評価料 | 物価対応料・ベースアップ評価料 |
| 新設 | 訪問看護医療情報連携加算、訪問看護遠隔診療補助料 | 医療情報連携加算/遠隔診療補助料 |
| 見直し | 特別地域訪問看護加算、乳幼児加算、別表第8への追加 | 本記事で解説 |
| 運営面 | 適正な訪問看護の推進、運営基準・記録の見直し | 本記事で解説 |
1. 同一建物に居住する利用者への訪問看護
今回の改定の大きな柱です。
訪問看護基本療養費(Ⅱ)等:同一日の人数が、2人 / 3〜9人 / 10〜19人 / 20〜49人 / 50人以上の区分になりました。10人以上の区分は、1月あたり20日目までと21日目以降で、単価が分かれます。この日数は、基本療養費(Ⅱ)(ハを除く)、精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)、包括型訪問看護療養費の合計算定日数で数えます。
同一建物の範囲:同一敷地内の建物も、同一建物として扱われます。「同一敷地内」は、同一地番の敷地内、または、同一地番でなくても、公道に出ずに敷地を行き来できるなど、一体的に利用されている敷地が該当します。ただし、UR等の大規模団地のように、広大な敷地に複数の建物が点在し、他者が占有する土地で隔てられて、建物と建物の距離が離れている場合は、含まれません。
加算も細分化:難病等複数回訪問加算、夜間・早朝訪問看護加算、深夜訪問看護加算、複数名訪問看護加算も、同一建物内の人数に応じた評価に見直されました。
訪問時間の規定:適切な時間の訪問とは、30分以上を標準とし、20分を下回らないものとされました。20分を下回る訪問は、基本療養費(Ⅱ)等を算定できません。算定留意事項通知では、前回の訪問の終了から2時間未満の間隔で、20分以上30分未満の訪問を行う場合(緊急時を除く)は、それぞれの時間を合算して1回とするとされています。1人の看護師等が訪問した後に、続けて別の看護師等が訪問する場合も、提供時間を合算します。合算した時間に、准看護師の訪問が含まれる場合は(Ⅱ)のロ、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の訪問が含まれる場合は(Ⅱ)のニを算定します。
区分ごとの点数は、同一建物減算の記事で解説しています。
管理療養費の見直し
管理療養費は、月の初日の評価が引き上げられました。機能強化型1が13,760円、2が10,460円、3が9,030円、4が9,030円(新設)、それ以外が7,710円です(改定前は、機能強化型1が13,230円、2が10,030円、3が8,700円、それ以外が7,670円)。
月の2日目以降は、これまでの管理療養費1と2が統合されて、施設基準の届出が不要になり、単一建物居住利用者の人数と、1月あたりの訪問日数で細分化されました(1日につき、20人未満で3,010円、20人以上50人未満で2,510円〜2,210円、50人以上で2,410円〜2,010円)。
数え方は、基本療養費(Ⅱ)と違うので、注意が必要です。基本療養費(Ⅱ)は「同一日」の人数ですが、管理療養費の単一建物居住利用者の人数は、その利用者が居住する建物(同一敷地内を含む)に居住する者のうち、同月に、そのステーションが管理療養費または包括型を算定する者の人数です。20人以上の区分の「月15日目まで」「月16日目以降24日目まで」「月25日目以降」は、算定する日における、管理療養費または包括型を算定する日数に応じて決まります。詳しくは、管理療養費の記事で解説しています。
包括型訪問看護療養費の新設
高齢者向け住まい等に併設・隣接するステーションが、別表第7・8や特別訪問看護指示の利用者に、24時間体制で頻回の訪問看護を行った場合に、1日あたりで算定する新しい療養費です。届出は、併設・隣接する建物を指定して行います。金額は1日につきで、単一建物居住利用者が20人未満の場合、訪問看護時間が30分以上60分未満で7,010円、60分以上90分未満で11,010円、90分以上で14,010円(別に定める場合は15,510円)です。人数が多い区分では、単価が下がります。詳しくは、包括型の記事で解説しています。
2. 適正な訪問看護の提供体制
標準の実施時間と記録
指定訪問看護は、利用者の心身の状況に応じて妥当適切に行い、漫然かつ画一的にならないよう、看護目標と訪問看護計画に沿って行うことが明記されました。
基本療養費(Ⅰ)・(Ⅱ)の実施時間は、1回の訪問につき30分から1時間30分程度が標準です。標準の時間を下回る訪問が、同一日に同一の利用者に複数回、または複数の利用者に頻繁に行われている場合は、指定訪問看護を実施したとは認められないとされました。利用者側のやむを得ない事情による場合などは、除かれています。
訪問看護記録書に、実際の訪問開始時刻と終了時刻を記載します。目標達成の程度やその効果についての評価も、記録します。
運営基準の見直し
指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準に、次の内容が新たに規定されました。
- 申請・届出・請求に係る手続きを適正に行うこと
- 健康保険事業の健全な運営を損なわないよう努めること
- 経済上の利益の提供による利用者の誘引を禁止すること
- 特定の主治医や、特定の事業者等(有料老人ホーム、居宅介護支援など)へ誘導する対償として、金品などの利益を収受することの禁止
- 事故発生時等の安全管理の体制を確保すること(安全管理の考え方や事故発生時の対応方法の文書化など)
- 記録の整備:訪問看護記録書、指示書、計画書、報告書などを、完結の日から2年間保存し、正確かつ最新の内容を保つこと
保険医療機関側の療養担当規則にも、特定の訪問看護ステーション等を利用するべき旨の指示等の対償として、財産上の利益を収受することを禁止する規定が設けられました。
紹介料等の禁止の考え方(疑義解釈):他の事業者やその従業者に、利用者を紹介する対価として、金品などの経済上の利益を提供し、自事業所を利用するよう誘引することが、禁止されています。契約書上の名目にかかわらず、委託料や貸借料に、紹介の対価が上乗せされていると判断される場合も、対象になります。委託料等が、訪問看護療養費の一定割合で設定されている場合は、実質的に、紹介の対価と考えられます。また、高齢者向け住まい等の入居要件として、特定のステーションの利用を求め、入居者の個別の状況や必要性を踏まえずに訪問看護を行うことは、あってはならないとされています。
安全管理の研修(疑義解釈):医療安全の基本的な考え方、事故発生時の対応、再発防止策等を含む研修を、従業者が定期的(年1回、新規採用時を含む)に受講する機会を確保することが望ましく、受講内容や状況を記録します。
書類の簡素化
訪問看護計画書と訪問看護報告書は、書面の場合に署名・押印を求めないことになりました。訪問看護指示書も、様式の押印欄が削除されています(従前の様式も、引き続き使用できます)。
服薬状況の把握
指定訪問看護を提供するときに、服薬状況(残薬の状況を含みます)を含めて、利用者の状況を把握することが、運営基準で明確になりました。服薬状況は、必要に応じて、利用者の同意を得て、薬局に情報を提供することが望ましいとされています。
3. 利用者のニーズへの対応
機能強化型訪問看護管理療養費4の新設
支援ニーズの高い精神科訪問看護の利用者を受け入れ、24時間対応と地域の関係機関との連携体制がある事業所を評価する区分です。月の初日の訪問の場合の金額は、9,030円です。施設基準には、常勤の看護職員4人以上、看護職員の割合6割以上、24時間対応体制加算の届出、退院時の共同指導の実績、地域への研修・相談対応の実績などが含まれます。主な数値は、別表第7・8の利用者が月3人以上、重点的な支援を要する精神障害のある利用者(GAF尺度40以下の者など)が月7人以上(または精神科重症患者支援管理連携加算を算定する利用者)、地域の連携機関が5以上などです。詳しくは、機能強化型4の記事で解説しています。
訪問看護医療情報連携加算(月1回・1,000円)の新設
他の保険医療機関等の関係職種が、ICTを用いて記録した利用者の診療情報等を活用して、計画的な管理を行った場合の評価です。ICTで常時確認できる体制や、連携機関(特別の関係にあるものを除く)が5以上であることなどの施設基準があります。ウェブサイトへの掲載は、令和8年9月30日までの経過措置があり、令和8年10月1日以降は、原則として必要です(自ら管理するホームページ等がない場合を除きます)。詳しくは、医療情報連携加算の記事で解説しています。
訪問看護遠隔診療補助料(月1回・2,650円)の新設
定期的な訪問看護以外の場面で、主治医が情報通信機器を用いた診療に際し、緊急に診療を受ける必要があると判断した場合に、看護職員が訪問して診療の補助を行う評価です。訪問看護指示書の有効期間内の利用者が対象で、同日に、基本療養費、精神科訪問看護基本療養費、管理療養費、情報提供療養費、ターミナルケア療養費、ベースアップ評価料、物価対応料は算定できません。有効な指示書がない利用者は、医療機関が、医科点数表の訪問看護遠隔診療補助料を算定します。詳しくは、遠隔診療補助料の記事で解説しています。
特別地域訪問看護加算の要件見直し
これまでは、移動時間が1時間以上の場合が対象でした。改定後は、特別地域に所在するステーションが、特別地域に居住する利用者に訪問する場合で、移動時間(片道)が30分以上、かつ、往復の時間と訪問の実施時間の合計が2時間30分以上のときも、対象になります。交通事情等の特別の事情で、時間が延びた場合は、該当しません。
別表第8への追加
「在宅難治性皮膚疾患処置指導管理」を受けている利用者が、別表第8に追加され、訪問看護基本療養費等を週4日以上算定できる対象になりました。対象は、現に、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料を算定している利用者で、難治性の皮膚病変があるだけの利用者は、該当しません。
乳幼児加算の見直し
6歳未満の乳幼児への訪問で、別に厚生労働大臣が定める者(超重症児など)以外の乳幼児加算が、1日につき1,300円から1,400円に引き上げられました(別に定める者に該当する場合は、1,800円)。
4. 賃上げ・物価対応
訪問看護物価対応料の新設
管理療養費や包括型訪問看護療養費の算定に併せて、1日につき1回、算定します。令和8年度は、管理療養費に併せる場合が、月の初日で60円、月の2日目以降で20円です。包括型に併せる場合は、20円です。令和9年6月以降は、所定額の2倍(100分の200)になります。
訪問看護ベースアップ評価料の見直し
- 対象職員が、訪問看護ステーションに勤務する幅広い職員に拡大されました(開設者、役員、専ら管理者の業務に従事する者、業務委託により勤務する者を除きます)。
- 令和8年度と令和9年度で、段階的な評価になります。
- 継続的に賃上げを実施しているステーションと、それ以外で、評価が異なります。
- ベースアップ評価料(Ⅰ)は、780円から、令和8年6月〜は、新たに賃上げを行うステーションで1,050円、継続的に賃上げを実施しているステーションで1,830円に見直されました。令和9年6月以降は、それぞれ2,100円、2,880円です。
- 「継続的に賃上げを実施している」ステーションは、令和8年3月31日時点でベースアップ評価料を届け出ていたステーション、または、届け出ていなかったが、届出時点で、令和6年3月時点の基本給等総額に対し、5.5%(看護補助者・事務職員は8%)以上の賃上げを行ったステーションです。
詳しくは、物価対応料・ベースアップ評価料の記事で解説しています。
管理者が確認しておきたいこと

- 届出:令和8年5月31日時点で算定している療養費を、引き続き算定する場合は、新たな届出は不要です(名称のみ改正されたものを含みます)。次のものは、令和8年6月1日以降の算定に、届出が必要です。
- 新設・施設基準が創設されたもの:機能強化型4、医療情報連携加算、遠隔診療補助料、包括型、ベースアップ評価料(Ⅰ)の注3、(Ⅱ)の注7・注8
- 施設基準が改正されたもの:ベースアップ評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)
- 同一建物の人数と訪問日数:建物ごとに、算定している人数と、月の訪問日数を把握します。基本療養費(Ⅱ)は同一日の人数、管理療養費は同月の人数で数えます。
- 訪問時間と記録:実際の訪問開始・終了時刻を記録し、標準の時間を下回る訪問が続いていないかを確認します。
- 運営基準:安全管理の考え方や事故発生時の対応方法を文書にまとめ、記録を正確かつ最新に保ちます。
- 収益の試算:同一建物への訪問が多い場合は、新しい区分で、月の収益を試算し直します。
よくある質問
Q. 改定はいつから適用されますか?
A. 令和8年6月1日からです。
Q. 介護保険の訪問看護も、同じように変わりましたか?
A. この記事の内容は医療保険の話です。介護保険の訪問看護は、別の仕組みです。介護報酬の側では、令和8年6月から、訪問看護(介護予防を含む)が介護職員等処遇改善加算の対象に加わり、加算率は1.8%です。詳しくは、処遇改善加算の記事で解説しています。
Q. 詳しい算定要件は、どこで確認できますか?
A. 厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定について」に、告示・通知・疑義解釈が掲載されています。算定方法は告示第74号、施設基準は告示第75号、算定の取扱いは算定留意事項通知(保発0305第19号)、届出の手続きは届出手続きの通知(保医発0305第9号)です。疑義解釈は随時更新されるので、最新のものも参考にしてください。
まとめ
- 今回の大きな柱は、同一建物居住者等への訪問看護の見直しで、基本療養費(Ⅱ)等と管理療養費が細分化され、包括型訪問看護療養費が新設された
- 適正な訪問看護の推進として、標準の実施時間、記録、運営基準が明確化された
- 機能強化型4、ICTを用いた情報連携、遠隔診療補助、特別地域加算などで、利用者のニーズに合わせた評価が加わった
- 物価対応料とベースアップ評価料で、物価上昇と賃上げに対応する評価が見直された
最新の金額や算定ルールは、必ず厚生労働省の資料や通知で確認してください。
関連記事:同一建物減算/管理療養費/機能強化型4/包括型/物価対応料・ベースアップ評価料/医療情報連携加算/遠隔診療補助料/処遇改善加算
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」(令和8年9月4日版)/訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(令和8年厚生労働省告示第74号)/訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(令和8年厚生労働省告示第75号)/算定留意事項通知(令和8年3月5日 保発0305第19号)/届出手続きの通知(令和8年3月5日 保医発0305第9号)/疑義解釈資料(その1・2・8)/中央社会保険医療協議会 総会(第647回)資料 総-1「個別改定項目について」(令和8年2月13日)
最終確認日:2026年9月21日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。