訪問看護遠隔診療補助料は、どんなときに、誰が算定するの?
2026年6月の改定で、主治医のオンライン診療を、看護職員が利用者の居宅で補助する場合の評価が、新しく設けられました。
医療機関が算定する場合と、訪問看護ステーションが算定する場合があり、利用者の状況によって、どちらになるかが変わります。
この記事では、訪問看護ステーションが算定する場合を中心に、算定できるケースと、実務上のポイントを整理します。
※この記事は医療保険の訪問看護が対象です。

訪問看護遠隔診療補助料とは?
資料では、医師が情報通信機器を用いて診療を行い、患者のそばで看護師等が診療を補助する形態を、「D to P with N」のオンライン診療と呼んでいます。この形態を、適正に推進する観点から、次の場面で看護師等が患家を訪問し、診療を補助することへの評価が、新設されました。
- 訪問看護を同時に実施しない場合
- 看護師等が、患者と同席して診療を補助する場合
算定の全体像
看護師等が患家に訪問して、診療を補助する場面は、次のように整理されています(厚生労働省の説明資料)。

| 状況 | 想定される事例 |
|---|---|
| (A)訪問看護指示書と訪問看護計画に基づく、定期的な訪問(訪問看護) | 訪問時に、緊急に医師の診察が必要であると判断した場合。あらかじめ、訪問看護と医師の診察を、同時刻に予定している場合 |
| (B)予定された訪問看護がない場合 | 医師の診察を補助する目的で、訪問した場合 |
(B)の場合の算定先
| 誰が訪問するか | 算定するもの |
|---|---|
| ① 医師と同一の医療機関の看護師等 | 医療機関が、情報通信機器を用いた診療と、訪問看護遠隔診療補助料(医療機関)を算定する(在宅患者訪問看護・指導料は算定不可) |
| ② 訪問看護の指示を受けた訪問看護ステーションの看護師等(医療保険の訪問看護の対象者) | 診療は医療機関、訪問看護遠隔診療補助料はステーションが算定する |
| ② 同(医療保険の訪問看護の対象者以外) | 診療も、訪問看護遠隔診療補助料も、医療機関が算定する(ステーションとは合議して精算) |
(A)の場合は、ステーションは、通常どおり指定訪問看護の費用(訪問看護療養費)を算定します。
訪問看護ステーションが算定する場合
金額
2,650円(1日につき・月1回)
算定要件
次のすべてを満たす場合に、月1回に限り算定します。
- 主治医から訪問看護指示書の交付を受けた利用者で、その指示書の有効期間内であること。主治医は、医科点数表のC005-1-3の施設基準に適合して、地方厚生局長等に届け出ている保険医療機関の保険医に限ります。この医療機関は、ステーションが届出書(様式13)で「連携する保険医療機関」として届出をしている医療機関です(疑義解釈)。有効な指示書がない利用者は、ステーションは算定できません。その場合は、医療機関が、医科点数表の訪問看護遠隔診療補助料を算定します。
- 訪問看護計画書に基づき定期的に行う指定訪問看護以外の場面であること
- 主治医が、情報通信機器を用いた診療の際に、看護職員が利用者と同席のもとで、緊急に診療を受ける必要があると判断したこと(主治医が判断します。通知には、それ以上の細かい判断基準は、示されていません)
- 利用者の同意を得ていること
- 主治医の求めに応じ、主治医の指示により、看護職員が居宅を訪問し、診療の補助を行うこと
- 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、地方厚生局長等に届け出たステーションであること
- 厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って、診療と診療の補助を行うこと
- 1人の利用者について、1つのステーションでのみ算定できること。同じ利用者について、医療機関が、医科点数表の訪問看護遠隔診療補助料を算定した場合は、算定できません。
同じ日に算定できないもの
次の報酬は、同一日に算定できません。
- 訪問看護基本療養費
- 精神科訪問看護基本療養費
- 訪問看護管理療養費
- 訪問看護情報提供療養費
- 訪問看護ターミナルケア療養費
- 訪問看護ベースアップ評価料
- 訪問看護物価対応料
記録
- 居宅を訪問して、診療の補助を実施した日時、内容、対応状況を、訪問看護記録書に記録します。
- 指示を行った主治医は、指示内容を診療録に記録します。
- 必要な場合は、訪問看護指示の変更を受け、訪問看護計画を見直します。
定期の訪問看護のときに、オンライン診療が入った場合
指定訪問看護の実施時に、主治医が情報通信機器を用いた診療を行い、その診療の補助を行う場合は、訪問看護基本療養費(Ⅰ)・(Ⅱ)(いずれもハを除く)を算定できます。ただし、情報通信機器を用いた診療の補助のみを行う場合は算定できないため、指定訪問看護の実施時間を、十分に確保します。予定された訪問看護を実施し、訪問看護計画に基づいた訪問看護を提供している時間帯に、緊急に情報通信機器を用いた診療を実施した場合は、訪問看護遠隔診療補助料は算定できません(疑義解釈)。
施設基準と届出
- 情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されている保険医療機関と、連携しながら診療の補助を行う体制を、事前に構築していること
- 令和8年度改定で新設された項目なので、令和8年6月1日以降に算定するには、新たに届出が必要です。届出書は、別紙様式13を使い、ステーションの所在地を管轄する地方厚生(支)局長に、1通提出します。各月の月末までに受理されたものは、翌月から算定できます。月の最初の開庁日に受理された場合は、その月の1日から算定できます。
医療機関が算定する場合との違い
| 訪問看護ステーション | 医療機関 | |
|---|---|---|
| 名称 | 訪問看護遠隔診療補助料(訪問看護療養費) | 訪問看護遠隔診療補助料(医科点数表) |
| 金額 | 2,650円(1日につき) | 265点(1日につき) |
| 対象 | 訪問看護指示書の有効期間内の医療保険の利用者 | ステーションの算定対象にならない患者(有効な指示書がない場合など) |
| 算定回数 | 月1回 | 月1回 |
医療機関が算定する場合で、ステーションの看護師等が訪問して診療を補助するときは、次の点が示されています(厚生労働省の説明資料と疑義解釈)。
- 訪問は、医療機関の依頼と、患者の同意に基づいて行われるため、訪問看護指示書の交付は不要です。
- 診療の補助は、診療時に、医師が情報通信機器を用いて指示を行う等の方法により、医師の指示に基づいて行います。
- この点数は、ステーションからの訪問を評価したものであるため、医療機関とステーションの間で、合議のうえ、費用を精算します。
- 診療の補助に伴う診療報酬の請求は、情報通信機器を用いた診療を行う医療機関が行い、分配は、相互の合議に委ねます。
- 医療機関の側から見て、「届け出たステーション」とは、医療機関が届出書(様式20の3の7)で「連携する訪問看護ステーション」として届出をしているステーションです。
- 在宅時医学総合管理料などの、計画的な診療に当たる場合は、医療機関も、訪問看護遠隔診療補助料を算定できません。
検査・注射・処置の評価も新設
看護師等といる患者に、情報通信機器を用いた診療を行い、検査、注射、処置を実施した場合に、次の評価が設けられました。
| 評価 | 点数 |
|---|---|
| 看護師等遠隔診療検査実施料 | 1種類 100点/2種類以上 150点 |
| 看護師等遠隔診療注射実施料 | 100点 |
| 看護師等遠隔診療処置実施料 | 1種類 100点/2種類以上 150点 |
薬剤料と特定保険医療材料は、別に算定できます。これらは、診療を行う医療機関が算定する項目です。
実務上のポイント

- 指示書の有効期間:算定できるのは、有効な訪問看護指示書がある利用者だけです。期限が切れていないか、確認します。
- 緊急の判断:主治医が、緊急に診療を受ける必要があると判断した場合の評価です。定期的、計画的に行う場合は、対象になりません。
- 記録:日時、内容、対応状況を、訪問看護記録書に記録します。主治医も、指示内容を診療録に記録します。
- 同日の算定:同じ日に、訪問看護基本療養費や管理療養費などを、算定していないか確認します。
- 重複:1人の利用者について、1つのステーションでのみ算定できます。医療機関が、医科点数表で算定していないかも、確認します。
- 連携する医療機関:情報通信機器を用いた診療を行う体制がある医療機関と、連携している必要があります。届出書(様式13)で、「連携する保険医療機関」として届け出た医療機関の主治医が、対象です。
- 指針:「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って、診療と診療の補助を行います。
よくある質問
Q. 訪問看護指示書がない利用者に、看護職員が訪問して、診療を補助した場合は?
A. ステーションは、訪問看護遠隔診療補助料を算定できません。医療機関が、医科点数表の訪問看護遠隔診療補助料を算定します。
Q. 定期の訪問看護のときに、医師のオンライン診療が入った場合は?
A. 定期的な訪問看護に、医師のオンライン診療が重なる場合(あらかじめ、同時刻に予定している場合など)は、ステーションは、指定訪問看護の費用(訪問看護療養費)を算定します。この場合の補助料は、算定しません。
Q. 「緊急」かどうかは、誰が判断しますか?
A. 主治医が、情報通信機器を用いた診療の際に、看護職員が利用者と同席のもとで、緊急に診療を受ける必要があると判断した場合です。通知には、それ以上の細かい判断基準は、示されていません。
Q. 月に何回、算定できますか?
A. 月1回に限り算定します。
Q. 主治医が、連携する医療機関の医師でなくてもよいですか?
A. ステーションが算定する場合の主治医は、届出書(様式13)で「連携する保険医療機関」として届出をしている、医療機関の主治医です。
Q. 交通費は、どうなりますか?
A. 医療機関が算定する場合の資料には、訪問看護遠隔診療補助に要した交通費は、患家の負担とすると書かれています。ステーションが算定する場合の取扱いは、厚生労働省の資料には、記載がありません。
まとめ
- 訪問看護遠隔診療補助料は、2026年6月に新設された、主治医のオンライン診療を、看護職員が居宅で補助する場合の評価
- ステーションが算定できるのは、有効な訪問看護指示書がある医療保険の利用者で、定期の訪問看護以外に、主治医が、緊急に診療を受ける必要があると判断した場合。2,650円(月1回)
- 同じ日に、基本療養費、管理療養費、ベースアップ評価料、物価対応料などは算定できない。届出(別紙様式13)が必要
- 有効な指示書がない利用者は、医療機関が算定する(265点)。ステーションとは、合議して精算する
最新の金額や算定ルールは、必ず厚生労働省の資料や通知で確認してください。
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出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」(令和8年9月4日版)/訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(令和8年厚生労働省告示第74号)/訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(令和8年厚生労働省告示第75号)/算定留意事項通知(令和8年3月5日 保発0305第19号)/届出手続きの通知(令和8年3月5日 保医発0305第9号)/疑義解釈資料(その2・4・5・12)/近畿厚生局「よくある質問(訪問看護療養費の算定について)」(令和8年6月1日〜適用分)/中央社会保険医療協議会 総会(第647回)資料 総-1「個別改定項目について」(令和8年2月13日)
最終確認日:2026年10月16日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。