人工呼吸器利用者の訪問看護|特別管理加算との関係

人工呼吸器を使用している利用者、特別管理加算は5,000円ですか?2,500円ですか?
特別管理加算の区分は、人工呼吸器を使用しているかどうかではなく、利用者の状態が、告示(特掲診療料の施設基準等 別表第8)の第1号と第2号のどちらに当たるかで決まります。
この記事では、特別管理加算における位置づけの整理と、訪問看護で確認しておきたい管理ポイントをまとめます。
※この記事は医療保険の訪問看護を対象とします。加算の金額・全体の算定要件は、特別管理加算の記事で詳しく扱っています。

人工呼吸器利用者と特別管理加算の関係

人工呼吸器を使用している利用者への訪問看護では、特別管理加算の区分は、人工呼吸器を使っていること自体ではなく、利用者の状態が、別表第8のどの号に当たるかで決まります。臨床での「人工呼吸器」という呼び方と、告示に定められた状態の名称は同じではないため、取り違えやすいポイントです。

なお、別表第7(在宅患者訪問看護・指導料などに規定する疾病等)には、「人工呼吸器を使用している状態」が定められています。特別管理加算の区分(5,000円・2,500円)を決めるのは、別表第7ではなく、別表第8の号です。

特別管理加算における区分

厚生労働省の告示(特掲診療料の施設基準等 別表第8)の第1号と第2号には、次のように定められています。

一 在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理又は在宅強心剤持続投与指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者

二 在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理、在宅肺高血圧症患者指導管理又は在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている状態にある者

人工呼吸器の利用者に関わる部分を整理すると、次のとおりです。

別表第8の号告示に定められた状態(抜粋)特別管理加算(月1回)
第1号在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者、気管カニューレを使用している状態にある者 など5,000円
第2号在宅人工呼吸指導管理を受けている状態にある者 など2,500円

表は、各号の状態だけに当たる場合の整理です。第1号と第2号の両方に関係する状態がある場合は、次の説明を確認してください。

金額は、訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の別表 区分番号02(訪問看護管理療養費)の注3に、次のように定められています(令和8年6月1日適用)。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た訪問看護ステーションが、指定訪問看護に関し特別な管理を必要とする利用者(別に厚生労働大臣が定める状態等にある利用者に限る。以下この注において同じ。)に対して、当該基準に定めるところにより、当該利用者に係る指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合には、特別管理加算として、月1回に限り、2,500円を所定額に加算する。ただし、特別な管理を必要とする利用者のうち重症度等の高いものとして別に厚生労働大臣が定める状態等にある利用者については、5,000円を所定額に加算する。

注3の「別に厚生労働大臣が定める状態等にある利用者」は、基準告示(平成18年厚生労働省告示第103号)の第二の六に、「特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者」と定められています。ただし書の「重症度等の高いものとして別に厚生労働大臣が定める状態等にある利用者」は、第二の七に、「特掲診療料の施設基準等別表第八第一号に掲げる者」と定められています。

つまり、別表第8に掲げる者(第1号〜第5号)の特別管理加算は2,500円で、第1号に掲げる者は、ただし書の対象として、5,000円です。医療保険の特別管理加算には、介護保険のような(Ⅰ)(Ⅱ)の名称はなく、金額(2,500円と5,000円)で区分されています。

  • 気管カニューレを使用している状態と、在宅人工呼吸指導管理を受けている状態は、別表第8の別の号(第1号と第2号)に定められた、別の状態です
  • 人工呼吸器の使い方(気管切開下陽圧換気(TPPV)、非侵襲的陽圧換気(NPPV)など)は、臨床での呼び方で、告示の名称ではありません。呼吸管理の方式だけで、特別管理加算の区分は決まりません
  • 第1号の状態に当たる利用者は、注3ただし書の対象です。第1号と第2号の両方に関係する状態がある場合の具体的な取扱いを示した公式資料は、この記事では確認できていません。利用者の状態ごとに、第1号の文言に当たるかを確認し、判断に迷う場合は、地方厚生(支)局に確認してください
  • 在宅人工呼吸指導管理を受けている状態に当たるかどうかの具体的な判断は、医科の診療報酬の定めに関わるため、この記事では扱っていません。主治医の情報と、公式資料で確認が必要です

算定できるかどうかは、次の3つに分けて確認します。

確認すること内容根拠
利用者の状態別表第8の第1号または第2号のどの状態に当たるか特掲診療料の施設基準等 別表第8、基準告示 第二の六・七、保発0305第19号 第5の3(2)
事業所の届出地方厚生(支)局長への届出(別紙様式2)が受理されているか算定方法 区分番号02 注3、基準告示 第一の六(6)、保医発0305第9号
算定の内容特別な管理を必要とする利用者に、計画的な管理を行った場合に、月1回に限り算定する算定方法 区分番号02 注3、保発0305第19号 第5の3(1)
事業所側の施設基準・届出要件

特別管理加算の基準は、訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年厚生労働省告示第103号)の第一の六(6)に、次のように定められています。

指定訪問看護に関し特別な管理を必要とする利用者に対する指定訪問看護を行うにつき、当該利用者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制その他必要な体制が整備されていること。

届出の基準は、届出通知(令和8年3月5日保医発0305第9号)の別添「届出基準」の3に、次のように定められています。

次のいずれの要件も満たすものであること。届出については、別紙様式2を用いること。

(1) 24時間対応体制加算を算定できる体制を整備していること。

(2) 当該加算に該当する重傷者に対応できる職員体制、勤務体制が確保されていること。

(3) 特別管理加算を算定する訪問看護ステーションにあっては、医療器具等の管理、病状の変化に適切に対応できるように、医療機関等との密接な連携体制が確保されていること。

(2)の「重傷者」は、通知の原文の表記です。「当該加算に該当する」と限定されているため、特別管理加算に該当する利用者を指す表現として読みます。一般的な意味での、けがの重さを問うものとは、読まないようにしてください(この段落は、記事の説明であり、通知の引用ではありません)。

届出について、通知の内容を整理します(原文の要約です)。

  • 届出先:ステーションの所在地を管轄する地方厚生(支)局長です。届出書は、別紙様式2(24時間対応体制加算・特別管理加算に係る届出書)を使います(届出通知 第2の2)
  • 単独の届出:別紙様式2の備考に、「2.特別管理加算」単独の届出は、認められないこと、とあります
  • 算定の開始:月末までに受理されたものは、翌月から算定できます。月の最初の開庁日に受理された場合は、その月の1日から算定できます(届出通知 第2の7)
  • 令和8年3月31日時点で算定しているステーション:引き続き算定する場合には、新たな届出を要しません。ただし、令和8年6月以降の実績により、届出内容と異なる事情が生じた場合は、変更の届出が必要です(届出通知 第4の1)

職員体制・勤務体制や、医療機関等との連携体制を、どのような方法で整えるかは、届出基準の3には、具体的に定められていません。事業所ごとの手順書・マニュアルで整えます。

訪問看護で確認しておきたい管理ポイント

ここから先は、告示・通知に明記された算定要件ではなく、人工呼吸器を使用している利用者への訪問看護で、実務上一般的に確認・記録が必要とされるポイントの整理です。

通知に定められている内容(特別管理加算全般)
  • 訪問の際、症状が重篤であった場合には、速やかに医師による診療を受けることができるよう、必要な支援を行います(通知 第5の3(5))

令和8年の通知 第5の3には、褥瘡の状態にある者と、点滴注射に関する、特別管理加算の記録・連絡の定めがあります。人工呼吸器に限った定めは、確認できませんでした。

利用者の観察・指導項目(看護上の安全管理)
  • 気管カニューレの有無・種類の確認:カニューレの種類、カフ圧、交換時期
  • 人工呼吸器の設定確認:換気モード、換気回数、一回換気量、酸素濃度など、指示どおりの設定になっているか
  • アラーム対応:機器のアラーム設定と、鳴った際の対応手順
  • 回路・フィルターの管理:呼吸回路の破損・汚染の有無、フィルター交換時期
  • 気道分泌物の管理:吸引の頻度・方法、痰の性状の観察
  • 皮膚状態の観察:気管カニューレ挿入部・マスク装着部の皮膚トラブルの有無
事業所で整備しておきたい運用上の対応
  • 停電・災害時の対応:予備バッテリー・手動式蘇生バッグ(アンビューバッグ)の準備状況、業者・主治医との連絡体制
  • 主治医・臨床工学技士等との連携:設定変更やトラブル時の連絡体制

これらは一般的な実務知識であり、告示・通知に定められた算定要件そのものではありません。事業所ごとの手順書・マニュアルと合わせてご確認ください。

記録に残しておきたいこと

  • 人工呼吸器の設定内容、実際の作動状況
  • 気管カニューレの状態(種類、カフ圧、交換日)
  • 吸引の実施状況、痰の性状
  • 皮膚トラブルの有無
  • アラーム発生時の対応内容

毎回の訪問時に、訪問看護記録書に記入する事項は、通知(第4の6)に定められています(訪問年月日、利用者の体温・脈拍等の心身の状態、利用者の病状、家庭等での看護の状況、実施した指定訪問看護の内容、実施に要した時間等の概要)。上の項目は、人工呼吸器を使用している利用者で、記録しておくと役立つ項目の例です。人工呼吸器に限った記録項目は、告示・通知に定められていません。

よくある質問

Q. 人工呼吸器を使っている利用者は、必ず5,000円ですか?
A. 必ず5,000円になるわけではありません。5,000円の区分は、別表第8の第1号に掲げる者(在宅気管切開患者指導管理を受けている状態、気管カニューレを使用している状態など)が対象です。在宅人工呼吸指導管理を受けている状態は、別表第8の第2号に規定されています。特別管理加算の金額を判断する際は、第1号に掲げる状態にも該当するかを含め、告示の文言に照らして確認してください。第1号と第2号の両方に関係する場合の具体的な取扱いは、公式資料で確認できていないため、判断に迷う場合は地方厚生(支)局に確認してください。人工呼吸器を使用しているという事実だけで区分を判断せず、利用者の状態が、どの号に当たるかを確認します。

Q. NPPV(マスク型の非侵襲的人工呼吸)は、どちらの区分になりますか?
A. NPPVを使用していることだけで、区分を判断することはできません。在宅人工呼吸指導管理を受けている状態に当たるか(第2号)、また、気管カニューレを使用している状態など、第1号の状態にも当たるかを、利用者の状態ごとに確認します。そのうえで、事業所が特別管理加算の届出を行い、受理されている必要があります。告示上の対象状態と、事業所の算定要件は、出典欄の公式資料で確認してください。

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出典

厚生労働省(地方厚生局を含む)の資料を掲載しています。

最終確認日:2026年10月26日※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。

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