訪問看護ステーション管理者の要件・兼務ルール

訪問看護ステーションの管理者、どこまで他の職務と兼務できるかご存知ですか?
管理者は「専従・常勤」が原則ですが、一定の条件を満たせば兼務が認められます。令和6年度改定で、この兼務ルールが見直されました。
この記事では、管理者の要件と、兼務が認められる場合の考え方を整理します。
※この記事は、医療保険(健康保険法)の指定訪問看護の基準を扱います。介護保険の指定基準は、別に定められており、この記事では扱いません。

管理者は原則「専従・常勤」

厚生労働省令「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」第3条には、次のように定められています。

指定訪問看護事業者は、指定訪問看護ステーションごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。ただし、指定訪問看護ステーションの管理上支障がない場合は、当該指定訪問看護ステーションの他の職務に従事し、又は他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとする。

「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」(令和8年3月5日保発0305第20号)の第三の2(2)①には、この「専従・常勤」の原則について、次のように定められています。

基準省令第3条第1項の規定により指定訪問看護ステーションに置くべき管理者は、当該指定訪問看護ステーションに専従、かつ、常勤の者でなければならない。ただし、以下の場合であって、指定訪問看護ステーションの管理上支障がない場合は、他の職務を兼ねることができる。

このただし書の「以下の場合」は、次の3つです(原文の要約です)。

  • イ:そのステーションの看護職員としての職務に従事する場合
  • ロ:そのステーションが介護保険法の指定を受けている場合に、そのステーションの管理者または看護職員としての職務に従事する場合
  • ハ:同一の指定訪問看護事業者が設置した、他の事業所、施設等の管理者または従業者としての職務に従事する場合(次の節で整理します)

つまり、管理者は原則として、その訪問看護ステーションの業務に専念する常勤者でなければなりません。

令和6年度改定:「同一敷地内」の限定が撤廃

令和6年度改定前は、兼務が認められる他の事業所・施設等について、通知(令和2年3月5日保発0305第4号 第三の2(2)①ハ)に、「同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該指定訪問看護ステーションの管理業務に支障がないと認められる範囲内」という、立地上の制限がありました。省令第3条のただし書も、改正前(令和5年12月1日時点の本文)は、「同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができる」と定めていました。

令和6年厚生労働省令第35号(令和6年6月1日施行)による改正で、省令は、上の現行の本文になり、通知(令和8年の保発0305第20号も同じ内容)は、次のように変わりました。第三の2(2)①ハは、次のとおりです。

同一の指定訪問看護事業者によって設置された他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合であって、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する時間帯も、当該指定訪問看護ステーションの利用者に対する看護やサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握でき、職員及び業務に関し、一元的な管理及び指揮命令に支障が生じないときに、当該他の事業所等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合

整理すると、次のとおりです。

  • 改定前:兼務できる他の事業所・施設等は、同一敷地内または隣接する等、立地が近いことが条件だった
  • 改定後:立地の近さは問われなくなった。ただし、同一の指定訪問看護事業者が設置した事業所・施設等であることが条件で、かつ、兼務している時間帯も自ステーションの利用者対応の状況を適時・適切に把握でき、一元的な管理・指揮命令に支障が生じないことが必要

つまり、立地の近さだけで兼務が認められるのではありません。立地が離れていても、①同一の指定訪問看護事業者が設置した事業所・施設等であること、②兼務している時間帯も、自ステーションの利用者に対する看護やサービス提供の場面等で生じる事象を、適時かつ適切に把握できること、③職員・業務に関する一元的な管理・指揮命令に支障が生じないこと、の3つを満たし、管理上支障がない場合に限り、兼務が認められる、という改定です。

管理業務に支障があるとされる例

保発0305第20号の第三の2(2)①ハ(他の事業所等の職務を兼ねる場合)には、管理者の業務に支障があると考えられる例として、次のものが示されています(例示です)。

  • 管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合
  • 併設される入所施設における看護業務(管理業務を含む)と兼務する場合(施設における勤務時間が極めて限られている場合を除く)
  • 事故発生時等の緊急時において、管理者自身が速やかに当該指定訪問看護ステーションまたは利用者へのサービス提供の現場に駆け付けることができない体制になっている場合

管理者の責務(省令第20条)

「第20条」は、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第80号)の第20条です。次のように定められています。

指定訪問看護ステーションの管理者は、指定訪問看護ステーションの従業者の管理及び指定訪問看護の利用の申込みに係る調整、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行うものとする。

2 指定訪問看護ステーションの管理者は、当該指定訪問看護ステーションの従業者にこの章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うものとする。

保発0305第20号の第三の4(18)(基準省令第20条関係)には、次のように記載されています。

基準省令第20条は、管理者の責務について規定したものであり、管理者の責務に関し、利用者に対する看護やサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、指定訪問看護の利用の申込みに係る調整、業務の実施状況の把握等の管理を一元的に行い、併せて、適切な指定訪問看護を提供できるよう、運営に関する事項を遵守させるため必要な指揮命令を行うものとしたものであること。

令和2年の通知(保発0305第4号 第三の4(14))には、「利用者に対する看護やサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら」の部分はなく、令和6年の改正で加わりました。兼務の条件(第三の2(2)①ハ)にも、同じ「適時かつ適切に把握でき」という文言があります。

確認しておきたいポイント

  • 兼務先が、同一の指定訪問看護事業者が設置した事業所・施設等であるか
  • 兼務している時間帯も、自ステーションの利用者へのサービス提供状況を適時・適切に把握できる体制になっているか
  • 緊急時に、管理者自身が速やかに現場に駆け付けられる体制になっているか
  • 管理すべき事業所数が過剰になっていないか

よくある質問

Q. 管理者は、資格要件(保健師・助産師・看護師)を満たしていれば、必ず兼務できますか?
A. いいえ。資格要件と兼務要件は別の話です。兼務するには、管理上支障がないと認められる必要があり、通知(保発0305第20号 第三の2(2)①)に示された考え方(把握体制、緊急時対応、事業所数等)を踏まえて個別に判断されます。

Q. 令和6年度改定前から兼務している場合、改定後の要件を満たす必要がありますか?
A. 改定後は基準そのものが変わっているため、現行の要件(同一事業者設置、適時適切な把握、一元的な管理・指揮命令に支障がないこと)を満たしているかを確認する必要があります。

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出典

最終確認日:2026年10月28日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。

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