有料老人ホームやサ高住への訪問看護は、2026年度改定で何が変わったの?
訪問看護ステーションが、隣接・併設する有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の利用者に訪問する場合、2026年6月の改定で、新しい仕組みが設けられました。
この記事では、厚生労働省の告示・通知に沿って、対象となる建物、金額、算定できるケース、単一建物居住利用者の数え方を整理します。
※医療保険の訪問看護が対象です。
2026年度改定での変更点

2026年6月の改定で、訪問看護ステーションが隣接・併設する高齢者向け住まい等の利用者に対する評価として、包括型訪問看護療養費が新設されました。1日に複数回の訪問看護を行った場合でも、訪問看護時間を合算して、1日単位でまとめて評価する仕組みです。
対象となる建物
訪問看護ステーションが、隣接(同一敷地内を含む)又は併設する、次のいずれかの建物であって、包括型訪問看護療養費を算定する利用者が居住するものとして届出を行った建物が対象です。
- 高齢者の居住の安定確保に関する法律 第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅
- 老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホーム等の集合住宅等
算定できる利用者・算定要件
厚生労働省告示「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」区分04注1〜注4、および厚生労働省の改定資料には、次のように定められています。
1 包括型訪問看護療養費については、別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た訪問看護ステーションの看護師等が、包括型訪問看護療養費を算定する建物として届出を行った建物に居住する、別に厚生労働大臣が定める者に対して、当該利用者の同意を得て、その主治医から交付を受けた訪問看護指示書及び訪問看護計画書に基づき、24時間の対応体制で、計画的又は随時の対応による頻回の指定訪問看護を行った場合に、利用者1人につき、1日当たりの訪問時間及び単一建物居住利用者の人数に従い、いずれかを算定する。
対象となる利用者は、次のとおりです(厚生労働省の改定資料で確認)。
- 特掲診療料の施設基準等別表第7に掲げる疾病等の者
- 特掲診療料の施設基準等別表第8に掲げる者
- 特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者
かつ、1日に2回以上の訪問看護を行った場合が対象です。1日1回のみの訪問の場合は、包括型ではなく、通常の訪問看護基本療養費(Ⅱ)等を算定します。
整理すると、次のとおりです。
- 届出:ステーション自体の届出、建物の届出が必要
- 24時間体制の内訳:日中・夜間帯(午後6時〜午前8時)にそれぞれ1回以上、合算訪問時間が60分以上の日は1日3回以上、かつ1日1回以上は看護職員(准看護師を除く)が訪問すること
- 記録:訪問看護計画書・記録書は電子的方法で記録し、実施時間を記載すること
建物数の上限・サテライトの扱い
厚生労働省の施設基準通知(保医発0305第9号)には、次のとおり定められています。
包括型訪問看護療養費を算定する利用者が居住する建物を、訪問看護ステーションにつき1か所指定すること。なお、訪問看護ステーションごと指定できる建物は1か所のみである。また、包括型訪問看護療養費を算定するとして訪問看護ステーションが届出を行った建物に対して他の訪問看護ステーションは当該療養費の届出を行うことはできない。
包括型訪問看護療養費の届出は訪問看護ステーションごとに行う必要があること。高齢者向け住まい等の建物に訪問看護ステーションの主たる事業所が併設又は隣接している場合に届出を行うことができ、従たる事業所であるサテライトのみが併設又は隣接している場合には届出を行うことはできない。
整理すると、次のとおりです。
- 1つの訪問看護ステーションが指定できる建物は、1か所のみ
- 1つの建物について、包括型訪問看護療養費を届け出られるのは、1つの訪問看護ステーションのみ(他のステーションは届出不可)
- 届出ができるのは、主たる事業所が建物に併設・隣接している場合に限る。サテライトのみが隣接している場合は、届出できない
- 届出をしたステーション(サテライトを含む)は、届出建物に居住していない他の利用者に、包括型以外の通常の指定訪問看護を行うことは差し支えない

例外的に他のステーションが訪問できる場合(厚生労働省の改定資料)
- 災害等のやむを得ない事情により、届出をしたステーションが、当該建物に居住する利用者に指定訪問看護を十分に行うことができなくなった場合
- 当該建物に居住する利用者が、届出をしているステーションとは別の他の訪問看護ステーションを利用することを希望した場合
この場合、届出をしたステーションと他のステーションが特別の関係にあるときは、同一建物及び単一建物居住利用者数は、当該建物において合算した人数とします。
24時間の対応体制

厚生労働省の施設基準通知(保医発0305第9号)に、次のとおり定められています。
- 24時間体制で、利用者等からの電話や情報通信機器等による連絡・相談を受けられる体制が必要。他の施設・従事者を経由する体制や、ステーション以外の者が所有する電話を連絡先とすることは認められない
- 連絡相談を担当する者は、原則として、当該ステーションの保健師又は看護師
- 90分以上の区分(ハ・ニ)を算定する場合は、建物内で24時間体制の連絡・相談を受けられる体制が必要。担当者は、原則として当該建物で現に訪問看護業務に従事する看護職員
- 30〜90分の区分(イ・ロ)を算定する場合は、必ずしも建物内で24時間対応体制を整備する必要はない(整備が望ましいとされる)
さらに、90分以上の区分(ハ・ニ)を算定する利用者に対しては、夜間帯(午後6時〜午前8時)の対応を行う看護職員の数について、次のとおり定められています。
夜間帯の対応を行う看護職員の数は、常時1名以上(ただし、当該利用者の数の合計が31以上80以下の場合は2以上、81以上の場合は50又はその端数を増すごとに1を加えて得た数以上。)、当該建物において、計画的な指定訪問看護を実施している、又は随時の指定訪問看護に対応できる状況で勤務していること。
単一建物居住利用者の数え方
包括型訪問看護療養費における単一建物居住利用者の人数とは、その利用者が居住する建物(同一敷地内のものを含む)に居住する者のうち、同月において、その訪問看護ステーションが包括型訪問看護療養費又は訪問看護管理療養費を算定する者の人数をいいます。
同じ建物に住んでいても、他の訪問看護ステーションが担当している利用者や、この2つの療養費を算定していない利用者は、人数に含みません。
訪問看護時間の考え方
包括型訪問看護療養費における訪問看護時間は、訪問看護ステーションの看護師等が、利用者の希望及び心身の状況、主治医の指示及び療養生活等を踏まえて設定した看護目標及び訪問看護計画書に沿って、1日に行った複数回の指定訪問看護において、実際に看護を提供した時間を合算して算出します。
利用者1人につき、1日あたりの訪問時間、および単一建物居住利用者の人数に従って、包括型訪問看護療養費の区分のいずれかを算定します。
金額(1日につき)
厚生労働省告示「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」区分04に、次のとおり定められています。
| 単一建物居住利用者の人数 | 30分以上60分未満 | 60分以上90分未満 | 90分以上 | 90分以上(別に厚生労働大臣が定める場合) |
|---|---|---|---|---|
| 20人未満 | 7,010円 | 11,010円 | 14,010円 | 15,510円 |
| 20人以上50人未満 | 6,310円 | 9,910円 | 13,730円 | 15,200円 |
| 50人以上 | 5,960円 | 9,360円 | 13,450円 | 14,890円 |
「90分以上(別に厚生労働大臣が定める場合)」の対象条件は、厚生労働省の改定資料に次のとおり示されています。

- 包括型訪問看護療養費の対象者に対し、訪問看護ステーションが緊急時において即時に適切な指定訪問看護を実施できる体制があること
- 当該訪問看護ステーションが、包括型訪問看護療養費を算定する利用者全員の訪問看護実施時間の1日当たりの平均が120分以上であること
算定できないケース・他の療養費との関係
厚生労働省告示の区分04注5・注6・注8、および改定資料には、次のように定められています。
- 対象建物に居住していても、別表第7・第8・特別訪問看護指示書のいずれにも該当しない利用者には、包括型訪問看護療養費ではなく、通常の訪問看護基本療養費等を算定する(注6)
- 対象者であっても、1日の訪問が1回のみの場合は、包括型ではなく、訪問看護基本療養費(Ⅱ)等を算定する(注5、改定資料の算定例より)
- 包括型訪問看護療養費を算定する日は、同一日に訪問看護基本療養費・精神科訪問看護基本療養費・訪問看護管理療養費は、別に算定できない(注8)。ただし、次の項目は併算定できる:
- 訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)のハ(専門研修看護師による緩和ケア等)
- 緊急訪問看護加算・精神科緊急訪問看護加算(包括型のニの場合を除く)
- 乳幼児加算
- 24時間対応体制加算
- 包括型を算定すると届出済みの建物に居住する利用者は、原則として通常の訪問看護基本療養費を算定しない(その訪問看護ステーションから訪問を受けている場合等を除く)
実務のポイント
- 建物の届出:対象の建物は、包括型訪問看護療養費を算定する利用者が居住する建物として、あらかじめ届出が必要です。1ステーションにつき1か所のみ、かつ主たる事業所が併設・隣接している必要があります。
- 対象者の確認:別表第7・第8に掲げる疾病等の者、または特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者であり、かつ1日2回以上の訪問看護を行う場合が対象です。
- 人数の数え方:同じ建物の住人でも、同月に包括型訪問看護療養費または訪問看護管理療養費を算定していない人は、単一建物居住利用者の人数に含みません。
- 訪問看護時間:1日に複数回訪問した場合は、その日の実際の看護提供時間を合算して、区分を決めます。
- 24時間体制の内訳:日中・夜間帯それぞれ1回以上、合算60分以上の日は1日3回以上、1日1回以上は看護職員(准看護師を除く)の訪問が必要です。90分以上の区分では、建物内での連絡体制と、夜間帯の看護職員配置基準(常時1名以上、利用者数に応じて増員)も満たす必要があります。
- 90分特例の条件:緊急時の即時対応体制に加え、対象利用者全員の1日あたり平均訪問時間が120分以上であることが必要です。
- 併算定の可否:包括型を算定する日は、原則として基本療養費・管理療養費は別算定できませんが、一部の加算(緊急訪問看護加算、乳幼児加算、24時間対応体制加算等)は併算定できます。
管理者が確認しておきたいこと
- 隣接・併設する建物が、サービス付き高齢者向け住宅または有料老人ホーム等に該当するか
- その建物を、包括型訪問看護療養費を算定する利用者が居住する建物として届出しているか
- 建物の指定は1か所のみであり、他のステーションがすでに同じ建物を届出していないか
- 届出を行うのは、主たる事業所が建物に併設・隣接している場合に限られ、サテライトのみでは届出できないことを理解しているか
- 日中・夜間帯それぞれ1回以上、1日1回以上の看護職員訪問という体制要件を満たしているか
- 90分以上の区分を算定する場合、夜間帯の看護職員配置基準(常時1名以上、利用者数に応じて増員)を満たしているか
- 単一建物居住利用者の人数を、同月の算定状況にもとづいて正しく数えているか
- 対象者(別表第7・第8、特別訪問看護指示書)で、かつ1日2回以上訪問している利用者にのみ、包括型を算定しているか
- 包括型算定日に、算定できない療養費・加算を誤って併算定していないか
よくある質問
Q. どんな建物が対象になりますか?
A. 訪問看護ステーションが隣接(同一敷地内を含む)又は併設する、サービス付き高齢者向け住宅、または有料老人ホーム等の集合住宅等で、包括型訪問看護療養費を算定する利用者が居住する建物として届出を行ったものです。
Q. 1つのステーションで、複数の建物を届け出られますか?
A. できません。訪問看護ステーションにつき、指定できる建物は1か所のみです。
Q. サテライト事業所だけが建物に隣接している場合、届出できますか?
A. できません。主たる事業所が建物に併設・隣接している場合に限り、届出ができます。
Q. どんな利用者が対象になりますか?
A. 特掲診療料の施設基準等別表第7・別表第8に掲げる利用者、または特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている利用者で、かつ1日2回以上の訪問看護を行う場合が対象です。
Q. 単一建物居住利用者の人数は、どう数えますか?
A. その利用者が居住する建物に居住する者のうち、同月にその訪問看護ステーションが包括型訪問看護療養費または訪問看護管理療養費を算定する者の人数です。
Q. 訪問看護時間は、どう計算しますか?
A. 1日に複数回訪問した場合、実際に看護を提供した時間を合算して算出します。
Q. 金額はいくらですか?
A. 単一建物居住利用者の人数(20人未満/20〜50人未満/50人以上)と、1日の合算訪問時間(30〜60分/60〜90分/90分以上/90分以上で大臣が定める場合)の組み合わせで決まります。詳しくは本文の金額表をご覧ください。
Q. 「90分以上で大臣が定める場合」とは、どんな条件ですか?
A. 緊急時に即時に適切な指定訪問看護を実施できる体制があり、かつ、対象利用者全員の1日あたりの平均訪問時間が120分以上であることが条件です。
Q. 包括型を算定する日に、他の加算は算定できますか?
A. 一部の加算(緊急訪問看護加算、乳幼児加算、24時間対応体制加算等)は併算定できますが、訪問看護基本療養費・精神科訪問看護基本療養費・訪問看護管理療養費は、原則として別に算定できません。
まとめ
- 2026年6月の改定で、有料老人ホームやサ高住に隣接・併設する訪問看護ステーション向けに、包括型訪問看護療養費が新設された
- 対象は、別表第7・第8に掲げる利用者、または特別訪問看護指示書を受けている利用者で、1日2回以上訪問する場合
- 1ステーションにつき建物は1か所のみ、主たる事業所が併設・隣接している必要がある(サテライトのみでは届出不可)
- 日中・夜間帯それぞれ1回以上、1日1回以上の看護職員訪問という体制要件があり、90分以上の区分では夜間職員配置基準も求められる
- 金額は、人数区分(3段階)と訪問時間区分(4段階)の組み合わせで決まる。90分特例は、緊急時対応体制+全員の平均訪問時間120分以上が条件
- 包括型算定日は、原則として基本療養費・管理療養費と併算定できない
最新の算定ルールは、必ず厚生労働省の資料や通知で確認してください。
関連記事:包括型訪問看護療養費とは|2026年新設の対象と算定要件(医療保険)/訪問看護の同一建物減算とは|2026年改定の5区分を解説(医療保険)/制度一覧
出典
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(令和8年厚生労働省告示第74号)区分04(金額・算定要件・24時間体制・併算定制限の根拠)
- 算定留意事項通知(令和8年3月5日 保発0305第19号)
- 「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」(令和8年3月5日 保医発0305第9号)(建物数の上限、サテライトの扱い、24時間体制の詳細、夜間職員配置基準の根拠)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」(令和8年3月5日版)(対象者、90分特例の条件、併算定制限の詳細、算定例の根拠)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(訪問看護ステーション向けの告示・通知の起点)
最終確認日:2026年10月20日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。