令和6年度介護報酬改定、訪問看護分のポイント

令和6年度介護報酬改定で、訪問看護は何が変わったの?
令和6年6月から、訪問看護に関するいくつかの加算・減算が、新設または見直しされました。区分の細分化や、新しい減算の項目もあります。
この記事では、老企第36号の新旧対照表に沿って、訪問看護分の変更点を整理します。
※介護保険(訪問看護)の内容です。

令和6年度改定の全体像

令和6年度介護報酬改定では、訪問看護について、既存の加算の区分の見直しと、新しい加算・減算の新設が行われました。この記事では、老企第36号(令和6年3月15日一部改正、介護保険最新情報Vol.1213)の新旧対照表で確認できた、訪問看護に関する変更点を整理します。

区分が見直された加算

緊急時訪問看護加算(Ⅰ)(Ⅱ)

緊急時訪問看護加算に、Ⅰ・Ⅱの区分が設けられました。Ⅰを算定するには、次のいずれか2項目以上(ア・イのいずれかを含む)を満たす必要があります。

  • ア:夜間対応した翌日の勤務間隔の確保
  • イ:夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続(2回)まで
  • ウ:夜間対応後の暦日の休日確保
  • エ:夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫
  • オ:ICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減
  • カ:電話等による連絡及び相談を担当する者に対する支援体制の確保

24時間連絡できる体制について、保健師又は看護師以外の職員に連絡相談を担当させる場合の要件(マニュアルの整備、緊急時の判断体制、管理者による勤務体制の明確化など)も、あわせて示されました。

初回加算(Ⅰ)(Ⅱ)

初回加算に、Ⅰ・Ⅱの区分が設けられました。

  • 初回加算(Ⅰ):病院、診療所又は介護保険施設から退院又は退所した日に、看護師が訪問する場合(350単位)
  • 初回加算(Ⅱ):それ以外の場合(300単位)

改定前は、区分のない単一の初回加算(300単位)でした。

専門管理加算

専門管理加算に、特定行為(手順書にもとづくもの)を対象とする区分が加わりました。手順書の交付対象となった利用者に対し、指定研修機関で特定の行為に関する研修を修了した看護師が、定期的な管理を行った場合に算定します。

新設された減算

理学療法士等(PT・OT・ST)の訪問に関する減算

理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護について、看護職員の訪問実績等にもとづく、8単位の減算が新設されました。適用開始は令和6年6月1日です。詳しい要件は、関連記事「リハビリ職(PT・OT・ST)訪問の減算ルール」で解説しています。

高齢者虐待防止措置未実施減算

虐待の発生又はその再発を防止するための措置(委員会の開催、指針の整備、研修の定期的な実施、担当者を置くこと)が講じられていない場合に、減算の対象となります。

業務継続計画未策定減算

業務継続計画(感染症・災害の発生時における体制)が未策定の場合に、減算の対象となります。訪問看護については、令和7年3月31日までの間、経過措置として適用されませんが、義務化されていることを踏まえ、早めの策定が求められています。

新設された加算

遠隔死亡診断補助加算

連携する保険医療機関で、情報通信機器を用いた死亡診断の補助を行う場合の加算です。情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修を受けた看護師が、厚生労働省のガイドラインにもとづいて、主治医による死亡診断の補助を行った場合に算定します。

口腔連携強化加算

訪問介護と同様の考え方で新設された加算です。

実務のポイント

  • 緊急時訪問看護加算:Ⅰを算定する場合は、業務負担軽減の体制(6項目のうち2項目以上、ア・イのいずれかを含む)を整えているか確認します。
  • 初回加算:退院・退所日に看護師が訪問したかどうかで、Ⅰ・Ⅱのどちらを算定するか判断します。
  • 理学療法士等の訪問:看護職員との訪問回数のバランスや、対象の加算の算定状況を、年間を通じて把握しておく必要があります。
  • 業務継続計画:訪問看護は令和7年3月31日まで減算の適用が猶予されていますが、計画そのものの策定は必要です。

管理者が確認しておきたいこと

  • 緊急時訪問看護加算は、ⅠとⅡのどちらの体制か、届出と実態が一致しているか
  • 初回加算は、ⅠとⅡを正しく判定できているか
  • 理学療法士等の訪問回数と、看護職員の訪問回数を、年間で記録しているか
  • 業務継続計画を策定しているか(訪問看護は減算の適用が令和7年3月31日まで猶予)
  • 高齢者虐待防止のための委員会・指針・研修・担当者が、すべて整っているか

よくある質問

Q. 令和6年度改定で、訪問看護に新しくできた減算はありますか?
A. あります。理学療法士等の訪問に関する減算(8単位)、高齢者虐待防止措置未実施減算、業務継続計画未策定減算です。

Q. 業務継続計画未策定減算は、訪問看護にもすぐ適用されますか?
A. されません。訪問看護については、令和7年3月31日までの間、経過措置として適用されません。

Q. 初回加算の区分は、いつから変わりましたか?
A. 令和6年度改定で、単一区分(300単位)から、Ⅰ・Ⅱの2区分(350単位・300単位)に見直されました。

Q. これらの変更は、医療保険にも当てはまりますか?
A. この記事で扱っているのは、介護保険(介護報酬改定)の内容です。医療保険(診療報酬改定)は、別の制度・別の改定時期のため、当てはまりません。

まとめ

  • 令和6年度介護報酬改定で、緊急時訪問看護加算と初回加算に、それぞれⅠ・Ⅱの区分が設けられた
  • 専門管理加算に、特定行為(手順書にもとづくもの)の区分が加わった
  • 理学療法士等の訪問に関する減算(8単位)、高齢者虐待防止措置未実施減算、業務継続計画未策定減算が新設された(業務継続計画は経過措置あり)
  • 遠隔死亡診断補助加算、口腔連携強化加算が新設された

最新の算定ルールは、必ず厚生労働省の資料や通知で確認してください。

関連記事:緊急時訪問看護加算Ⅰ・Ⅱの違い|算定要件と体制整備/リハビリ職(PT・OT・ST)訪問の減算ルール|施行開始と算定要件(介護保険)/制度一覧

出典:老企第36号(令和6年3月15日一部改正、介護保険最新情報Vol.1213)/令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日、介護保険最新情報Vol.1225)/介護給付費単位数等サービスコード表(令和8年6月・8月施行版)

最終確認日:2026年9月24日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。

広告

TOP