訪問看護で1回の訪問時間が長くなった場合、長時間訪問看護加算は算定できるのでしょうか?
長時間訪問看護加算は、一定の対象者に対して長時間の訪問看護を行い、所定の要件を満たした場合に算定できる加算です。
医療保険と介護保険の両方に設けられていますが、対象者・時間の数え方・算定限度・金額や単位数はそれぞれ異なります。
※この記事では、医療保険・介護保険の両方の長時間訪問看護加算について解説します。

長時間訪問看護加算とは
1回の訪問看護が一定時間を超えた場合に、通常の訪問看護費用に上乗せして算定できる加算です。医療保険・介護保険のいずれにも設けられていますが、別の制度として整理されており、基準となる時間の数え方が異なります。
金額(点数)と区分
| 医療保険 | 介護保険 | |
|---|---|---|
| 名称 | 長時間訪問看護加算/長時間精神科訪問看護加算 | 長時間訪問看護加算 |
| 金額・単位数 | 5,200円 | 300単位/回 |
| 時間要件 | 1回の指定訪問看護の時間が90分を超えた場合 | 所要時間1時間以上1時間30分未満の訪問の後、引き続き訪問を行い、通算した時間が1時間30分以上になるとき |
| 算定の前提 | 週1日(対象者により週3日)を限度に算定 | ケアプラン上、1時間30分以上の訪問としてあらかじめ位置づけられていること |
対象者
医療保険
近畿厚生局のFAQ資料(No.38)に、次のとおり定められています。
基準告示第2の3の(1)に規定する長時間の訪問を要する者に対して、1回の指定訪問看護の時間が90分を超えた場合に、週1日(基準告示第2の3の(2)に規定する者にあっては週3日)に限り算定することができます。
(1) 厚生労働大臣が定める長時間の訪問を要する者
イ 十五歳未満の超重症児又は準超重症児
ロ 別表第8に掲げる者
ハ 特別訪問看護指示書又は精神科特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者
(2) 厚生労働大臣が定める者
イ 十五歳未満の超重症児又は準超重症児
ロ 十五歳未満の小児であって、別表第8に掲げる者[出典:近畿厚生局「よくある質問(訪問看護療養費の算定について)」No.38・No.63 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/000486114.pdf]
整理すると、次のとおりです。
- 長時間訪問看護加算の対象者(週1日までの範囲を含む全体)は、イ・ロ・ハの3区分
- このうち週3日まで算定できるのは、(2)の2区分(15歳未満の超重症児・準超重症児、15歳未満の小児であって別表第8に掲げる者)のみ
- 別表第8該当者であっても15歳以上であれば週1日が限度。特別訪問看護指示書・精神科特別訪問看護指示書に係る者は、対象者ではあるが週3日の対象には含まれず、週1日が限度
対象者に該当することは要件の一つであり、実際に1回の指定訪問看護の時間が90分を超えていることが、別途必要です。

介護保険
介護保険では、特別な管理を必要とする利用者が対象です。具体的な対象者は、介護保険の特別管理加算(Ⅰ)・(Ⅱ)の対象要件と照らし合わせて確認してください。
算定要件
医療保険
1回の指定訪問看護の時間が90分を超えた場合が基準です。近畿厚生局のFAQでは、この時間要件と対象者、算定限度が説明されています。告示では、長時間訪問看護加算として5,200円を週1日(定められた対象者は週3日)を限度に加算する旨が規定されています。
介護保険
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」(加算説明)に、次のとおり記載されています。
特別な管理を必要とする利用者に対して、所要時間1時間以上1時間30分未満の訪問を行った後に引き続き訪問看護を行う場合であって、訪問看護の所要時間を通算した時間が1時間30分以上になるときに算定できる加算です。
[出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」加算説明 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/addition/all2026.html]
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)訪問看護費の告示本文(注5)にも、次のとおり定められています。
所要時間1時間以上1時間30分未満の指定訪問看護を行った後に引き続き指定訪問看護を行う場合であって、当該指定訪問看護の所要時間を通算した時間が1時間30分以上となるときは、1回につき300単位を所定単位数に加算する。
つまり、1回の訪問が90分を超えていなくても、「1時間以上1時間30分未満」の訪問の後に、引き続き訪問を行い、合計(通算)で1時間30分以上になれば算定できます。

疑義解釈資料(平成21年4月改定関係Q&A Vol.2、問15・問16)では、次の取扱いが示されています。
- ケアプラン上、1時間30分以上の訪問が位置づけられていなければ、長時間訪問看護加算は算定できません。
- 長時間訪問看護加算を算定する場合、1時間30分を超える部分について、事業所が定めた利用料を別途徴収することはできません。
したがって、ケアプラン上の位置づけを事前に確認するとともに、加算算定時に超過分の利用料を別途徴収していないか確認することが重要です。
判断に迷いやすいケース
- 精神科の利用者:医療保険では「長時間精神科訪問看護加算」という別の区分名になりますが、金額・限度日数の構造は長時間訪問看護加算と同じです
- ケアプラン外で結果的に1時間30分以上になった場合(介護保険):算定できません。あらかじめケアプランに1時間30分以上の訪問として位置づけておく必要があります
- 特別訪問看護指示書に係る利用者:長時間訪問看護加算の対象者には該当しますが、週3日の対象には含まれません。週1日が限度です
- 同一日に複数回訪問した場合の合算の可否:一次資料で確認できていません。算定前に、告示・通知の原文、または管轄の地方厚生局・保険者に個別にご確認ください

管理者が確認しておきたいこと
- 医療保険・介護保険のどちらの制度で算定する利用者かを確認する
- 医療保険の場合、対象者が3区分(超重症児等・別表第8・特別訪問看護指示書)のどれに該当するか、かつ週1日・週3日のどちらが限度かを確認する
- 介護保険の場合、ケアプラン上に1時間30分以上の訪問が位置づけられているか事前に確認する
- 介護保険で、「1時間以上1時間30分未満+引き続きの訪問」という形の場合、通算時間が1時間30分以上になっているか確認する
- 介護保険で長時間訪問看護加算を算定する日は、1時間30分を超える部分の利用料を別途徴収していないか確認する
- 訪問看護記録書に、開始・終了時刻と、長時間訪問が必要だった理由・内容を具体的に記載する
よくある質問
Q. 医療保険と介護保険で、基準となる時間は同じですか?
A. 医療保険は「1回の指定訪問看護の時間が90分を超えた場合」、介護保険は「所要時間1時間以上1時間30分未満の訪問の後、引き続き訪問を行い、通算した時間が1時間30分以上になるとき」が基準です。
Q. ケアプラン上は1時間30分未満の予定だったが、結果的に1時間30分以上になった場合(介護保険)は算定できますか?
A. できません。疑義解釈資料(平成21年4月改定関係Q&A Vol.2問15)で、ケアプラン上あらかじめ1時間30分以上の訪問として位置づけられている必要があると示されています。
Q. 介護保険で長時間訪問看護加算を算定する場合、超過時間分の利用料を別途いただけますか?
A. いただけません。疑義解釈資料(同Vol.2問16)で、長時間訪問看護加算を算定する場合は、1時間30分を超える部分について、事業所が定めた利用料を別途徴収できないと示されています。
Q. 医療保険の「週3日まで算定できる対象者」とは誰ですか?
A. 15歳未満の超重症児・準超重症児、および15歳未満の小児であって別表第8に掲げる者です。別表第8該当者であっても、15歳以上の場合は週1日が限度です。
Q. 特別訪問看護指示書を受けている利用者は、全員長時間訪問看護加算を算定できますか?
A. 対象者としての要件(イ〜ハの3区分の一つ)には該当しますが、実際に1回の訪問が90分を超えていなければ算定できません。また、週3日の対象には含まれておらず、週1日が限度です。
Q. 同一日に複数回訪問した場合、合算して長時間訪問看護加算を算定できますか?
A. 一次資料で確認できていません。断定せず、告示・通知の原文、または管轄の地方厚生局・保険者に個別にご確認ください。
まとめ
- 長時間訪問看護加算は、医療保険・介護保険どちらにも設けられているが、別の制度として整理されている
- 医療保険は、1回の指定訪問看護の時間が90分を超えた場合が基準。対象者は超重症児等・別表第8該当者・特別訪問看護指示書に係る者の3区分で、このうち15歳未満の超重症児等・15歳未満で別表第8該当の者は週3日、それ以外は週1日が限度
- 介護保険は、所要時間1時間以上1時間30分未満の訪問の後、引き続き訪問を行い、通算した時間が1時間30分以上になるときが基準。ケアプラン上の位置づけが前提で、算定時は超過分の利用料を別途徴収できない
- 医療保険は5,200円(週1日、対象者により週3日)、介護保険は300単位/回
最新の算定ルールは、必ず厚生労働省の資料や通知で確認してください。
関連記事:特別管理加算とは|Ⅰ・Ⅱの違いと対象者を解説/ターミナルケア加算の算定要件|死亡日前14日以内の考え方/緊急時訪問看護加算とは|算定要件と記載のポイント
出典
- 医療保険の対象者・算定頻度・90分超の時間要件:近畿厚生局「よくある質問(訪問看護療養費の算定について)」No.38・No.63
- 医療保険の算定方法の根拠:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
- 介護保険の通算条件(厚労省公式説明):厚生労働省「介護サービス情報公表システム」加算説明
- 介護保険の300単位:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)訪問看護費・注5
- 介護保険のケアプラン上の位置づけ:平成21年4月改定関係Q&A Vol.2・問15
- 介護保険の超過分の利用料の取扱い:同Vol.2・問16
(上記3件の出典)島根県「居宅介護サービス事業等の手引き(訪問看護・算定基準編)」
最終確認日:2026年10月20日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。