理学療法士等が訪問する場合、看護職員の訪問実績が足りないと減算されるの?
2024年6月(令和6年度改定)から、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(理学療法士等)による訪問看護に、看護職員の訪問実績にもとづく減算のルールが新設されました。
この記事では、厚生労働省の告示・通知に沿って、減算の要件、回数の数え方、医療保険と介護保険の違いを整理します。
※主に介護保険の内容です。医療保険については、確認できた範囲のみ記載しています。
減算のルールとは(介護保険)
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下、理学療法士等)による訪問看護について、看護職員による訪問実績や、一部の加算の算定実績が、減算を回避する条件になりました。
このルールは、令和6年3月15日の老企第36号の改正で新設され、令和6年6月1日から適用されています。
減算になる2つのケース
次の、いずれかに該当する場合に、理学療法士等の訪問看護費から8単位を減算します。
- 看護職員の訪問回数が少ない場合:当該訪問看護事業所における、前年の4月から当該年の3月までの期間の、理学療法士等による訪問回数が、看護職員による訪問回数を超えている場合
- 一定の加算を算定していない場合:1に該当しない場合(看護職員の訪問回数が、理学療法士等の訪問回数以上である場合)でも、算定日が属する月の前6月間において、次の加算のいずれも算定していない場合
- 緊急時訪問看護加算(Ⅰ)
- 緊急時訪問看護加算(Ⅱ)
- 特別管理加算(Ⅰ)
- 特別管理加算(Ⅱ)
- 看護体制強化加算(Ⅰ)
- 看護体制強化加算(Ⅱ)
つまり、看護職員の訪問実績が十分であっても、上記の加算を一切算定していない事業所は、減算の対象になります。
訪問回数の数え方
疑義解釈(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A、令和6年3月15日、介護保険最新情報Vol.1225)で、次のように示されています。
- 連続して2回訪問した場合:1回と数えます。たとえば、理学療法士が3月1日と3月3日に、それぞれ2回ずつ訪問した場合、算定回数は4回ですが、訪問回数は2回として数えます。また、3月5日の午前に1回、午後に連続して2回訪問した場合は、算定回数は3回、訪問回数は2回です。
- 算出方法:居宅サービス計画書、訪問看護報告書及び訪問看護記録書等を参照して、訪問回数を確認します。
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護との関係:連携型の定期巡回・随時対応型訪問介護看護による訪問回数も、前年度の理学療法士等による訪問回数に含まれます。
看護職員と理学療法士等が同時に訪問した場合
定期的な看護職員による訪問に際し、看護職員と理学療法士等が同時に訪問した場合の数え方は、次のとおりです。
- 看護職員の訪問看護費を算定する場合:看護職員の訪問回数として積算する
- 看護職員の訪問看護費を算定せず、理学療法士等の訪問看護費を算定する場合:理学療法士等の訪問回数として積算する
施行時期と経過措置
- 減算の適用開始:令和6年6月1日
- 令和6年度:令和5年度の訪問回数の実績にもとづき、令和6年6月1日から令和7年3月31日までの間で減算する
- 令和7年度以降:前年度の訪問回数の実績にもとづき、翌年度4月から減算する
医療保険の場合
医療保険にも、理学療法士等が訪問看護を行う場合の要件があります。
- 訪問看護ステーションの保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を、まとめて「看護師等」と呼びます。
- 理学療法士等が訪問看護を提供している利用者については、訪問看護計画書及び訪問看護報告書に、理学療法士等が提供する内容も一体的に含めることとされています。これらの書類は、看護職員(准看護師を除く)と理学療法士等が連携して作成します。
- 訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成にあたっては、指定訪問看護の利用開始時、および利用者の状態の変化等に合わせて、看護職員による定期的な訪問により、利用者の病状及びその変化に応じた適切な評価を行うこととされています。
介護保険のような「看護職員の訪問実績が少ないと8単位減算する」という、具体的な減算の規定、および「週◯回を限度」といった回数制限の規定は、今回確認した医療保険の資料(算定留意事項通知)には見当たりませんでした。医療保険は、計画書・報告書の一体作成や、看護職員による定期的な訪問という、体制面の要件が中心になっています。
実務のポイント(介護保険)
- 年間の訪問回数を記録:理学療法士等と看護職員、それぞれの訪問回数を、居宅サービス計画書・訪問看護報告書・訪問看護記録書等で確認できるようにしておきます。
- 連続訪問の数え方に注意:同日に連続して2回訪問した場合は、1回と数えます。単純な訪問回数の合計とは異なります。
- 加算の算定状況も影響する:看護職員の訪問実績が十分でも、対象の加算を一切算定していなければ、減算の対象になります。
- 年度による実績のズレに注意:令和6年度は令和5年度、令和7年度以降は前年度の実績にもとづいて判断します。
管理者が確認しておきたいこと
- 理学療法士等と看護職員、それぞれの年間の訪問回数を把握しているか
- 連続訪問を、正しく1回と数えているか
- 緊急時訪問看護加算、特別管理加算、看護体制強化加算のいずれかを、直近6月間で算定しているか
- 令和6年度・令和7年度以降で、減算の判定に使う実績の年度がずれていないか
- 医療保険の利用者について、看護職員との連携(計画書・報告書の一体作成、定期的な訪問)ができているか
よくある質問
Q. このルールは、いつから始まりましたか?
A. 令和6年3月15日の老企第36号の改正で新設され、令和6年6月1日から適用されています。
Q. 理学療法士等の訪問には、必ず減算がかかりますか?
A. かかりません。看護職員の訪問回数が、理学療法士等の訪問回数以上であり、かつ、直近6月間に指定の加算(緊急時訪問看護加算、特別管理加算、看護体制強化加算のいずれか)を算定していれば、減算の対象になりません。
Q. 同じ日に2回訪問した場合、訪問回数はどう数えますか?
A. 連続して2回訪問した場合は、1回と数えます。算定回数(2回)とは異なります。
Q. 看護職員と理学療法士等が同時に訪問した場合は?
A. どちらの職種の訪問看護費を算定したかによって、その回の訪問を、看護職員・理学療法士等どちらの訪問回数に積算するかが決まります。
Q. 医療保険にも、同じ減算がありますか?
A. 今回確認した資料の範囲では、同様の減算規定は見当たりませんでした。医療保険では、理学療法士等が提供する内容を訪問看護計画書・報告書に一体的に含め、看護職員と連携して作成することや、看護職員による定期的な訪問が求められています。
まとめ
- 令和6年3月15日の老企第36号の改正で新設され、令和6年6月1日から、介護保険の理学療法士等による訪問看護に、8単位の減算ルールが適用されている
- 前年度、理学療法士等の訪問回数が看護職員の訪問回数を超えている場合、または、直近6月間に指定の加算を算定していない場合に減算される
- 連続して2回訪問した場合は、1回と数える
- 令和6年度は令和5年度、令和7年度以降は前年度の実績にもとづいて判断する
- 医療保険には、看護職員との連携(計画書・報告書の一体作成、定期的な訪問)の要件があるが、同様の減算規定・回数制限は今回確認できていない
最新の算定ルールは、必ず厚生労働省の資料や通知で確認してください。
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出典:老企第36号(令和6年3月15日一部改正、介護保険最新情報Vol.1213)/令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日、介護保険最新情報Vol.1225)/算定留意事項通知(令和8年3月5日 保発0305第19号)
最終確認日:2026年9月24日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。