在宅酸素療法(HOT)と訪問看護|確認したい加算・管理ポイント

在宅酸素療法(HOT)を利用している方への訪問看護、特別管理加算の対象になっていますか?
在宅酸素療法指導管理を受けている状態は、特別管理加算の対象となる状態の一つです。ただし、HOTを利用しているだけで算定できるわけではなく、対象状態への該当と、事業所の届出などの要件が必要です。
この記事では、特別管理加算における位置づけと、訪問看護で確認しておきたい管理ポイントを整理します。
※この記事は医療保険の訪問看護を対象とします。特別管理加算の全体像は、関連記事の特別管理加算の記事で詳しく扱っています。

在宅酸素療法(HOT)と訪問看護の関係

在宅酸素療法(HOT、Home Oxygen Therapy)は、呼吸不全等により酸素投与が必要な利用者に対して、自宅で酸素療法を続けられるようにする医学管理です。訪問看護では、在宅酸素療法指導管理を受けている状態が、特別管理加算の対象となる状態の一つとして、告示に定められています。ただし、対象状態に当たることと、事業所が実際に算定できることは、別の問題です。

特別管理加算における位置づけ

厚生労働省の告示(特掲診療料の施設基準等 別表第8)の第2号には、次のように定められています。

在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理、在宅肺高血圧症患者指導管理又は在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている状態にある者

在宅酸素療法指導管理を受けている状態は、この第2号に含まれます。第2号の状態にある利用者に対する特別管理加算は、月1回に限り、2,500円の区分です(訪問看護療養費の算定方法 区分番号02 注3、基準告示 第二の六)。5,000円の区分は、別表第8の第1号に掲げる者が対象です(基準告示 第二の七)。医療保険の特別管理加算には、介護保険のような(Ⅰ)(Ⅱ)の名称はなく、金額(2,500円と5,000円)で区分されています。

算定できるかどうかは、次の3つに分けて確認します。

確認すること内容根拠
利用者の状態在宅酸素療法指導管理を受けている状態にある者(別表第8 第2号)に当たるか特掲診療料の施設基準等 別表第8 第2号、基準告示 第二の六
事業所の届出地方厚生(支)局長への届出(別紙様式2)が受理されているか基準告示 第一の六(6)、保医発0305第9号
算定の内容特別な管理を必要とする利用者に、計画的な管理を行った場合に、月1回に限り算定する算定方法 区分番号02 注3、保発0305第19号 第5の3(1)
  • HOTを利用しているという事実だけで、特別管理加算を算定できるわけではありません。告示の文言(在宅酸素療法指導管理を受けている状態にある者)に当たるかを、主治医の情報などで確認します
  • 5,000円の区分は、別表第8の第1号に掲げる者が対象です。HOTに加えて、第1号の状態(気管カニューレの使用など)にも当たる場合は、第1号の文言で確認します
事業所側の施設基準・届出要件

特別管理加算の基準は、訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年厚生労働省告示第103号)の第一の六(6)に、次のように定められています。

指定訪問看護に関し特別な管理を必要とする利用者に対する指定訪問看護を行うにつき、当該利用者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制その他必要な体制が整備されていること。

届出の基準は、届出通知(令和8年3月5日保医発0305第9号)の別添「届出基準」の3に、次のように定められています。

次のいずれの要件も満たすものであること。届出については、別紙様式2を用いること。

(1) 24時間対応体制加算を算定できる体制を整備していること。

(2) 当該加算に該当する重傷者に対応できる職員体制、勤務体制が確保されていること。

(3) 特別管理加算を算定する訪問看護ステーションにあっては、医療器具等の管理、病状の変化に適切に対応できるように、医療機関等との密接な連携体制が確保されていること。

届出について、通知に定められている内容を整理します。

  • 届出先:ステーションの所在地を管轄する地方厚生(支)局長です。届出書は、別紙様式2(24時間対応体制加算・特別管理加算に係る届出書)を使います
  • 単独の届出:別紙様式2の備考に、「特別管理加算」単独の届出は認められないとあります
  • 算定の開始:月末までに受理されたものは、翌月から算定できます。月の最初の開庁日に受理された場合は、その月の1日から算定できます(届出通知 第2の7)
  • 医療保険の届出:健康保険法に基づく指定訪問看護と、高齢者の医療の確保に関する法律に基づく指定訪問看護の、一方のみの届出は認められません(届出通知 第2の1)。介護保険の事業者指定を受けていても、医療保険の届出は、別に必要です(東北厚生局の案内)
  • 届出の後:届出内容と異なる事情が生じた場合は、変更の届出を行います。届出を行ったステーションは、その旨を掲示し、毎年8月1日現在で、地方厚生(支)局長へ報告します(届出通知 第3の1・7・8)
  • 令和8年3月31日時点で算定しているステーション:令和8年6月以降も、新たな届出は不要です。ただし、届出内容と異なる事情が生じた場合は、変更の届出が必要です(届出通知 第4の1)

職員体制・勤務体制や、医療機関等との連携体制を、どのような方法で整えるかは、通知に具体的には定められていません。事業所ごとの手順書・マニュアルで整えます。

訪問看護で確認しておきたい管理ポイント

ここから先は、告示・通知に明記された算定要件ではなく、在宅酸素療法を受けている利用者への訪問看護で、実務上一般的に確認・記録が必要とされるポイントの整理です。

通知に定められている内容(特別管理加算全般)
  • 訪問の際、症状が重篤であった場合には、速やかに医師による診療を受けることができるよう、必要な支援を行います(通知 第5の3(5))

令和8年の通知 第5の3には、褥瘡の状態にある者と、点滴注射に関する、特別管理加算の記録・連絡の定めがあります。在宅酸素療法に限った定めは、確認できませんでした。

利用者の観察・指導項目(看護上の安全管理)
  • 酸素流量・使用時間の確認:処方された酸素流量(安静時・労作時・睡眠時など)どおりに使用できているか
  • 機器の管理状況:酸素濃縮器・酸素ボンベ・液体酸素装置など、使用機器の作動状況、フィルターの清掃状況
  • 皮膚・粘膜の観察:鼻カニューレ等による皮膚・鼻粘膜の損傷の有無
  • 呼吸状態の観察:SpO2値、呼吸数、チアノーゼの有無などのバイタルサイン
  • 火気の取り扱い:酸素使用中の火気(喫煙、ガスコンロなど)の危険性について、利用者・家族への指導状況
事業所で整備しておきたい運用上の対応
  • 災害・停電時の対応:停電時の予備電源の確保、業者への連絡体制の確認
  • 主治医・機器業者との連携:酸素流量の変更や機器トラブル時の連絡体制

これらは一般的な実務知識であり、告示・通知に定められた算定要件そのものではありません。事業所ごとの手順書・マニュアルと合わせてご確認ください。

記録に残しておきたいこと

  • 酸素流量・使用時間、実際の使用状況
  • SpO2値などのバイタルサイン測定結果
  • 機器の点検状況、異常の有無
  • 利用者・家族への指導内容(火気の取り扱いを含む)

毎回の訪問時に、訪問看護記録書に記入する事項は、通知(第4の6)に定められています(訪問年月日、利用者の体温・脈拍等の心身の状態、利用者の病状、家庭等での看護の状況、実施した指定訪問看護の内容、実施に要した時間等の概要)。上の項目は、在宅酸素療法を受けている利用者で、記録しておくと役立つ項目の例です。在宅酸素療法に限った記録項目は、告示・通知に定められていません。

よくある質問

Q. 在宅酸素療法指導管理を受けている利用者は、必ず特別管理加算を算定できますか?
A. 必ず算定できるわけではありません。利用者が別表第8の第2号の状態にあることに加えて、事業所が、地方厚生(支)局長に届出を行い、受理されている必要があります(24時間対応体制加算を算定できる体制の整備、対応できる職員体制・勤務体制、医療機関等との密接な連携体制が要件です)。そのうえで、特別な管理を必要とする利用者に対して、計画的な管理を行った場合に、月1回に限り算定します。詳しくは、上の説明と、関連記事の特別管理加算の記事をご覧ください。

Q. 気管カニューレを使用している利用者と、在宅酸素療法の利用者は、同じ区分ですか?
A. 別の号です。気管カニューレを使用している状態は、別表第8の第1号で、特別管理加算は5,000円の区分です。在宅酸素療法指導管理を受けている状態は、第2号で、2,500円の区分です。在宅酸素療法を利用している利用者が、第1号の状態にも当たる場合は、5,000円の区分に当たるかどうかを、別表第8第1号の文言で確認してください。なお、在宅人工呼吸指導管理を受けている状態も、第2号です(在宅気管切開患者指導管理を受けている場合や、気管カニューレを使用している場合は、第1号の状態にも当たるかを確認します)。

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最終確認日:2026年10月23日※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。

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