褥瘡の深さと訪問看護|真皮を超える褥瘡の評価・処置管理

「真皮を超える褥瘡」とはどの深さの状態を指すのか、正確にご存知ですか?
訪問看護で特別管理加算の対象となる「真皮を超える褥瘡」は、褥瘡のどの深さから該当するのか、感覚的に判断してしまいがちなポイントです。
この記事では、褥瘡の深さの分類と、真皮を超える褥瘡に対する評価・処置管理の実務を整理します。
※算定できる加算そのものの詳細(金額・要件)は、関連記事の特別管理加算の記事で扱っています。この記事は評価・処置管理を中心に扱います。

「真皮を超える褥瘡」とはどの状態か

介護保険の留意事項通知(老企第36号、特別管理加算の項)には、次のように定義されています。

「真皮を越える褥瘡の状態」とは、NPUAP(National Pressure Ulcer of Advisory Panel)分類Ⅲ度若しくはⅣ度又はDESIGN分類(日本褥瘡学会によるもの)D3、D4若しくはD5に該当する状態をいう。

※この引用は、民間サイト(PT-OT-ST.NET)に掲載された老企第36号の本文によるものです。同じ定義文は、公益社団法人全国老人保健施設協会の法令検索サービスにも掲載されています。いずれも民間・団体のサイトであり、厚生労働省の現行版の原文PDFでの照合は完了していません。なお、通知・告示は「越える」と表記しています。この記事では、引用文と通知・告示の名称は原文どおり「越える」、記事独自の説明は「超える」と表記します。意味は同じです。

整理すると、次のいずれかに該当する状態が「真皮を超える褥瘡の状態」です。

  • NPUAP分類:Ⅲ度またはⅣ度
  • DESIGN分類(日本褥瘡学会):D3、D4またはD5

通知は、2つの分類の「いずれか」に該当すればよい形で書かれています。両分類の段階の対応表は、通知にはありません。

DESIGN-R®2020の「深さ」の定義

DESIGN-R®2020「褥瘡経過評価用」(日本褥瘡学会)では、深さ(Depth)は次のように定義されています。

記号深さの定義(DESIGN-R®2020)通知の「真皮を越える褥瘡の状態」
d0皮膚損傷・発赤なし対象に含まれない
d1持続する発赤対象に含まれない
d2真皮までの損傷対象に含まれない
D3皮下組織までの損傷対象(D3)
D4皮下組織を超える損傷対象(D4)
D5関節腔、体腔に至る損傷対象(D5)
DTI深部損傷褥瘡(DTI)疑い通知に明記なし
DU壊死組織で覆われ深さの判定が不能通知に明記なし
  • 深さは、損傷が達している組織の層で定義されています。 cmなどの数値では定義されていません。DESIGN-R®2020では、深さは「創内の一番深い部分で評価し、改善に伴い創底が浅くなった場合、これと相応の深さとして評価する」とされています
  • DESIGN-R®2020には、DTI疑いと判定不能(DU)の区分があります。通知に挙げられているのは、D3・D4・D5だけです。DTI疑いや判定不能の利用者が「真皮を超える褥瘡の状態」に当たるかは、通知に書かれていません。判断に迷う場合は、保険者または都道府県に確認してください
  • NPUAP分類は、米国褥瘡諮問委員会が提唱した深達度の分類です。2007年の新分類では、「深部損傷褥瘡疑い」、ステージⅠ〜Ⅳ、「判定不能」の6病期とされています(日本皮膚科学会「褥瘡診療ガイドライン(第3版)」第4章)。同ガイドラインは、ステージⅡまでを浅い褥瘡(びらん、浅い潰瘍)として扱っています(解説4)

訪問看護制度上の位置づけ

真皮を超える褥瘡の状態にある利用者は、介護保険・医療保険のどちらの訪問看護でも、特別管理加算の対象となる状態に含まれます。加算の名称・金額・根拠は、制度ごとに異なります。対象状態、加算の区分、単位数・金額は、それぞれ別の条文に定められているため、表では分けて示します。

介護保険(訪問看護費・要介護)介護保険(介護予防訪問看護費・要支援)医療保険(訪問看護療養費)
該当する加算特別管理加算(Ⅱ)特別管理加算(Ⅱ)特別管理加算(2,500円の区分)
対象状態の根拠厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号) 第六号ニ(訪問看護費 注7の状態)告示第94号 第七十七号(介護予防訪問看護費 注6の状態=第六号)のうち、第六号ニ訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年厚生労働省告示第103号) 第二の六(特掲診療料の施設基準等 別表第八に掲げる者)のうち、別表第八 第四号
加算区分の根拠告示第94号 第七号ロ(訪問看護費 注13の区分。(Ⅱ)は第六号ロ・ハ・ニ・ホ)告示第94号 第七十八号ロ(介護予防訪問看護費 注12の区分。(Ⅱ)は第六号ロ・ハ・ニ・ホ)基準告示 第二の七(5,000円の区分は別表第八第一号のみ)。第四号は含まれないため、2,500円の区分
単位数・金額の根拠250単位/月250単位/月。指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号) 介護予防訪問看護費 注12(令和8年改正反映)2,500円/月。訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(令和8年厚生労働省告示第74号による改正後の別表) 区分番号02 注3
評価・記録の根拠留意事項通知(老企第36号)留意事項通知(老計発第0317001号)。現行の記載は未確認訪問看護療養費の留意事項通知(令和8年3月5日保発0305第19号) 第5の3(3)
  • 介護保険(要介護):告示第94号の第六号は、特別管理加算の対象となる状態を定めています。そのうち、ニが「真皮を越える褥瘡の状態」です。第七号は、区分を定めています。特別管理加算(Ⅰ)(500単位)は第六号イの状態、特別管理加算(Ⅱ)(250単位)は第六号ロ、ハ、ニ又はホの状態が対象です。したがって、真皮を超える褥瘡は(Ⅱ)に当たります
  • 介護保険(要支援):告示第94号の第七十七号は、介護予防訪問看護費の注6の状態を「第六号に規定する状態」と定めています。第七十八号は、注12の区分を定めています。イの特別管理加算(Ⅰ)は第六号イの状態、ロの特別管理加算(Ⅱ)は第六号ロ、ハ、ニ又はホの状態が対象です。したがって、要支援でも、真皮を超える褥瘡(第六号ニ)は(Ⅱ)に当たります。(Ⅰ)500単位・(Ⅱ)250単位は、告示第127号の介護予防訪問看護費 注12に定められています。これらの告示の条文は、2026年10月23日に厚生労働省の法令等データベースから出力した本文で確認しました
  • 医療保険:特別管理加算は、月1回に限り2,500円です。ただし、重症度等の高い状態にある利用者は、5,000円とされています(算定方法の別表 区分番号02 注3、令和8年6月1日適用)。この「状態」は、注3では告示に委ねられており、基準告示(平成18年告示第103号)の第二の六と七が定めています。
    • 第二の六(2,500円の区分):特掲診療料の施設基準等 別表第八に掲げる者
    • 第二の七(5,000円の区分):別表第八第一号に掲げる者
    • 別表第八の第一号は、在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理、在宅強心剤持続投与指導管理、在宅気管切開患者指導管理を受けている状態の者、気管カニューレ又は留置カテーテルを使用している状態の者です
    • 真皮を越える褥瘡の状態にある者は、別表第八の第四号です。第一号ではないため、2,500円の区分に当たります
    • 留意事項通知(保発0305第19号 第5の3(2))も、特別な管理を必要とする利用者は基準告示第二の六、重症度等の高いものは基準告示第二の七に規定するものと、整理しています
  • 医療保険の留意事項通知には、NPUAP分類やDESIGN分類による「真皮を越える褥瘡の状態」の定義文は、ありませんでした。医療保険で、上記の介護保険の定義をそのまま当てはめてよいかは、確認できていません
  • 対象状態に該当するだけで算定できるわけではありません。 医療保険の特別管理加算は、届出をした訪問看護ステーションが、特別な管理を必要とする利用者に計画的な管理を行った場合に、月1回に限り算定します(算定方法 注3、通知 第5の3(1))。介護保険でも、各通知の算定要件を満たす必要があります。上の表は、対象状態と加算の区分、金額の根拠を整理したものです
令和8年度(2026年度)改定との関係

令和8年6月1日適用の訪問看護療養費の告示・通知では、特別管理加算の金額(2,500円・5,000円)と、真皮を越える褥瘡の評価・記録の要件(通知 第5の3(3))は、令和4年の通知と同じ内容です。特掲診療料の施設基準等 別表第八には、令和8年度の改定で在宅難治性皮膚疾患処置指導管理などが加わっていますが、「真皮を越える褥瘡の状態にある者」(第四号)の記載は変わっていません。

評価・処置管理の実務

真皮を超える褥瘡の状態にある利用者に特別管理加算を算定する場合の、評価・記録の要件は、制度ごとの通知に定められています。

介護保険(老企第36号) には、次のように定められています。

「真皮を越える褥瘡の状態にある者」に対して特別管理加算を算定する場合には、定期的(1週間に1回以上)に褥瘡の状態の観察・アセスメント・評価(褥瘡の深さ、滲出液、大きさ、炎症・感染、肉芽組織、壊死組織、ポケット)を行い、褥瘡の発生部位及び実施したケア(利用者の家族等に行う指導を含む)について訪問看護記録書に記録すること。

※この引用は、民間サイト(PT-OT-ST.NET)に掲載された通知本文によるものです。厚生労働省の現行版の原文PDFでの照合は、完了していません。

医療保険(訪問看護療養費の留意事項通知、令和8年3月5日保発0305第19号 第5の3(3)) には、次のように定められています。

基準告示第2の6に規定する特掲診療料の施設基準等別表第8に掲げる者のうち、「真皮を越える褥瘡の状態にある者」に対して特別管理加算を算定する場合は、定期的(1週間に1回以上)に褥瘡の状態の観察・アセスメント・評価(褥瘡の深さ、滲出液、大きさ、炎症・感染、肉芽組織、壊死組織、ポケット)を行い、褥瘡の発生部位及び実施したケアについて訪問看護記録書に記録すること。なお、実施したケアには必要に応じて利用者の家族等への指導も含むものである。

整理すると、2つの通知の要件は、次のとおりです。

項目介護保険(老企第36号)医療保険(保険局長通知)
頻度定期的(1週間に1回以上)定期的(1週間に1回以上)
評価する項目深さ、滲出液、大きさ、炎症・感染、肉芽組織、壊死組織、ポケットの7項目同じ7項目
記録する内容褥瘡の発生部位、実施したケア(利用者の家族等に行う指導を含む)褥瘡の発生部位、実施したケア(必要に応じて利用者の家族等への指導も含む)
記録先訪問看護記録書訪問看護記録書

家族等への指導の書き方は、介護保険と医療保険で文言が異なります。算定する制度の通知に従ってください。

評価項目(7項目)の考え方

通知に挙げられている7項目は、それぞれ次のような観点での評価です。

評価項目観点
深さ損傷がどの組織まで及んでいるか(DESIGN-R®2020の深さの定義)
滲出液滲出液の量・性状
大きさ創の長径・短径など、サイズの変化
炎症・感染発赤・熱感・腫脹・膿など、炎症・感染徴候の有無
肉芽組織良性肉芽の割合・状態
壊死組織壊死組織の有無・性状
ポケットポケット(創縁の下に広がる空洞)の有無・大きさ

これらの7項目は、日本褥瘡学会のDESIGN(Depth・Exudate・Size・Inflammation/Infection・Granulation・Necrotic tissue・Pocket)の7項目と同じです。ただし、通知そのものに、DESIGN-Rという評価ツール名は明記されていません。通知が定めているのは、7項目の観察・アセスメント・評価です。DESIGN-R®2020を使う場合、合計点には深さ(Depth)の点数を加えません(DESIGN-R®2020 褥瘡経過評価用の注記)。

記録・処置管理のポイント

通知に定められている内容(算定要件)

  • 1週間に1回以上、褥瘡の状態の観察・アセスメント・評価を行う
  • 7項目(深さ、滲出液、大きさ、炎症・感染、肉芽組織、壊死組織、ポケット)を評価する
  • 褥瘡の発生部位と、実施したケア(家族等への指導を含む)を、訪問看護記録書に記録する
  • 訪問の際、症状が重篤であった場合には、速やかに医師による診療を受けることができるよう必要な支援を行う(医療保険の通知(令和8年)で確認。介護保険の通知にも同趣旨の記載があります)

実務上の工夫(通知には書かれていません)

  • 週1回以上の頻度を下回らないよう、訪問スケジュールに組み込む
  • 7項目それぞれについて、前回の評価と比較できる形で記録する(改善・悪化の傾向を追えるようにする)
  • 評価に、DESIGN-R®2020などの評価ツールを用いる場合は、事業所内で評価者によるばらつきが出ないように運用を決める

よくある質問

Q. 「真皮を超える褥瘡」と「真皮までの褥瘡」で、対応や記録の要件は変わりますか?
A. 真皮を超える褥瘡(NPUAP分類Ⅲ度・Ⅳ度、DESIGN分類D3・D4・D5)は、特別管理加算の対象となる状態であり、算定する場合は、週1回以上の観察・アセスメント・評価と記録が求められます。真皮までの状態(より浅い褥瘡)についての同様の記録義務は、今回確認した資料には明記されていませんでした。

Q. NPUAP分類とDESIGN分類、どちらを使えばよいですか?
A. 通知は「NPUAP分類Ⅲ度若しくはⅣ度又はDESIGN分類D3、D4若しくはD5」と、いずれかに該当すればよい形で書かれています。事業所や連携する医療機関の運用に合わせて、どちらかの分類を使います。

Q. DESIGN-R®2020の「DTI疑い」や「判定不能(DU)」は、真皮を超える褥瘡の状態に当たりますか?
A. 通知に挙げられているのは、D3・D4・D5です。DTI疑いと判定不能を含むかは、通知に書かれておらず、今回確認した資料でも判断できません。保険者または都道府県に確認してください。

Q. 医療保険の特別管理加算は、2,500円と5,000円のどちらになりますか?
A. 真皮を超える褥瘡の状態にある利用者は、2,500円の区分です。5,000円の区分は、基準告示第二の七により、特掲診療料の施設基準等 別表第八の第一号に掲げる者(在宅麻薬等注射指導管理などを受けている状態の者、気管カニューレ・留置カテーテルを使用している状態の者)に限られています。

Q. 医療保険と介護保険で、記録の要件は同じですか?
A. 頻度(1週間に1回以上)、評価する7項目、記録する内容は、2つの通知で同じ構造です。家族等への指導の書き方に文言の違いがあります(上記の表を参照)。算定する制度の通知に従ってください。

関連記事

出典

厚生労働省・学会の資料と、民間・団体サイトの資料を区別しています。

厚生労働省
日本褥瘡学会・日本皮膚科学会
民間・団体サイト(厚生労働省の原文PDFでの照合は未了)
  • 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)特別管理加算の項。PT-OT-ST.NET掲載の引用による
  • 全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム 老企第36号:特別管理加算の項の「真皮を越える褥瘡の状態」の定義文を確認(団体サイトであり、厚生労働省の原文ではありません)

最終確認日:2026年10月23日※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。

広告

TOP