訪問看護ステーション設備基準|他事業と兼用する場合の区画

「専用の事務室」とは、具体的にどんな広さ・設備が必要かご存知ですか?
訪問看護ステーションの設備基準は、条文自体はシンプルですが、実務上どこまで満たせばよいかが分かりにくい部分です。
この記事では、設備基準の条文と、国の解釈通知、実務で確認されている具体的な設備の考え方を整理します。

設備基準の条文(第4条)

厚生労働省令「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」第4条には、次のように定められています。

指定訪問看護ステーションには、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室を設けるほか、指定訪問看護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。ただし、当該指定訪問看護ステーションが他の事業の事業所を兼ねる場合は、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けることで足りるものとする。

整理すると、次のとおりです。

  • 原則:事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室を設ける
  • 例外:他の事業(例えば、訪問介護、居宅介護支援事業所等)の事業所を兼ねる場合は、専用の事務室ではなく、専用の区画を設けることで足りる
  • いずれの場合も、指定訪問看護の提供に必要な設備及び備品等を備える必要がある

「必要な広さ」「必要な設備及び備品等」の具体的な数値・品目は、この条文自体には明記されていません。

国の解釈通知

「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」(令和8年3月5日保発0305第20号)の第三の3(設備に関する事項)(1)には、次のように定められています。

指定訪問看護ステーションには、事業の運営に必要な面積を有する専用の事務室を設ける必要があること。ただし、当該指定訪問看護ステーションが介護保険法による指定を受けている指定訪問看護ステーションである場合には、両者で共有することは差し支えない。また、当該指定訪問看護ステーションが、他の事業の事業所を兼ねる場合には、必要な広さの専用の区画を設けることで差し支えないものとする。なお、この場合に、区分されていなくても業務に支障がないときは、指定訪問看護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものであること。

同じ通知の(2)(3)には、次のように定められています(原文の要約です)。

  • 事務室については、利用申込みの受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保すること(第三の3(2))
  • 指定訪問看護に必要な設備及び備品等を確保する必要があること。特に、感染症予防に必要な設備等に配慮する必要があること。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定訪問看護の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができること(第三の3(3))

実務で示されている具体的な設備の例(自治体資料より)

大阪府の指定申請案内(介護保険の訪問看護・介護予防訪問看護の新規指定申請に関する案内。更新日 2024年12月23日)には、必要な設備・備品として、次のような例が挙げられています(この部分は都道府県の運用資料であり、国の省令・通知そのものではありません。また、医療保険の指定申請(地方厚生局)の案内ではありません)。

  • 事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室(他の事業の事業所を兼ねる場合には、指定訪問看護の事業を行うための区画が明確に特定されていること)
  • 相談室スペース(遮へい物の設置等により、相談内容が漏えいしないよう配慮したもの)
  • 訪問看護の提供に必要な設備・備品
  • 手指を洗浄するための設備等、感染症予防のための設備・備品

これらは大阪府の運用例であり、他の都道府県では表現や具体的な運用が異なる場合があります。指定申請・実地指導の際は、事業所を所管する都道府県・地方厚生局の案内を確認することをおすすめします。

確認しておきたいポイント

  • 事務室(または専用区画)の広さが、事業運営に支障のない程度確保されているか
  • 他の事業所と兼用する場合、指定訪問看護の区画が明確に特定されているか
  • 相談内容の漏えいを防ぐ配慮(遮へい物の設置等)がされているか
  • 感染症予防のための手指消毒等の設備が整っているか
  • 訪問看護の提供に必要な備品が備わっているか(備品の例:血圧計、体温計等の医療器材。これらは、省令・通知に定められた必須の品目ではなく、この記事の例です)

よくある質問

Q. 自宅の一室を事務室として使うことはできますか?
A. 条文上、事務所の所在地についての制限は明記されていません。ただし、国の解釈通知は、事業の運営に必要な面積を有する専用の事務室(第三の3(1))と、利用申込みの受付、相談等に対応するのに適切なスペースの確保(同(2))を求めています。自宅の一室かどうかの可否について、今回確認した省令・通知には、直接の記載は確認できていません。具体的な可否は、事前に、指定を受ける制度に応じて確認してください。介護保険の指定(訪問看護)は、指定権者(都道府県・指定都市・中核市)、医療保険の指定(健康保険法に基づく指定)は、地方厚生(支)局です。両方の指定を受ける場合は、それぞれに確認してください。

Q. 訪問介護事業所と同じ部屋を使うことはできますか?
A. 他の事業の事業所を兼ねる場合は、必要な広さの専用の区画を設けることで足ります(省令第4条ただし書)。国の解釈通知(令和8年3月5日保発0305第20号 第三の3(1))には、区分されていなくても業務に支障がないときは、指定訪問看護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りる、とあります。ただし、必要な広さや業務への支障の有無など、具体的な取扱いは、指定権者に確認してください。

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出典

最終確認日:2026年10月28日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。

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