複数名精神科訪問看護加算とは|算定要件と対象者

複数名精神科訪問看護加算、30分未満の訪問では算定できないとご存知でしたか?
複数名精神科訪問看護加算は、複数の職員が同時に訪問看護を行った場合を評価する加算です。
この記事では、2026年度(令和8年度)改定後の算定要件と、組み合わせる職種・人数区分による金額の違いを整理します。
※この記事は、訪問看護ステーションが算定する医療保険の訪問看護療養費を対象とします。医療機関が算定する精神科訪問看護・指導料とは、告示上の区分が異なります。

複数名精神科訪問看護加算とは

厚生労働省告示「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」区分01-2注8には、次のように定められています。

1及び3(いずれも30分未満の場合を除く。)については、訪問看護ステーションの保健師又は看護師が、当該訪問看護ステーションの他の保健師等、看護補助者又は精神保健福祉士と同時に指定訪問看護を行うことについて、利用者又はその家族等の同意を得て、指定訪問看護を行った場合には、複数名精神科訪問看護加算として、次に掲げる区分に従い、1日につき、いずれかを所定額に加算する。ただし、ハの場合にあっては週1日を限度として算定する。

整理すると、次のとおりです。

  • 対象:精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)または(Ⅲ)を算定する利用者(30分未満の訪問は対象外)
  • 算定条件:訪問看護ステーションの保健師または看護師が、他の保健師等・看護補助者・精神保健福祉士と同時に訪問し、利用者またはその家族等の同意を得ていること
  • 算定できる組み合わせ:イ(他の保健師・看護師・作業療法士と同時)、ロ(准看護師と同時)、ハ(看護補助者・精神保健福祉士と同時)の3パターン
  • 週あたりの制限:告示本文では、ハについて「週1日を限度として算定する」と明記されています。イ・ロについては、同告示本文に週の算定上限は明記されていません。実際の算定にあたっては、関連する通知等も確認してください。

「同一建物内の人数」とは何を数えた人数か

金額表に出てくる「同一建物内の人数」は、建物に住む人全員の数でも、その日に訪問した利用者全員の数でもありません。 厚生労働省の通知(保発0305第12号)に、次のように定められています。

複数名訪問看護加算又は複数名精神科訪問看護加算(同時に指定訪問看護を実施する職種及び1日当たりの回数の区分が同じ場合に限る。)を同一日に算定する利用者の人数に応じて算定する。

つまり、金額表の「同一建物内の人数」は、同一建物内で、同じ日に、同じ職種・同じ回数区分でこの加算を算定する利用者数を指します。例えば、同じ建物に利用者が10人住んでいても、その日に複数名精神科訪問看護加算を算定するのが2人だけであれば、「1人又は2人」の区分で算定します。

金額(2026年6月改定後)

2026年度改定では、同一建物内で同一日に当該加算を算定する利用者数の区分が、5段階に細分化されました。算定額は、同時に訪問する職種や1日の訪問回数、この人数区分によって異なります。厚生労働省「訪問看護療養費マスターの変更点等について」(令和8年3月6日)で、コード番号とあわせて、すべての区分を直接確認しました。

イ:他の保健師、看護師又は作業療法士と同時
同一建物内で、同一日に当該加算を算定する利用者数1日1回1日2回1日3回以上
1人又は2人4,500円9,000円14,500円
3人以上9人以下4,000円8,100円13,000円
10人以上19人以下3,400円6,880円11,050円
20人以上49人以下3,000円6,070円9,750円
50人以上2,700円5,460円8,770円
ロ:准看護師と同時
同一建物内で、同一日に当該加算を算定する利用者数1日1回1日2回1日3回以上
1人又は2人3,800円7,600円12,400円
3人以上9人以下3,400円6,800円11,200円
10人以上19人以下2,800円5,600円9,220円
20人以上49人以下2,500円5,000円8,230円
50人以上2,200円4,400円7,240円
ハ:看護補助者又は精神保健福祉士と同時
同一建物内で、同一日に当該加算を算定する利用者数金額
1人又は2人3,000円
3人以上9人以下2,700円
10人以上19人以下2,100円
20人以上49人以下1,900円
50人以上1,600円

ハは、イ・ロのように「1日1回・2回・3回以上」という回数区分が設けられておらず、1日につき、いずれか1つの金額のみを算定する仕組みです。そのうえで、告示に「週1日を限度として算定する」と明記されています。

イ・ロ・ハの違い(まとめ)

  • イ:保健師・看護師・作業療法士と同時訪問。金額が最も高く、1日3回以上まで算定できる
  • ロ:准看護師と同時訪問。イより低い金額設定
  • ハ:看護補助者・精神保健福祉士と同時訪問。回数区分がなく、週1日が上限

いずれも、2026年度改定で、同一建物内で同一日に当該加算を算定する利用者数の区分が「1〜2人」「3人以上9人以下」「10人以上19人以下」「20人以上49人以下」「50人以上」の5段階に細分化されています。

確認しておきたいポイント

  • 訪問時間が30分未満になっていないか(対象外のため)
  • 同時に訪問する職種が、イ・ロ・ハのどれに該当するかを確認する
  • 「同一建物内の人数」は、建物の入居者数ではなく、同一日に当該加算を算定する利用者数であることを踏まえて人数を数える
  • ハを算定する場合、週1日の限度を超えていないか管理する
  • 利用者またはその家族等から、複数名での訪問について同意を得ているか

よくある質問

Q. 一般の訪問看護における「複数名訪問看護加算」と、この加算は同じものですか?
A. 名称は似ていますが、対象となる基本療養費が異なります(こちらは精神科訪問看護基本療養費が対象)。金額の設定も異なるため、別の加算として整理する必要があります。

Q. 30分未満の訪問では、なぜ算定できないのですか?
A. 告示上「30分未満の場合を除く」と明記されている理由(制度趣旨)までは、今回確認した告示本文には記載がありませんでした。

Q. 表の「同一建物内の人数」は、建物の入居者数ですか?
A. いいえ。建物全体の入居者数や、その日に訪問した利用者全員の数ではなく、同一建物内で、同一日に、同じ職種・同じ回数区分でこの加算を算定する利用者数です。

Q. イ・ロにも、週の算定上限はありますか?
A. 告示本文には、ハについてのみ「週1日を限度とする」と明記されています。イ・ロについては、同告示本文に週の算定上限は明記されていません。実際の算定にあたっては、関連する通知等も確認してください。

まとめ

  • 複数名精神科訪問看護加算は、精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅲ)を算定する利用者に、複数の職員が同時に訪問した場合の加算(30分未満の訪問は対象外)
  • 金額表の「人数」は、同一建物内で、同一日に当該加算を算定する利用者数を指す
  • 2026年度改定で、この人数の区分が5段階に細分化された
  • イ(保健師・看護師・作業療法士と同時)、ロ(准看護師と同時)は、1日1回・2回・3回以上の回数区分があり、告示本文にハのような週の限度の明記はない
  • ハ(看護補助者・精神保健福祉士と同時)は、回数区分がなく、週1日が上限

最新の金額は、必ず厚生労働省の訪問看護療養費マスター等で確認してください。

関連記事:複数名訪問看護加算とは?2人で訪問できるケースと対象者・記録(医療保険・介護保険)/訪問看護管理療養費の変更点|2026年改定の算定要件・区分を解説(医療保険)/加算一覧

出典

最終確認日:2026年10月19日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。

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