苦情対応・事故対応、運営基準にどこまで具体的に定められているかご存知ですか?
訪問看護ステーションには、苦情対応・事故対応それぞれについて、運営基準上の義務があります。
この記事では、条文の内容と、関連する疑義解釈の内容を整理します。
苦情処理(第27条)
厚生労働省令「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」第27条には、次のように定められています。
指定訪問看護事業者は、提供した指定訪問看護に係る利用者からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、必要な措置を講じなければならない。
条文自体は「迅速かつ適切に対応するために、必要な措置を講じる」という原則を定めるのみで、具体的な手順(苦情受付窓口の設置、記録方法等)までは明記されていません。
事故発生時の対応(第28条)
第28条には、次のように定められています。
指定訪問看護事業者は、利用者に対する指定訪問看護の提供により事故が発生した場合は、全国健康保険協会、後期高齢者医療広域連合又は健康保険組合、当該利用者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。
2 指定訪問看護事業者は、利用者に対する指定訪問看護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。
整理すると、次の2点が義務付けられています。
- 事故発生時に、全国健康保険協会・後期高齢者医療広域連合・健康保険組合・利用者の家族等への連絡、および必要な措置
- 賠償すべき事故の場合、損害賠償を速やかに行うこと
事故発生時の対応に関する疑義解釈(医療安全研修)
令和8年度診療報酬改定に関する疑義解釈資料(その2)には、事故発生時の対応に関連して、次のような整理が示されています。
指定訪問看護に係る安全管理のための基本的な考え方及び具体的方策等についての研修の受講が望ましいことが規定されたが、当該研修の内容は、具体的にはどのようなものがあるか。
(答)訪問看護における医療安全の基本的な考え方(医療安全に係る規定や事故発生のメカニズム、安全文化の醸成等)、事故発生時の対応(利用者の家族や関係機関等への連絡、事故の状況及び採った処置に関する記録、損害賠償等)、再発防止策等を含む医療安全に関する内容が想定される。訪問看護ステーションは、従業者が定期的(年1回、新規採用時を含む)に研修を受講する機会を確保することが望ましい。
つまり、事故発生時の対応(第28条)を適切に行うための土台として、次のような研修の実施が望ましいとされています。
- 医療安全の基本的な考え方(規定、事故発生のメカニズム、安全文化の醸成等)
- 事故発生時の対応(連絡、記録、損害賠償等)
- 再発防止策
研修の頻度は、**年1回程度(新規採用時を含む)**が望ましいとされています。
確認しておきたいポイント
- 利用者からの苦情を受け付け、迅速かつ適切に対応する体制(窓口、記録方法等)が整っているか
- 事故発生時に連絡すべき先(全国健康保険協会、後期高齢者医療広域連合、健康保険組合、利用者家族等)を、事業所として把握しているか
- 賠償すべき事故が発生した場合に、速やかに損害賠償を行える体制になっているか
- 医療安全に関する研修を、年1回程度(新規採用時を含む)実施できているか
よくある質問
Q. 苦情処理の具体的な手順(相談窓口の設置等)は、必ず整備しなければなりませんか?
A. 第27条は「必要な措置を講じる」とする原則規定であり、具体的な手順(窓口の設置方法等)までは条文に明記されていません。ただし、実地指導等では、苦情受付の体制が整っているかを確認されることが一般的です。
Q. 医療安全研修は、必ず実施しなければなりませんか?
A. 疑義解釈では「望ましい」とされており、義務ではなく推奨という位置づけです。ただし、事故発生時の適切な対応のためにも、実施が推奨されています。
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出典
- 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年3月31日厚生省令第80号)第27条・第28条
- 疑義解釈資料の送付について(その2)(令和8年4月1日厚生労働省保険局医療課事務連絡)
最終確認日:2026年9月27日 ※制度は改定されるため、最新情報をご確認ください。